家に帰ると、家が消えていた。
さっきまで確かに見ていたはずの夢が、目覚めた瞬間にもう思い出せなくなるときのように、文字通り、ぼくの家は家族もろとも跡形もなく消え去り、それがあったはずの場所には見知らぬ巨大な水槽が建っていた。
ぼくは隣の家の人のところへ行って、尋ねてみないわけにいかなかった。
「すみません。ここにぼくの家があったと思うのですが」
「さあねぇ。ここにはそんなものなかったような気がするな」隣のおばさんが言った。
「たしかに今朝まではあったはずなんです。ぼくは今日ここから勤めに出たんだから」
「そんなこと言われたってねぇ。勘違いじゃないのかい?」
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