のび太が死んだ日、ドラえもんは・・・

GLASS

エセー

371文字

永久に訪れることのない孤独程苦しいものはない。ただ、ロボットなら・・・ロボットなら忘れれる。 

ドラえもんは泣いた。

両手の中でのび太が死んだ。

思い出がいっぱいつまった四次元ポケットを捨てた。

それからドラえもんの孤独は始まった。

来る日も来る日も泣いてのたうちまわって、ドラ焼きも喉を通らず、ただ、夢を見た。

しかし、どの空想ものび太の空白を埋める役目は果たせなかった。

のび太は戻ってこない。

そう確信した時、ドラえもんの中で何かが割れた。

そうだ、僕が大人になったらいいんだ。

「大人になればのび太くんは忘れれる」

そう思い立ったドラえもんは、思い切って、心を失うための合言葉を言った。実は、ドラえもんの首の鈴は、ロボットの機能を初期化する役目があるんだ。

ドラえもんは、ドラえもんとして誕生した。

これからもドラえもんは、ドラえもんでしかなく、ドラえもんとして生きていく。

ドラえもんはロボットだから死ねない。

「ただ、ロボットだから忘れれる」

 

2020年5月2日公開

© 2020 GLASS

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

"のび太が死んだ日、ドラえもんは・・・"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る