かの地
親戚どもの集いの中で
教室の中で
面接の中で
教会寺院の中で
役所の中で
我々の血は
特別とされ
強度の不明な架け橋とされ
曖昧とされ
忌々しくされ
いけ好かなくされ
一億総広告代理店だ
会議机の上に我々は並ぶ
警察は我々の名前をまず挙げる
フェミニストは我々を睨む
教師は我々を問題の例えにする
おっさんは酩酊してお前が日本がと繰り返す
良く聞け
出会って1時間で我々の出自を知ったらナメた口を利くバカ
我々が混血であることで社会にどう貢献できるか1分半も独演する面接官
我々を強制動員し勝手に一方通行の架け橋を作り上げる教師
国際強姦だのと造語し地図からハーグを切り取る男女論者
自分が何でもないと思い込んでしかも千代田区の一角は崇める日本人ども
我々とお前らに違いはない
我々は金玉の奥から垢だらけのペニスと臭い膣を経由し子宮に辿り着き卵子にぶつかってウンヶ月頑張り生まれました
天皇は金玉の奥から垢だらけのペニスと臭い膣を経由し子宮に辿り着き卵子にぶつかってウンヶ月頑張り生まれました
皇后は金玉の奥から垢だらけのペニスと臭い膣を経由し子宮に辿り着き卵子にぶつかってウンヶ月頑張り生まれました
総理は金玉の奥から垢だらけのペニスと臭い膣を経由し子宮に辿り着き卵子にぶつかってウンヶ月頑張り生まれました
貴方は金玉の奥から垢だらけのペニスと臭い膣を経由し子宮に辿り着き卵子にぶつかってウンヶ月頑張り生まれました
みんな一緒です
我々は精液や経血や糞尿で汚れます
天皇も精液や経血や糞尿で汚れます
君も精液や経血や糞尿で汚れますね
分かりましたか
返事は
我々を特別と呼ぶなら呼び続けよ
本当に特別になってやろう
我々は特別でないと言って来たのに君らがそう呼ぶなら
そうだ我々は特別なのか
俺も
警官が俺の出自を聞くその日まで
少なくともふつーだった
お前らは白い紙に黒だと言い張り続け
ある日本当に誰かが墨汁をぶちまけた
どこに居もしない悪魔を作り上げれば
馴染まぬ誰かがその役を背負わされた
そうなら思い起こせ
我々の両親は言葉と文化と地理を超え愛を交わしセックスした
そこからだ
そこから全ての特別が始まった
カンチセックスしよで全てが済むんじゃないぞ
君はタガログ語で愛を語れるか
お前はウルドゥー語で今晩の誘いを上品に言えるか
貴様はスペイン語のボリビア方言でもうすぐ絶頂することを伝えられるか
あんたは腹の子どもに幼児洗礼をさせるか生まれながらムスリムの伝統を施すか議論できるか
それでも我々は誇らずふつーであった
我々は一人間であった
もし我々が特別ならお前も特別でないのか
もし我々が劣るならお前も劣るのでないか
もし我々が半分ならお前も半分であろうよ
もしお前がナメるなら我々もナメるだろう
我々は鏡として製造されていないのに
こうも心を広く鏡としての役割を果たしてやった
そしてもう何も映すことは無いのだ
血に体に自由に悩む君よ
今少し耐え忍べ
自殺の予定は先伸ばせ
自らの血と足元に疑いのない者どもよ
笑い続けろ
そして我々がいつかお前らとあの微笑むばかりの一家を引っ立てる時にさえ笑っていろ
"混詩 「出自」 2018.09.26"へのコメント 0件