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日常。(42)

日常。(第35話)

mina

小説

1,381文字

あなたのその私の顔色を窺うような目がものすごく嫌だわ
そしてその何かを期待しているような顔も苦手
私があなたにしてあげられることなんて、きっと限られてる
あなたのことを好きなだけじゃ…ダメ?
そんな目で私を見ないで…もうイヤなの…

…もう、イヤなの…

この前インタビューを受けた
私が働いているお店が載っている風俗サイトに私の写真とそのインタビュー記事を載せるためだ
「今日はよろしくね」
「あ…はい」
インタビューを受けるなんて初めてだったから、ものすごく緊張してた
「何個か質問するけど、素直に思ったことをそのまま答えてくれればいいからさ」
「はい」
素直にそのまま答えたら、ちっともいやらし
くないし、お店の宣伝にもならないんだろう
なぁって思った
店長からは「お客様がインタビュー記事を読
んで、あなたに逢いにいきたいって思わせる
ようなことを答えてね」って言われてるし
私は早く終わらないかなーって思いながら、
心にもないことをいやらしく、男に飢えてる
女をイメージして、質問に答えていった
「いつもそんなにエッチなことばかり考えてるの?」
「はい、私エッチなこと大好きなんです」
本当の自分なんて誰にも見せられない
「じゃぁ次の質問は…」
「 … 」
「お客さんを好きになっちゃったことってある?」
「あ…」
お客さんを好きになっちゃったこと…

         ・          

また逢いにきてくれたらいいなって、彼が私
に逢いにきてくれた時、いつもそう思ってた
「こんにちは」
「また来てくれたんだ!」
「うん、また来ちゃったよ」
きっと私は特別な感情を彼に持ってしまって
いる
二人でいるときはすごく楽しくて、彼に身体
を触られているとすごく気持ちよくて…
他のお客さんと何が違うんだって言われても
何も違わないんだけど、とにかく彼のことが
私はお気に入りだった
「いつもすごく感じてくれるから、何か僕…勘違いしちゃいそうだよ」
「勘違い?」
「あぁ、ひょっとしたら君は僕のことを好きなんじゃないかなっていう勘違い」
「 … 」
「あ…ごめん!今の忘れて」
「好きよ」
「え…」
「私、あなたのこと好き」
私の素直な気持ちだった
私は彼のことが好きだったから、好きだって
答えた
私は彼のことをお客さんじゃなくて、一人の
男としてみていた
けど彼は、私のことを一人の女としてではな
く…風俗嬢としてみていた
「ねぇ今日はさ、君を拘束してこのアナルバイブを使って責めていいかな?」
「 … 」
私は彼と普通に食事して映画を観たり、彼の
家に行って料理を作ってあげたりしたかった
でも彼は…
「これも着て欲しいんだ」
「これって…」
「可愛いだろ?きっと君に似合うと思ってネットで注文したんだよ」
「透けてる…」
「あぁ、これを着てる君の姿を会社で想像して、勃っちゃったよ」
「…これを着てる私の姿を想像して勃っちゃったんだ?」
「ダメかな?」
「ダメじゃないけど…」
彼はどんどんエスカレートしていった
私は彼と逢うのが憂鬱になっていた
彼のあの私の顔色を窺うような目、何かを期
待しているような顔にもう耐えられなくて…

彼の前から姿を消した

         ・          

「お客さんを好きになっちゃったこと…ありますよ!」
「お!またエッチな話が聞けそうだね」
「私、プライベートでもすごくエッチなんですよ」
「そんなこと今までの話しを聞いてれば解るよ」
彼とのことを思い出しながら話してたら…私、身体が反応して濡れちゃってた
「いやぁこんなエッチな人初めてだよ!」
「 … 」

               end 

© 2015 mina ( 2015年4月1日公開

作品集『日常。』第35話 (全70話)

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