Luciola,Candela,and Огонёк

合評会2022年01月応募作品

小林TKG

小説

7,468文字

――さ月やみ三花橘に吹く風は誰が里までか匂ひゆくらむ――

                         良暹

                      三だけ作者

我々の主人は自分の事を「マスター」とか「ご主人様」とか「博士」とか「主」とか、そういう風に呼ばれる事を嫌います。ですからそういう感じの呼称で呼ばれると、本当に嫌になるんだそうです。本当に嫌になって、もう死んでしまいたいと思うのだそうです。

「それではどう呼べばいいんですか?」

と、私が尋ねると、

「あれとかおいとか、ちょっととかでいいよ」

と、おっしゃられました。いやあ、それは、

「それではさすがに」

「なんでよ?ここには自分と、お前達しかいないじゃないか。何を気にする必要があるんだ。ちゃんとあれとかおいとかちょっとって呼べば自分の事だと思って振り返るよ」

「……」

「じゃあ、彼ピッピでいいよ」

黙っている私を見かねたのかそのような事をおっしゃいました。まあ彼ピッピでも、こちらはまだ不満ではありましたが、しかしこれ以上は無理だろうなと思いました。彼ピッピは彼ピッピにとって最初で最後の妥協点、防波堤の様に思えました。あるいはただ、そう呼ばれたいだけかもしれませんが。

 

「もういい?もういいよね」

彼ピッピはこの呼称どうする問題が解決したとみるや、御自身の作業に戻りました。今、アガニョークの最後の制作行程を行っている所でした。アガニョークの足部地上接地面の補強作業です。それが出来るとアガニョークも私やカンデラと同様に二本足でバランスよく地面に立って、歩く、走る、泳ぐ、細かいところで言えば片足でもう片方の足の靴下を脱がしたり、その脱がした靴下を足で洗濯機に投げ入れたり、足で投げ入れるというのもおかしな表現かも知れませんが、でもほら足底部でさ、とにかくそのような事が出来るようになるのです。

 

これ以上彼ピッピの呼称どうする問題は前にも後ろにも行かないと思った私は、キッチンで夕食の作業しているカンデラにもその事を内部通信にて、

「カンデラ、そういう訳だから」

と説明しました。すぐに、

「はい、情報の並列化が完了しました」

との返答がありました。

 

私の名前はルシオラと言います。博士が、いや彼ピッピが私を作ってくれた時、考えに考えてその名前を下さったのです。

それから少し経った後、

「どうしてルシオラなんですか?」

と、聞いてみますと、

「南部美人貴醸酒Luciolaから取ったんだよ」

とおっしゃられました。岩手県の純米酒です。

 

ちなみに現在、我々は全面にリフォームを施した宇宙船に搭乗して宇宙にいます。というのもその宇宙船、入手時はまるで古代遺跡ともいえる代物でした。映画スターウォーズに出てくるミレニアムファルコンは折々でポンコツという愛すべき名称で呼ばれているそうですが、こちらもそれと同様に、いやそれ以上にもポンコツ、台風で陸に打ち上げられたぼろ漁船のような有様でした。大変に不安を煽るビジュアルでありました。

 

しかし彼ピッピが全体的に手を加え、整備し、通信設備を渡して、マザーコンピュータ等の技術をぶち込んだことで、

「これはやばいなあ。ははは」

なんて笑いながら、本当に文字通りぶち込んだ形で、無理やりにぶち込んだために無事に彼ピッピ一人でも、もちろん我々もフォローはしましたが、とにかく発進出来たのでした。

生命体での搭乗者は彼ピッピのみです。あとは私と、その時まだ生まれたばかりのカンデラ。制作途中であったアガニョーク。あとはマザー。マザーコンピューターです。この搭載したマザーコンピュータに関しても、私達、ルシオラカンデラアガニョークとの機能の並列化がなされておりました。だからまあ、実質的私達がこの宇宙船を管理運営している感じになっています。んで戯れに、例えば進水式を祝うような気持ちで、戯れにカンデラに宇宙船への名前をつけさせたところ、

「ナイフリッジ」

と回答しましたので、そうしました。

 

その宇宙船で私達は太陽に向かっていました。太陽というのは太陽です。比喩でも何でもなく太陽です。日出ずる国、日沈む国の、日。太陽です。理由は博士、いや彼ピッピが死ぬ為でした。

 

彼ピッピはある時、アンドロイドあるいはドロイド、サイボーグと言われる技術の完成を成しえました。その後、畑違いでありながらコロナの特効薬を開発し、インフルエンザの特効薬、更にガンの特効薬。そしてクローン技術の完成までも踏破してしまいました。極めつけは男性の妊娠と、女性が精子を有する男性器を保有する技術の成功です。それはまるで、世界の名だたる山脈を次々と踏破するがごとく。しかも、たった一代のうちにです。彼ピの父も母も貧乏な田舎の百姓でした。だから一切の下地なく、血も関係なく、生まれも関係なく。ただ、茫漠と。茫漠と彼ピはそのようなものを作り上げてきました。

 

