ブログ「太い混血」に将来のこの種の案を稚拙に書き記して以来、この様な将来の為の文書を書く事は無かった。この数年の間にまた多くの人と出会い、説明を求められることもあり、俺の混血社会主義者としての考えをどこかにまとめなければならない必要性を感じたが……良く考えれば、ネット上には「本当にいつまでも変わらず安心して掲載できる媒体」と言う物はとても限られている。自分のブログ上ですら安心出来なくなった。この国の中心に切り込む表現が簡単に規制を受けることは、俺の遍歴が証明する。小説家になろう、ハーメルン、DLSite、みんな俺を追いやってくれてありがとう。色々考えた末、ラズベリーパイと言うLinuxベースのマイコンみたいなものを買った上、アナログにせよデジタルにせよ自分の手元に全ておけると言う安心感の元に今時自宅サーバー(!)を作ってこれを果たそうとしたが、自宅のネット環境の色々面倒な仕様のせいでこれもすぐには出来そうにない(一応、教本通りに出来なかっただけで、諦めてはいない)。仕方なく、次善の策として破滅派に載せる事にした。
ここにあるのは、俺の考えに従って、出来る限り穏健にして(つまり国家と言う物を一応認めて)、日本国憲法の次に制定されるであろうと想定して作った憲法の草案である。と言ってもここにあるのは一切一条文余さず暫定案であり、プロトタイプ以前のものでこれからも変って行くものだと思ってほしい。直そうと思ったらいつでも一旦消す。本当はもっと過激に書きたいが、そうするともう憲法の枠は取れなくなるだろう。実際成文憲法を制定していない国はあるが……その多くは君主制国家だ。無政府主義のお手本があったらどんなに楽だろうか。嗚呼マフノよ、サンディーノよ。
以前、今は亡き某活動家のツイキャスで前のブログ版憲法案を見せた時、「無政府主義者なのに憲法を書くのか」(国家を無くすなら憲法は要らない)と笑われた。別に俺は無政府主義者と断言している訳でないが、確かに革命家はあんまり憲法なんか書くべきでは無いのかも知れない。そう言う点では「黒歴史」にもなるかも知れないが、別にそれは良い。なお、その時、「国民」ではなく「人民」と言う言葉を使おうと言うアドバイスを受けた。確かに俺も「国民」と言う響きと現在そこらで飛び交っている用法(在日人・混血は明かに「国民」的価値観から排除されている)が嫌いだったので、ここでは全て人民とした。
普段俺は革命だ天皇廃止だと言っているが、その手続きは確かに最後まで説明したことが無かった。色々な憲法を参照して真似した所もあり、出来上がったものがどうかはともかく色々勉強になった。書いていて退屈だったのは、予算か司法の部分だ。興味深い事に、前にブログで書いた時は第四十条辺りで諦めて打ち切られていた。前も退屈だったのだろう。昔の人々、例えば明治時代に民間で憲法を考えた人々も、熱意はあれど同じ気分だったのではないか。代りにキーが進むのはやはり総国体、国の理念を表す部分、それと天皇制廃止の部分だ。アメリカ合衆国独立十三州の人々の気分が分かった。自分たちの自由を作れるのは、至極当然だが自分たちだけなのだ。天皇が俺の自由なんか作ってくれるわけがないし、あんな薄ら笑みを浮かべているだけの皇族が俺達の象徴になる訳が無い。
本来最初に書くべきだろう「草案の草案」、漠然とした将来の国家案、あるいはこの憲法の諸条文(特に前半)をどうしてそうしたかなどは、別の機会に載せる事にする。
※一応の履歴
2018年08月30日 午後公開。公開した側から後悔。
2018年08月31日 早速一部誤字脱字、重複表現を修正。全体の条文に変更なし。
2018年09月03日 憲法改正に関し、議会の発案の後に国民投票を行う様に変更。
2020年07月06日 項のデザインの変更。細かな用語の変更。
国旗
国歌『天の原』
(安倍仲麿、古今和歌集巻九 唐で夜空を見ながら、月を通して故郷を思い歌った詩)
天の原 振りさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも
前文
人民の眼前には新たな日本が広がっている。日本共和国人民は過去の苦難に満ちた社会を通して果敢な闘争を行い、多大な犠牲を払いつつも最後は真なる自由を手にした。汚辱と苦痛と矛盾とに満ちた旧体制を廃棄し、ここに、人民に主権をおく民主主義的制度を建設する。
日本共和国人民は、自らの内より選ばれた代表と象徴による共和主義の採択を宣言し、この憲法を決定するものである。二度と人とその閉塞による災禍を繰り返さず、我々が自らの体でこの国の真の歴史と礎を築き上げて行く、その宣言がこの憲法である。この憲法の元に、日本共和国人民の間から貧困と恐怖、差別と無知は葬られ、恒久の平和を念願する。その達成の為に全力をあげて進むことを誓う。
日本共和国とその人民は、過去の旧体制において、多くの戦禍を近隣に撒き敷いた事を深く反省する。そして今再び世界平和と正義の実現を念願し、平和を愛する諸人民の公正と信義に信頼して、我々の安全と生存を保持しようと決意した。我々は、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努める国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。我々は、全世界の人民が、必ず対等に恐怖と欠乏から解放され、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
日本共和国人民は、自由に生きる全人民の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。
