「だって貴女にはかなわないんですもの」
学園からの帰りに歩きながら早紀が言った。
「そんなことないわよ、あなただって、わたしといることができてよ?」
蓉子はセーラー服を風に靡かせる。
早紀はそのスカートの裾の先が自分の視線を誘っていくのを感じる。
学園は三学年で300人ほどしかいない。
「どうして?」早紀は不安げに蓉子の睫毛の先をじっと見つめる。
「だって貴女にはわたししかいないんでしょう?」
早紀は目を瞑って気づかないふりをしてるかのように首をかしげる。
「かわいいわ」蓉子は莞爾と笑う。
早紀が幻を見始めたのはまだ幼い時だった。早紀の幻は早紀に呼びかける。
《あなたはひとり》《あなたとひとり》
それを聞いてから早紀は誰とも話さなくなった。蓉子に出会うまでは。
蓉子は学園でひとりだけ特別なリボンをつけていた。血染めのリボン。
それを見てから早紀は蓉子とだけ話すようになった。
「貴女はいつまでも特別なの……わたしの……」
「なに?」
「そばにいてほしい、」
「いつもいるわよ。」
早紀は困ったように目を瞑って首を振る。「じゃあ、」
「じゃあ、わたしとここに入って」
早紀が指さしたのは学園から少し離れてひっそりと街に佇むラブホテルだった。
蓉子は、はじめて動揺した。
「……ここに?」
「だめ?」
「……。」
早紀は蓉子の手をひく。蓉子の白い手首がほんのりと赤く染まる。
「早紀っ」
「?」
「わたし……歩けるわ……、」
ふたりは並んで門を開けるとすぐ前にあるタッチパネルに触れた。
「七号室だって。」
蓉子は黙ったままついて歩く。
早紀が部屋を開けて中に入るときに、また、蓉子の人差し指と中指の先を握って誘った。
バロック風の寝室だった。
「ねえ、見て。お風呂もとってもきれいだわ」早紀はすこしはしゃいでいる。
蓉子はそっと自分のリボンをほどいて、ベットの上に置く。
「ね、早紀は……」
唐突に早紀が蓉子に接吻した。
「……!」
早紀は手慣れた手つきで、蓉子の服をころもをはがすように脱がせていく。
蓉子が下着姿になるまで、早紀の手は滑らかに動いた。
蓉子のブラジャーのホックを外すときには、いつのまにか早紀も下着姿になっていた。早紀はかがんで蓉子のクリトリスを舐めた。
「……んっ」蓉子はされるがままになっていた。
早紀は屈んだ姿勢で、自分の髪にしずくが落ちてきたのを感じた。
蓉子は泣いていた。
「わたしを、あいして」
「わたしを、あいして」早紀。
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