締め切りが過ぎたあとで課題図書を読みはじめたことを最初に告白しておく。雑事に振り回されているうちにすっかり忘れていた。ななめ読みしても大した推理ができるわけもなく、今回は気づいた点を走り書きするだけにしておく。
花が怪しい。地震の前の一時外出のときに「花は、裕哉と二人で外に出るのが嫌そうだった」とあることから、二人のあいだに何らかのトラブルがあったことが示唆されている。おそらくは裕哉が方舟に全員を案内したのは花を連れて来るためだった。花は実は宗教団体の関係者であり、尊師の娘のアーチェリーのような身分であることを隠している。裕哉は半年前に一人で方舟に来たときにそのことを知り、花を脅していた。そこで他の皆がレンチを探しているときに頭痛がすると嘘をついて一人になり、どさくさに紛れて裕哉を絞殺した。
翔太郎と柊一が探偵とその助手役となり、方舟からの脱出よりも犯人捜しに力を入れ出したことは花を動揺させた。「こんなんしてていいのかな。絶対、何か違うと思うんだけど」と彼女は柊一にボヤきつつ、探偵たちの疑惑の目を矢崎一家に向けさせる。
さやかの殺害は、裕哉が半年前にさやかに送った写真を見られないようにするためである。裕哉がさやかに方舟の写真を送っていたと聞いて花は真っ先に驚いた。さやか自身は気づいていないかもしれないが、さやかにも花の秘密は共有されていたのだ。同室のさやかを殺しては一番怪しまれる存在になってしまうから、まず花は口実を作って別々に寝ることを提案する。また、「さやかが、何か黒っぽい品物を花に手渡していた」のが何かはわからないけれど、事件に関係あることは間違いない。さやかのスマホを一時的に借りて写真を見せてもらったのか? 雑巾ではなくウェスで殺害現場を拭いたのも、おそらく濡らした雑巾で拭くと壊れるスマホを拭くためであった。ということは、さやかがなくしたものとして道具箱のところにスマホを置いたのは花であろう。
花が犯人であることが翔太郎によって暴かれるが、花は「外が見えないところは絶対やだ。チューリップ畑で眠るように死にたい」と言っていたことからもわかるとおり、素直に岩を落とす役を引き受けてはくれない。外の見える監視カメラのモニターのある部屋に立てこもって睡眠薬をあおって自殺してしまう。
そこで柊一がみずから自己犠牲を買って出ることになる。父親を亡くした矢崎家にさらに母親まで犠牲にしろと酷なことは言えないし、そして何より彼は麻衣を愛していた。思わせぶりに登場しておきながらこれまで一回も使われることのなかったスマホのトランシーバーアプリを使って方舟のなかと外で通話する二人。彼は命と引き換えに愛する人との真の心のつながりを勝ち取る。実は木橋がそれほどダメージを受けていなかったことが電話越しに伝えられ、方舟のなかにいる柊一にも希望がほのめかされる。
"遅刻した探偵は眠いので、仮眠してから読みはじめる"へのコメント 0件