第一章 総国体
第一条 日本共和国は、混血社会主義の元に人民の指導する政府を基礎とする社会である。 全人民はこの主義の下に一切の身分的・性別的・民族的・出自的差別を受けずに共存する。
・二 人民連帯の象徴である国旗、国歌は法に定める。国旗・国歌に対する崇拝の強制を禁止する。
・三 国教はこれを持たない。
・四 元号はこれを定めない。公用暦は西暦と一致させる。
・五 混血社会主義は、教育と漸進的な社会的実践によりこれを普及する。
第二条 日本共和国の主権は人民にあり、すべての権力は、人民に属する。 この主権は当憲法に沿って行使される。他に一切の貴族的・神権的・封建的例外を認めない。
第三条 日本共和国は人民の選挙により選出される一院制の日本共和国人民議会、及び必要に応じて召集される国家調整委員会により運営される。
第四条 日本共和国の諸民族は、一律に平等である。政府は、すべての民族及びその混血の権利及び利益を保障し、諸民族間の平等、団結及び相互援助の関係を維持し、発展させる。民族性に対する差別及び抑圧も禁止し、並びに諸民族と混血者の協調を破壊せんとする行為を禁止する。 政府は、国内各民族の特徴及び必要に基づき、経済及び文化の発展を促進するように援助する。 日本共和国におけるいずれの民族も、自己の言語・文字を使用し、発展させる自由を有し、自己の風俗習慣を保持し改良する自由を有する。
・二 日本共和国において誕生した者は、混血として扱われ、その成長に応じて自らの望む文化を得る権利を有する。
第五条 日本共和国は、法治主義を実行する。 政府は、法秩序と人権の統一と尊厳を守る。 すべての法律は、この憲法に定められた条文に抵触してはならない。 日本共和国の政府機関、社会団体、企業は、この憲法及び法律を遵守しなければならない。日本共和国におけるいかなる組織または個人も、この憲法及び法律に優越した特権を持つことは出来ない。
第六条 日本共和国の経済制度において、搾取を追放し労働と必要に応じ平等に分配する社会主義経済と、科学および技術革新による合理自動化を併進させる。政府は自然資源の保護と活用を監督し、農林水産工業全分野において技術の改良と自動化を推進する。この過程において生じる余剰労働者の生活を保障し、最終的には全人民がより人道的な生活に従事し最高の人生を送られるようにする。
第七条 日本共和国は、諸教育機関と連携し、義務教育、高等教育他、青少年及び生涯に渡る学習と自己革新の機会を保障する。政府は識字率と教育環境の向上に勤め、人民が最高の教育を受けられる権利を保障しなければならない。
第八条 日本共和国は、芸術に関する事業、新聞・映画・音楽・ラジオ・テレビ・インターネット他これから発展するであろうあらゆる表現媒体、出版・発行事業、図書館・博物館・文化施設その他の文化事業を振興し、日本共和国における文化活動を奨励する。 政府は、旧跡、自然、文化財その他重要で貴重な歴史的文化遺産を保護する義務を有する。
第二章 平和主義
第九条 日本共和国人民は、正義と秩序を基調とする国際平和を求め、反帝国主義と国際主義を我が物とする。国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
・二 日本共和国救難予備隊及び執政官警護隊は、前項の目的を達するため、一切の対外的武装を保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第三章 旧皇室及び身分制度の廃止
第十条 旧憲法下における天皇制は廃止される。旧天皇制下における一切の皇族はその身分及び資産を解除され、人民議会と国家調整委員会の監督による適宜な手段の元、他の人民と同様の権利を得て一般人となる。
第十一条 日本共和国人民は天皇、皇后、皇族、それらの配偶者及び家族身分、他一切の貴族的・神権的・封建的身分制度の維持・復活に繋がる法制定を認めてはならない。
第十二条 旧天皇制下における旧皇族の刑事犯罪は、温情と和解の精神のもとに、これを免訴する。
第十三条 日本共和国人民は日本共和国の法律と自己の良心以外にはどんな権威または特定の個人に対しても、服従または尊敬を強要されることはない。
第十四条 栄典の授与は、授与者または授与団体のみに効力を持つ。
第四章 人民の権利
第十五条 日本共和国人民たる要件は、法律でこれを定める。性別、出自、混血、障害によってこれに区別を設けてはならない。
第十六条 人民はすべての基本的人権の行使を妨げられない。この憲法が人民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の人民に与えられる。
第十七条 日本共和国憲法が保障する自由と人権は、人民の永続的な努力と協力により保持されなければならない。
第十八条 日本共和国人民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する人民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十九条 日本共和国人民は、憲法のもとに平等であり、人種・性別・信条・社会的立場により差別をされない。
・二 日本共和国の男性・女性および性的少数者は、社会のあらゆる分野で、平等の権利を享有する。 政府は、その各人の生理現象に配慮しつつ、男女の同基準・同一労働・同一報酬を推進しこれを実行する。
・三 日本共和国政府は、過激な男女論・世代論の支配下におかれない。全ての解放政策は漸進的に行われる。
第二十条 日本共和国人民は、選挙及び自治体総会により公務員を選出または罷免する権利を有する。
