最終みんな死ぬ

名探偵破滅派『名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件』応募作品

曾根崎十三

エセー

1,502文字

名探偵破滅派「名探偵のいけにえ」応募作品です。
読んだ感じのりり子のイメージはショートカットだったんで表紙の女に違和感がある。

ジム・ジョーデンはジム・ジョーンズがモデル。冒頭だけジョーデンじゃなくてジョーンズだし。しかし、実話がモデルと分かった所で連続殺人の謎は解けない。史実では調査団など存在しない。分かるのは冒頭通り集団自決するということくらい。

と、偉そうな書き口で書いておきながら、ジム・ジョーンズを知ったのはこの本を読んで推理のために調べだしてからなのだった。こういう系の教養はあるつもりだったが、自分もまだまだ井の中の蛙だと思い知らされた。ありがとう「名探偵のいけにえ」。

そもそも、りり子の「校長が犯人」は一体どこへ行ったのか。尺的にまだどんでん返しのどんでん返しくらいはしそうなので、四章での推理は真実ではないということだろう。

なぜ真実を伝えなかったのだろうか。校長が子供たちに指示をして仕組んだことだったので子供に危害が及ばないために嘘の推理を披露したとか?

デントは信者が発見した時点で背中を滅多刺しにされていた描写があったので、りり子の推理とは矛盾する。また、りり子の披露した推理が事実ならあまりにも間抜けすぎる死に方だ。そんな間抜けに潜入捜査は勤まらない。調理場が荒らされていた謎も放置されている。レインコートは犯人が被っており、トイレでデントを襲って、返り血を調理場で洗い流したとか?

ジョディも明らかに毒の死に方をしている。狭心症でそんなえぐい死に方せんやろ。知らんけど……。さすがに薬が金属になってたら気づくやろ。アクロバティックな推理すぎると思う。じゃあどうやって青酸カリを? 唇に塗ってあったとか?

イもそんなギャグマンガみたいにワイヤーで真っ二つになるか? これもまたアクロバティック事故死すぎる。真っ二つ! 真っ二つって……。ワイヤーは高圧電線かなんかやったんか? 車椅子でどんだけスピードで突っ込んでん。しかも異臭を放ってたと異様に強調されていた描写が放置されている。下痢だったとか? 知らないだけで、内臓ってめちゃくちゃ臭いのか? 作者は内臓は臭いということをアピールしたかったのか?

イの死体を運び出すのは、看守のふりをして通る、しかないとは思う。バラせば下半身は看守の下半身に突っ込んで運べるが、上半身はどうやって? 看守を車椅子からおろして全身運んだ? しかしそうすると牢屋でバラしているのが謎だ。看守も共犯? 子供が忍び込んで体を真っ二つにするには力が足りないしな……と、いつも通りポンコツ名探偵ぶりを発揮している。

と、推理が苦手な私からですらツッコミまくってしまう。これが真相だったら、この本は今頃全国の焚き火の原材料になっていただろう。

しかし、おそらく真犯人を分かっているであろうりり子が呆気なく殺されるのは謎だ。これだけ犯人が別なのでは? りり子が最も警戒しない信者はQだ。もしかしたらQが殺したのかもしれない。霊園も子供なら忍び込めるところがあるみたいな話があったような……ただ、該当個所が見つけられない。動機も不明だ。

序盤で野木が呆気なく殺されたのは「この話は主要キャラが呆気なく死にますよ!」と象徴的に描くことで読者に心構えをさせるためだったのかもしれない。野木が呆気なく殺された時に「この話、りり子のことも呆気なく殺しそうだな」と思ったのが的中してしまって残念だった。タイトルが「名探偵のいけにえ」だから「白身魚のムニエル」みたいな感じで名探偵がいけにえになっちゃうんだろうなー、とは思っていた。でも、何のいけにえになんだ? 実は壮大な儀式が隠されていたとか?

大半が推理できていないが、とりあえず、大塒が死ぬと話が終わってしまい、語り継ぐ人がいなくなるので、大塒は集団自決があっても生き残るとは思う。

2023年2月17日公開

© 2023 曾根崎十三

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