それでも原爆投下に抗議し続ける理由

諏訪真

エセー

388文字

広島、長崎への原爆の日に思うこと。
我々の言葉は、恐らく想像以上に色んなところで引用されるだろう。

日本国政府が原爆投下に対して抗議し続ける理由は、正直いって大戦末期の日米の理由とはまた別にあると思っている。寧ろ近い将来、あるいは遠い将来に関係する話である。

例として、日米とも無関係のA国B国が戦争を起こしたとする。B国が劣勢なのにA国がダメ押しに核兵器を投下したとする。B国は当然抗議するだろう。もしこの時点で「広島、長崎への原爆投下は致し方ない」と、日本が公式コメントを残していたらどうなるか。

A国は絶対それを引き合いに出すだろう。かつての被爆国の日本も受け入れたんだぞ? だからお前たちも受け入れろ、と。

直接ではないにしても、遠回しにでもそういう圧をB国にかけることは想像に難くない。そうなったら、B国のヘイトはA国だけじゃなく、日本にも向くだろう。

だから、そんな無関係の国同士の諍いに巻き込まれないために、今もそしてこれからも、原爆投下には抗議し続けないといけないのだ。

2020年8月7日公開

© 2020 諏訪真

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