・二 公務員は国家と人民全体に対する奉仕者であり、一部に対する奉仕者ではない。
・三 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
・四 すべて選挙における投票の秘密は完全に保証される。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。
第二十一条 日本共和国人民は、国家及び自治体諸機関に対する、損害の補償・公務員の罷免・法律の制定、改正または廃止に関する請願権を有する。この行使によるいかなる不利益も被らない。
第二十二条 日本共和国人民は、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより、政府及び自治体諸機関に、その賠償を求めることができる。
第二十三条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十四条 信教の自由及び宗教に反対する自由は、何人に対してもこれを保障する。国はいかなる宗教団体にも政治的な特権と権力を与えてはならない。
・二 日本共和国人民は、自己の意思に反して宗教上の行為、祝典、儀式またそれらの行事に参加することを強制されない。各宗教団体は社会及び他宗教と共存しなければならない。
・三 政府は、宗教団体の活動を監査し、免税及び課税に関する措置を検討し課すことができる。
・四 政府は特例として、旧体制に密接であった国家神道下における政策的追悼施設かつ戦争推進施設たる靖国神社を廃止する。政府はこれに代わる汎戦没者追悼平和祈念施設を設置し管理する義務を有する。
第二十五条 集会、結社及び言論、出版その他の表現の自由は、これを保障する。
・二 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
・三 年齢的規制、猥褻・残虐表現の規制などを目的とした法律及び条令を制定してはならない。
・四 政府及び企業は、人民の個人情報を最大限の防備体制で扱わなければならない。
第二十六条 日本共和国に居住する外国人の必要な権利は法律によって保障される。
第二十七条 日本共和国人民は、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
・二 日本共和国人民は、外国に移住し、または国籍を離脱する自由を侵されない。
第二十八条 学問の自由は、これを保障する。
第二十九条 日本共和国人民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
・二 日本共和国人民は、法律により、保護下にある子弟に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。
・三 政府は、義務教育下の児童に対し、教材を無償で供給する。
第三十条 婚姻は、両者の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
・二 政府は、同性婚及び国際婚を前項の条文に基づき認める。
・三 最低婚姻年齢は、男女ともに満十五歳とする。政府及び各自治体は、交際の制限を行う法律や条令を制定してはならない。
・四 妊娠から出産または中絶に関する意思決定は当事者両者の合意に基づく。
第三十一条 政府は、人口増加を目標とした計画的な人口計画を企画する義務を持つとともに、あらゆる出産及び養子縁組を祝福する。
第三十二条 政府は、先天的または後天的を問わず、あらゆる疾病感染者及び障害者に対し適宜な保護を行う。
・二 他の法律に定める例外を除き、本人の意思無く、隔離、手術、安楽死を行ってはならない。医療・療育関係者は、当事者が理解できる形で説明を行う義務を有する。
第三十三条 日本共和国人民は、個人の意思に基づき、他の人民を害さない範囲において、最高の生および最高の死を望み、それを目指し人生設計を行う権利を有する。
・二 前項に基づき、法に定める成人の自己決定及び生前意思による、安楽死・尊厳死、またその幇助を認める。
第三十四条 日本共和国人民は、勤労と休息の権利を持つ。日本共和国人民は、各々の能力に応じた適度な勤労を通じ日本共和国の維持と改良に勤める義務を負う。
・二 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。この法律は例外を除き賃金と労働条件に関し全国一律の基準で定められなければならない。
・三 別の法律に定める例外を除き、十二歳以下の児童の労働を禁止する。
・四 政府は娯楽およびその設備の運用を計画し、全人民の余暇を充実させる義務を負う。
第三十五条 労働者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第三十六条 財産権は、これを侵してはならない。
・二 財産権の内容は、法律でこれを定める。
・三 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。
・四 政府及び各自治体は、その公共的施設を建設するに際し、個人の財産権を直接害さないことを前提とした必要規模の土地を検討する義務を負う。この過程は公開されなければならない。
第三十七条 日本共和国人民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
第五章 司法
第三十八条 日本共和国人民は、いかなる奴隷的拘束も受けない。捜査と処罰の場合を除いては、その意に反する拘束を受けない。
