おまえはいつも うへ ばかり 見る
塔を 頂を #トレンドを 「成功」とふ字面を
首の筋を 痛めるほどに 仰ぎ 仰ぎて
あ ん な ところに
ひかるものなど ひとつも 無いのに
——膝をつけ、おまえ。
——掌を 土に つけ。
そこに ほんものの 星座が ある
[ 林 床 星 圖 ・ 抄 ]
◇ 腐リウム座 fu R i u m
朽ちかけた 楢のうでに
銀の粉が ふいて
「もう要らない」と 云はれた者らが
微かに 微かに ひかる
——死ぬことを 怠ってゐる、と
おまえは わらう か
◇ 光 ゴ 毛 座 hikari-ge-za
しめった 石の頬に
縺れる 繊毛
ひとすぢ ひとすぢが
誰もアカウントを 持たぬ プラネタリウム
フォロワー ゼ ロ の 明滅
◇ 守宮ノ心ノ臓座 yamori-no-shinnozou
落葉の下 息をひそめて 打つ
ピ コ 、 ピ コ 、 ピ コ
おまえの 携帯の 通知音より
ずつと 真剣に
名のなき者の 生存證
◇ 露 玉 珠 座 tsuyu-tama-juza
蜘蛛が編んだ ちひさき網に
ひとつぶ ふたつぶ
夜のひかりを 抱きこんだまま
朝には 消える
——美シ ノ 消費期限——
◇ 菌絲の銀河
土の中 見えぬ場所に
気の遠くなる距離を つなぎ合ふ者ら
おまえが「孤独だ」と 呟いてゐる その間(あひだ)も
ずつと、 ずつと、
手を 握り合つてゐる
——
おまえは 頭を 垂れて
臍を 噛んだ
なんでも 踏みつけて 来てしまつた
何でもない と 思つて
何処にもない と 思ひて
踏 ミ 躙 リ テ 来て し ま つ た
——いいか、おまえ——
「 ひ か り 」 と は
たかみに 在るものの 名では ない
踏まれて 潰されて それでも
微かに 微かに 灯すもの の こと だ
おまえの 足の裏が
かすかに あたたかい
それが
おまえ 自身の
星 座 の は じ ま り
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