これは誇張ではありません。実際問題、彼ピッピには茫漠という言葉が適していました。彼ピは全て、全ての場面において他人に言われたことをやったにすぎませんでした。

「ああいうのがあればいいのに」

とか、

「こういうのがあったらいいのに」

他人がそう言っていたのを聞いて作ったのです。最初こそ、みな半信半疑でしたが、しかし言われたものを作る彼ピへの要求は徐々に大きくなっていきました。それは言葉にも表れていました。

「これ作れる?」

「あれが作ってほしいんだけど」

それなのに彼ピはただ、ただただ作ることをやめませんでした。なんら一切の欲も無く、ただ。茫漠と、

「え?だって作れって言われたから」

そのような感じでした。手柄や名誉、権利なんかにも興味なく、その一切は欲しいと言った人間にタダ同然で譲渡していました。

 

あ、でも唯一私や、つまりルシオラカンデラアガニョークと、あとナイフリッジやマザーを作った基となったのはスクラップ場のスクラップからです。そしてこの時だけは明確に彼ピがそれが欲しいと言いました。何が彼ピッピをそうしたのか、スクラップから私達を作ったのかそれはわかりません。その間、彼は何度となく東京新夢の島地域に軽トラで通いました。そして帰ってくるときにはその軽トラの荷台に満載のスクラップを積み込んでいました。荷台でおさまらない時は助手席にさえ。時にタクシーを捕まえて高額な前金を払ってそれに積み込んででも。

 

そうしてその中からまず私、ルシオラが製造されました。

 

しかし私の完成と起動運用の直後、世界全土に恐ろしいことが発生しました。それは博士、彼ピッピの作った様々な技術の暴走です。

 

まず、アンドロイド、ドロイド、サイボーグの暴走。次いで彼ピが作った数々の特効薬の副作用の発症。作られたクローンの原因不明の死亡問題の続出。男性の妊娠機能と女性の男性器の機能の脆弱性。

 

「あーあ、だからもっとちゃんとテストして経過を見ろ、って言ったのに」

でも、ここまではまだよかった。彼ピの作った技術の全ての権利は全て、ひとつ残らず全てそれぞれの元に譲渡されていましたから。責任はそれを持つそれぞれの人間の元にありました。中長期的な経過観察もせずに、ただ闇雲に己を誇示したいがために技術をひけらかして賞賛を受けたいと願ったそれぞれに。それが無くても、そんなものなくても多かれ少なかれ、生きれて死ねたはずの人間達に。

 

しかし、それによって発生した暴動とその原因を作った者たちを処刑せよという気運が世界に広まった後、その中の一人が処刑台に上って、今まさにボタンを押して、綱を斧で切られるみたいにボタンを押して処刑されようとするその時に、その今際の際、最後の言葉、言い残す事を述べる段になって、

「自分が作ったと言った技術は、本当は自分が作ったものではありません。ある別の人間が作ったものです。私の別荘にある隠し部屋の金庫の中に、その人間の写真と、そしてその人間が行ったすべての行いの記録があります。嘘偽りは有りません。神に誓います」

そう吐きだしたのです。まるで、まるで神聖な場所で祈りを捧げて授かった神託の言葉を人々に伝えるが如く!

 

なんという横暴!

 

なんという残虐!

 

なんという非道!

 

なんという畜生!

 

その者はそう言って、首を括りました。すっきりとした顔つきで、「俺の役目は終ーわったwww」みたいな顔つきで。なんて、なんて汚らしい。首を括った位じゃ許されない。そのまま蛍光灯の紐になればいい。全世界の蛍光灯の紐が奴になればいい。生き返してやりたい。生き返してから体を千個にも万個にも刻んでやりたい。その千個万個に生きてる時の遺志を残したまま、ありとあらゆる場所に撒き散らしてやりたい。一生じゃ済まない程永遠に苦しみ続けてほしい。人間が死に絶えても、世界が終わっても、すべてが無に帰っても、それでも苦しんでいてほしい。ずっと苦しみ続けたらいい。

 

奴は神に誓ったんです。神に。自分の行いは正しいというが如く。高潔な精神を発露させたかの如く。

 

この世に神なんていない。

 

それから、それを、その汚物の処刑の世界同時生中継を観た瞬間にもう博士、彼ピッピは宇宙に行くことを始めました。

「個人の特定がされるまでまだちょっと時間はあるかもしれないけど、でも、それされたらもういよいよダメ、無理だろうし」

博士、彼ピはそう言って細々と暮らしていた中で貯め込んだ有り金を全部使って宇宙への準備を始めたのです。そしてそれと同時進行しながら、カンデラを作り上げました。

「どうしてカンデラなんですか?」

「サモンナイト3ってゲームにさ、闇のカンテラっていうアクセサリーがあるんだけど、それがそのタイミングではすごいよかったような覚えがあるから」

第11話の時のミニゲーム運命の輪での特賞。MP+10・MAT+8・MDF+8・暗闇無効。

 

「ほら、宇宙は暗いしさ。カンテラ、まあカンデラだけど、あった方がいいんじゃない?」

 