第三十九条 死刑、終身刑及びそれに等しい長期刑、拷問刑は、これを永久に廃止する。
第四十条 民間における、法に定める例外を除いた事件に関する被害者及び加害者の実名を明らかとした報道はこれを禁止する。
第四十一条 日本共和国人民は、法律の定める手続によらなければ、刑罰を科せられない。
第四十二条 日本共和国人民は、裁判所において裁判を受ける権利を持つ。
・二 被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられ、また、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
・三 被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国選弁護人を保証する。
第四十三条 日本共和国における裁判は人民の基本的権利の尊重と和解の推進を根本精神とする。裁判は、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、憲法裁判所によって行われる。
第四十四条 日本共和国人民は、法に定められた明確な現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第四十五条 別の法に定める例外を除き、全ての裁判は公開される。
第四十六条 最高裁判所の裁判官は人民議会の推薦に基き、人民の信任投票により五年の任期をもって選任される。
第四十七条 各下級裁判所の裁判官はそれぞれ地方議会の推薦に基き、それぞれの地域の人民の信任投票により四年の任期をもって選任される。
第四十八条 日本共和国人民は、理由を直ちに告げられ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留または拘禁されない。また、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
二 被疑者は、捜査また取調に対し、弁護人立会いを要求し、また黙秘する権利を有する。このことにより被疑者の拘束に不利益があってはならない。
第四十九条 刑務所、拘置所、入国管理施設他公的拘束施設は、拘束者にとって安定しかつ衛生的に居住できるように運営されなければならない。
・二 拘留者は、法に定める基準のもとに外部との通信の自由を有する。拘束施設はこれを妨げてはならない。
・三 外国人を含む拘留者はその文化及び信ずる信条と宗教に従い尊厳ある立場を保つ権利を有する。
第五十条 日本共和国人民は、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、現行犯を除いては、正当な理由に基いて発せられ、かつ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、これを侵されない。
・二 捜索または押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状によりこれを証明する。裁判所は、捜査が憲法に基づき人民の権利を侵害しない適切な手段によって行われているか監査する義務を有する。
第五十一条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
・一 憲法裁判所を同時に組織する。法制定また裁判の進展により違憲審査の必要が生じた時は憲法裁判所に移管されなければならない。
・二 特別裁判所は、前項を除きこれを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
・三 すべて裁判官は、良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第五十二条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
・二 検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
・三 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第五十三条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。
第五十四条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成する。
・二 最高裁判所及び高等・地方裁判所の裁判官の任命は、前述条に定める。
・三 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。審査に関する事項は、法律でこれを定める。
第五十五条 裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
・二 裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第五十六条 日本共和国政府は、警察及び消防の補助として、災害及び治安上の有事に備え、救難予備隊を有する。
・二 救難予備隊の人員・装備は、法に定める基準により構成される。
・三 救難予備隊に関する予算は、国家年度予算の1パーセントを超えてはならない。
・四 救難予備隊は、いかなる対外侵出的武装も行ってはならない。軍隊、または旧政府における自衛隊・皇宮警察の性格を持たせようとする行為・法制定を禁止する。
第六章 議会、国家調整委員会
(議会)
第五十七条 日本共和国における国の唯一の立法機関かつ諸問題の討議機関として、一院制の人民議会を設置する。
