われわれは謙虚であらねばならぬ。自分が小さく、憐れむべきものであるということ、われわれはそれをいつまでも承知していねばならず、われわれが何であるかを忘れようとして反抗したりする代わりに、毎日そのことを、真実に対する絶対的な歓喜をもって、口にし、くり返さねばならぬ――われわれは何ものでもない。われわれは何ものでもない。われわれは何ものでもない、と。 毎日思いだすべき祈りのように――人間はいかに地上にとらえられており、みずからの泥の細片のうちにがんじがらめになり、諸元素や自分自身によって押し潰されているかを。人間はいかにひとりぼっちであり、起源を持たず、そして判断を下すべきではないかを。
――ル・クレジオ『物質的恍惚』