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混詩 「霧の象徴」 2018.09.30

混詩集 (第2話)

Juan.B

※親愛なる「ふつーの日本人」どもへ捧ぐ

タグ: #自由詩

1,267文字

俺の肌を笑っても良い

俺の訛りをナメても良い

しかし答えよ

今は昭和十ウン年でなく平成の末なのだから

君らを頭から捉える物など一人もいないのだから

安心して曖昧にせずに答えよ

どうせ混血に君を殺す力など無いから

何を心配している

何を怖がってる

 

質問

あそこにいる老夫妻と一族はなんだ

あの一族は何であんな場所にいるんだ

あの一族とお前らの違いはなんだ

あの一族と俺の違いはなんだ

あの一族が社会のより深くにいて俺がより浅くにいるのか

あの一族に何で日本の象徴を務めさせるのだ

あの一族が俺の象徴になると言うのか

 

もっと根源を問おう

あの場所にいる両陛下は

御性交するのだろうか

黒人やインディオでもなれるのだろうか

知的障害者でもなれるのだろうか

いや君らはそれを認めるのだろうか

バスに乗るきちがいの独り言には強く舌打し

象徴となるきちがいの独り言には至極感動し

 

お前らの心の奥底のじゅくじゅくした思い

黄色い肌と東京弁の永遠を信じ切れる心理

自分だけは何物でもないと言い切れる虚構

いつまでも普通の風景が続くと思い込む目

俺は全て良く知っている

半分ではない全てを知っている

 

自由を教える憲法学教授は8条までを足早に飛ばし

都内の一等地に総画数十七の謎のバカでかい占有地

定型文とワープロの自動入力の様な発言をする夫妻

そしてそれを揶揄すれば湧き出す臨時忠良臣民一同

我々の時には誰も助けに来てくれなかったものだが

 

なぜ俺が時代の末の今時に今更それを問うか

象徴だからだ

象徴ならば何かの力学が無ければそこにいないからだ

お前らがそれを崇めるならば

お前らは同時に何かを貶めなければならない

霧の様に掴み所の無くされた力学

なぜそれがあるのか?

 

老夫妻が微笑み屈み出歩き定型文を喋り世継が生まれたり生まれなかったり

人間であるはずのその一挙手一投足に聖なる意味があるなら

人間であるはずの俺の動作の一挙手一投足に愚かな意味が持たされる

そしてお前らは依然自分が何でもないと言う顔をしている

 

ある時は霧の様にそれを捉えがたくしたり

ある時は神話の剣の様に半実体の様に振り回したり

ある時は姿かたちのあるマネキンの様にしたり

ある時は人間だと言わせたのにまた神を見付けたりする

そしてその裏で

我々は泥になり

現実の惨めさになり

姿かたちのないお化けになり

道化宣言を言わされている

そしてお前らは依然自分を問わない

 

キミがあのステキな人々を心配する必要はないじゃないか!

なるほどそう言って心配する必要のない物を心配する者を心配して警官は我々をパトカーに乗せた

心配する必要のない物を心配する者から心配する必要のない物を守るために

心配する必要のない物の周りに怯え切った警官三百人

自分に重荷を乗せる者に重荷を載せる者に重荷を載せる者に重荷を載せる者にの終端を知らぬ人々が一億

俺とお前

 

俺を馬鹿にせよ

俺を嘲笑えよ

俺の肌のRGB値を論議していろよ

俺の訛りを糺した気になれよ

俺と会って五分でなめた口を利けよ

だがまず質問に答えよ

都心の穴に何を見ている?

© 2018 Juan.B ( 2018年10月1日公開

作品集『混詩集 』第2話 (全12話)

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