・二 全人民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
・三 人民議会の議員の定数は、各県の人口の実情および社会情勢に合わせ、法律でこれを定める。
・四 人民議会においてはいずれの少数民族も、全て適当数の代表を持つ権利を有する。
第五十八条 人民議会及び国家調整委員会の開催形態においては、ネット回線による遠隔地からの参加やバリアフリー化など最大包括・最新技術の合理的運用を常に推進しなければならない。
第五十九条 人民議会は地方振興のため、法に定める年二期及び特別開会期間の内、一定の期間を日本共和国内の各県において開催する。人民議会の地方開催については別の法に定める。
・二 地方開催の際、当該地地方議会からの要請により、その地方議会における討議内容を共同で討議することができる。
第六十条 人民議会及び国家調整委員会においては、議員及び構成員は、人民と憲法に従い貢献する旨の宣誓を義務付ける。この内容は別の法律で定める。
第六十一条 人民議会の議員及びその選挙人の資格、国家調整委員会の人民枠選出については、法律でこれを定める。人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産または収入によって差別してはならない。
第六十二条 人民議会の議員及び国家調整委員会構成員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
・二 人民議会議員及び国家調整委員会構成員を兼ねる人物は、どちらも同基準で受け取ることができない。人民議会の歳費に、法に定める補助を受ける形で国家調整委員会分の歳費を受ける。
第六十三条 人民議会の議員は、法律の定める場合を除いては、議会の会期中逮捕されず、また会期前に逮捕された議員は、議会の決議による要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第六十四条 人民議会議員または国家調整委員会構成員は、人民議会及び国家調整委員会で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない。
第六十五条 人民議会の常会は毎年二期に分けこれを召集する。
第六十六条 人民議会は、人民議会の臨時会の召集を決定することができる。総議員数の四分の一以上の要求があれば、執政官はその召集を決定しなければならない。
第六十七条 人民議会が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、人民議会を召集しなければならない。
・二 人民議会議員と国家調整委員会構成員を兼ねる者は、総選挙の結果が明らかになるその当日まで国家調整委員会に在職することができる。
・三 閉会中、政府に緊急の必要があるときは、国家調整委員会の在職構成員による緊急集会を求めることができる。
・四 前項の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであり、次の人民議会開会の後三十日以内に、人民議会の同意が得る必要を有する。
第六十八条 人民議会は、その議員の資格に関する争訟を裁判する。議員の失職には、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第六十九条 人民議会は、原則公開とする。ただし、出席議員の三分の二以上が秘密会を要求し議決したときは、秘密会を開くことができる。
・二 人民議会は、その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、かつ一般に頒布しなければならない。
・三 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第七十条 人民議会は、その議長その他の役員を選任する。
・二 人民議会は、会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、また、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決と国家調整委員会の議決を必要とする。
第七十一条 法律案は、この憲法に特別に定める場合を除いては、人民議会で可決したとき法律となる。
第七十二条 人民議会は、国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第七十三条 国務大臣は、人民議会における議席の有無に関わらず、何時でも議案について発言するため議会に出席することができる。また、答弁及び説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第七十四条 人民議会は、弾劾委員会を設けることができる。
・二 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
(国家調整委員会)
第七十五条 執政官の諮問機関として、また人民議会の併存監査機関、民意の導入機関として、国家調整委員会を設置する。国家調整委員会は人民議会と並立してこれを監査し、執政官の諮問機関としての機能を有する。
・二 国家調整委員会は、人民議員より選出された一部の議員、地方議会より選出された一部地方議員、特定の政党に加入していない人民より直接選出された人民代表枠、議題に応じ各界より招聘された企業家・医師・学者・芸術家と言った有識者、そして補助として各省庁より派遣された官僚及び治安維持組織員より構成される。
