ある日店長が私に、
『本指名のお客様は自分を写す鏡だと僕は思うんですよ』
って、言ってきたから私は
「どういう意味ですか?」
って、聞き返した
本指名っていうのは一度接客されたコンパニオンに再度指名で入ること
私たちはいかに本指名のお客様をゲットするかを日々考えていたりする
本指名のお客様は私たち…私にとって大切な存在
友達以上恋人未満みたいなカンジ
でも他の子たちはそうじゃないみたい
「やっぱり指名料が丸々自分に入るのがいいわよね~」
「え?それだけ?」
「え?それ以外何があるの?」
「え?」
絶対それ以外何かあると思うのに…
「どういう意味も何も、そういう意味ですよ」
「…私もストーカー気質ってことですか?」
「誰もそんなこと言ってませんよ」
店長は笑いながら
「確かにストーカー化してしまうお客様が多いですもんねぇ」
「はい…」
「あなたはきっとお客様たちに恋をさせてしまうんでしょうねぇ」
「恋ですか?」
「そう、あなたには他の子みたいにお金と割り切れるドライさがない」
「…お金だけじゃない気がするんです」
「そうですね、それだけじゃ寂しいですもんね」
寂しい…うん寂しい
寂しいの嫌い
「さ、そろそろミヤザキ様いらっしゃいますよ」
「あ、はい」
「今日も頑張って下さいね」
「 … 」
ミヤザキさんは週に一回、私に逢いに来てくれる人
いつも帽子を深く被って、自分の身体よりも大きめの服を着ている人
まるで鎧をきているみたいだねって言ったら、そうかも知れないなってハニかんで笑ってた
「元気だった?」
「うん」
私はミヤザキさんの優しい雰囲気が好きだった
「優しくなんかないよ」
っていつも言われちゃうんだけど、話し方とか抱かれたカンジが…
「優しいよ」
「もっとはやく君に出逢えてれば良かったなぁ」
「どうして?」
「だって…こんなオッサン嫌だろ?」
「何で?そんなオッサンじゃないじゃん!」
「嘘でも嬉しいねぇ、ありがとう」
「 … 」
確かにミヤザキさんは歳をとっている
この歳まで縁が無くて一人だとも言っていたし…
「もうちょっと僕が若ければ、君も…」
「 … 」
「君も僕に振り向いてくれるんじゃないかなって思ったりして」
「…歳は関係ないよ」
「そうかなぁ…」
「そうよ」
「君は僕に振り向いてくれるのかな…?」
「 … 」
ミヤザキさんの寂しさが伝わってくる
肌を重ねてるから余計に伝わってくる
「ミヤザキさん、寂しいの?」
「 … 」
ミヤザキさんは何も答えなかった
答えずに私にキスをした
静かに静かに私のカラダを舐め始めた
「んっ…!」
丁寧にゆっくり隅々まで舐められて、私のカラダは敏感になっていった
「気持ちいい…」
「 … 」
太ももの付け根を何度も何度も、私のカンジるところの近くを…
「焦らさないで…早く…」
「 …何?」
「早く舐めて…」
「ドコを?」
「あっ…!ク、クリトリス…」
ミヤザキさんは私の性器をベロベロ舐め始めた
「あっ…イ、イッちゃう…!」
私はもう少しで絶頂を向かえそうだった
「 … 」
急にミヤザキさんが舐めるのを止めた
「ど…どうしたの?」
ミヤザキさんは私の耳元でこう言った
「寂しいよ」
…私は絶頂を向かえた
end
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