壊れてく
空もベンチも街路樹も
愛したあなたの墓標と共に
泡のよに
ぱちり弾けてきえてゆく
さみしい恋にさよならをする
捨ててきた
命のかけらを掻き集め
きみに会うまで生きなきゃと決めた
「行かないで」と
あの時あなたに言えたなら
今でも傍にいてくれたかしら
命より
大切な君を亡くしたのに
死ねない僕を軽蔑するかい?
もう二度と
恋などしないと誓うたび
なぜか最初の彼を思う
一度くらい
フラれたからって人生は
終わらないから大丈夫
嗚呼もしも
この恋が叶わないならば
人魚姫のよに泡になりたい
報われない
物語のよな恋をして
馬鹿馬鹿しさにため息を吐く
淡々と
別れを告げるその声さえ
好きだと思う自分を笑う
サヨナラと
笑って離れるのは平気
諦めるのなんて慣れっこだもの
昨日から
意味をなくした指輪はずし
ゴメンねといいゴミに捨てる
離れてく
喪失の虚像ニセモノの
やさしい微笑がぼくを壊す
大切な記憶は
ぜんぶ置き去りに
生きる為には重すぎるのだ
「あなただれ?」
きみはすべてを忘却し
世界をみんな透明にした
手のひらから
零れていった大切な人の数を
かぞえて眠る
うつくしき
夜空にからだを投げ出して
幾万の星に紛れてきえる
夢のよに
きえていった愛情は
いつか星になれるのか知ら
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