・三 議会に属する者は法に定める議決によりこれを選出する。人民代表枠は、法に定める全人民の選挙によりこれを選出する。
第七十六条 国家調整委員会は、法に定める定例委員会、または執政官の要請か全構成員の三分の二以上の議決による臨時会を開催し、必要に応じて意見や議案を人民議会に送付することができる。
第七十七条 国家調整委員会は、人民議会の臨時会の召集を決定することができる。構成員の二分の一以上の要求があれば、執政官はその召集を決定しなければならない。
第七十八条 国家調整委員会は、人民議会の当該開催期間中において討議または可決された法案について別視点で監査し、法に定める基準の元で必要に応じて異議または再検討を要求することができる。
第七十九条 国家調整委員会は、日本共和国内における法に定める天災及び社会的な災禍が発生した際に、救難予備隊及び執政官警護隊の相当部門の派遣及び運用を緊急的に決議することができる。
第七章 執政官、内閣
第八十条 日本共和国の指導者及び対外代表は、日本共和国人民により選出される執政官と定める。
二 執政官の雅称は護混官である。
第八十一条 執政官は人民の代表、救難予備隊の責任者、混血社会主義の第一従事者として、政府を代表する。
第八十二条 執政官、及びその個人と機関を表す象徴に対し、一切の神格化・偶像化を行ってはならない。
(第X条 憲法制定に伴い予想される反動主義者との対決の為、特例として、執政官は、この憲法が定められてから、一定の期間は選挙を行わず、混血社会主義党指導者が就任する。
・二 執政官は一定の期間を経て、この地位を以下の条文に従う民選とする)
第八十三条 執政官は人民による選挙と人民議会の議決で、これを指名する。この指名は、他の全ての案件に先立ち行われる。
・二 執政官は、人民議会議員により弾劾することができる。弾劾決議には任期当初は人民議会における三分の二の票が必要であり、三期目以降は半数となる。
・三 執政官の任期は四年である。連続任期は無制限であるが、三期目の改選以後は弾劾議決決定数が項二の通りとなる。
第八十四条 執政官は、自身及びその他の国務大臣による内閣を組織する。
・二 内閣の三分の一は、人民議会議員の中から選ばれなければならない。
・三 執政官は、任意に国務大臣を罷免することができる。
第八十五条 執政官は自身の身辺の警護及び外交上の儀仗の為に執政官警護隊を編成する。
・二 執政官警護隊の人員・装備は、法に定める基準により構成される。
第八十六条 執政官及び国務大臣は、文民でなければならない。
第八十七条 内閣は、行政権の行使について、人民議会に対し連帯して責任を負う。
第八章 予算
第八十八条 国家財政予算の編成には人民議会の議決を必要とする。
第八十九条 食料品とその加工物、生活必需品、文房具他法律に定める生活用品に課税を行ってはならない。
第九十条 日本共和国政府は毎会計年度の予算を作成し、人民議会の審議を受け、議決により承認を得なければならない。事業計画については政府は毎年事業計画書を作成し、人民議会に提出しなければならない。
第九十一条 国家財政の決算は、全て毎年、会計監査院の検査をうけ、政府は次年度にその検査報告とともにこれを人民議会に提出しなければならない。
・二 会計監査院長は人民議会によって任命され、職務の遂行につき国会に責任を負う。
・三 会計監査院の組織と権限は法律によって定められる。
第九章 地方自治
第九十二条 日本共和国の地方自治体は、県・市町村により構成される。
第九十三条 日本共和国政府は、少数民族と当該地域との折衝と法に定める適宜な手段のもと、県の範囲において少数民族による自治地域を定めることができる。
第九十四条 各自治体は法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
・二 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の構成員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
・三 各地方議会はそれぞれの行政機関の活動を統轄し、地方予算を審議、確認し、法律の範囲内において地方的問題を議決しまたは命令を発布する。
第九十五条 当該地域において人民議会の地方開催が行われる際、当該地方議会は法に定めるところにより地方固有の議案について、または人民議会における議案について、共同討議を求めることができる。
第九十六条 各自治体の警察署長はその署の管轄区域内の人民によって選出される。これにより、警察制度が官僚的支配機構として固着することを阻止する。
第十章 憲法改正
第九十七条 日本共和国憲法の改正発案権は人民議会に属する。
第九十八条 日本共和国の地方議会は、総議員数の三分の二以上の同意をもって憲法改正の請願権をもつ。
第九十九条 日本共和国の憲法の改正は、人民議会議員の四分の三以上の出席によって開会される国会において、三分の二以上の多数を以て改正案を採択されなければならない。その後、一年以内に国民投票を行い、総投票数の三分の二以上の賛成を得られた後、改正が行われるものとする。
・二 国民投票に際し、政府は全人民が居住地に関わらず簡易に投票出来る体制を整えなければならない。
第百条 日本共和国の共和政体の破棄および特権的身分制度の復活、人種・性別・出身門地に対する差別の復活は憲法改正の対象となりえない。
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