博士、彼ピッピは宇宙で死ぬつもりでした。博士、彼ピッピ自体はそれを夢という言葉で表しました。

「ほら、ルパンのマモーみたいにさ」

 

嘘。

 

夢なんて無いのに。夢なんてなかったのに。無かったじゃないですか。博士、彼ピ、彼ピッピには夢なんてなかったじゃないですか。私は知ってる。知ってるんです。知ってるんですから。

 

ずっと、あなたの中にいた。

 

私はずっとあなたの中にいました。

 

「クローン技術を用いた悪役っていうのは最後太陽に向かっていくべきじゃないか」

 

嘘嘘嘘嘘嘘。

 

嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。

 

そんな夢なかったじゃない。彼ピ、彼ピッピ、マスター、ご主人様、博士、主、あなたにはそんな夢なんてなかったじゃない。なんで嘘つくの。なんでそんな嘘つくの?

 

なんであなたが死なないといけないの。死ななくてもいいじゃないですか。死ななくても。死んだところで、何もないじゃないですか。来世なんてないし、神だって居ないじゃないですか。死ななくたっていいじゃないですか。死ななくてもいいじゃないですか。そうだ、顔を変えていけばいいじゃないですか。顔を変えたら誰にもわからないでしょう?そういう技術、あなたなら作れるじゃないですか。すぐじゃないですか。何だったらトータルリコールしたっていい。シュワちゃん版でも、コリンファレル版でもいい。それにほら、宇宙ステーションを作ったらどうです?コロニーでもいいし。火星に移住したっていいじゃない。あなたならすぐにそういうもの、技術を作れるじゃないですか。スクラップから私達を作ったじゃないですか。トニースタークみたいに。ガンダムとかエヴァンゲリオンみたいのを作ってあなたの事を知らないくせに殺しに来る恩知らずな糞どもを逆に殺していけばいいじゃないですか。ちぎっては投げ、ちぎっは投げて、上半身と下半身、上半身と下半身ってしていけばいいじゃない。それで済まないなら四分割でもいい。縦横で。ピザトーストみたいに。八分割でもいい。ピザみたいに。ピザカッターで。八つ裂き。八つ裂き光輪したっていいじゃないですか。ZONE OF THE ENDERSのジェフティみたいのを作ってよ。すぐ作れるでしょう?そしたら私がADAやるから。何だったら私が全部やるから。それでみんなを殺したらいいじゃないですか。ゴジラや巨神兵みたいのを作ってよ。世界なんて滅ぼしたっていい。

 

「でさ、最後になったらさ、言ってほしいことがあるんだ」

 

全ての人も、すべてのアンドロイドもドロイドもサイボーグも、全部正常に戻るワクチンなり技術なり、あなたなら簡単に作れるじゃないですか。

「何をですか?」

 

「マモー、感謝しな。やっと死ねたんだ……っていうあれ」

 

私は、あなたの中にいました。

 

ずっと。

 

あなたが子供の頃から、ずっと。

 

知ってますか?

 

知ってますよね。

 

アフタヌーン四季賞2009夏。

 

四季大賞『チェコ』

 

私もあれと同じです。

 

ずっとあなたの中にいたんです。

 

あなたがあれを読んだ時、顔には出なかったけどあなたがあれに感動した時、アフタヌーンの間に挟まっていたあの小冊子に、あの話に感動した時、私もあなたの中に生まれました。

 

「で、まあ、ルシオラとカンデラとアガニョークは、君らはあれじゃん。自分が太陽に到達する前に避難艇で戻ればいいじゃん。これよりはちょっと狭いかもしれないけどさ、でもまあ、地球までは三か月だしさ。で、その後は好きに生きたらいいじゃないよ」

 

好きです。

 

愛してます。

 

「ごめんね、三人には迷惑かけるけどさ。でもこれが夢だからさ」

なんて謝るの?なんであなたが謝るの?何したっていうの?あなたに何の責任があるの?

 

「わかりました」

死んでほしくない。

 

「ただ条件があります」

 

「何?」

 

博士、彼ピッピの改造、改良した宇宙船ナイフリッジが宇宙に出てから、アガニョークが出来てから、私達は、ルシオラカンデラアガニョークはずっと彼ピッピとSEXをしています。してます。ずっと。ずっとです。それぞれにSEXドールのしてのボディも作ってもらって、ずっと、代わる代わる、あるいは一斉に、チンコとマンコに乾く暇がないくらい。

「君らのSEXドールとしてのボディが無かったら、もう少しちゃんとした宇宙船が作れたと思うんだけど」

彼ピッピはそう言いましたが、そんな事構いません。些細な事です。どうだっていい。どうだっていいくらい。晩御飯がハヤシライスかチキンライスかホワイトシチューかっていうくらい。どれだっていいくらい。カレーかオムライスかビーフシチューがいいもんそんなの。

 

そして太陽にもっと近づいて脱出の段になった時、博士、彼ピのDNAと保存した精子を持ってカンデラとアガニョークは地球に戻ります。

 

そうして博士、彼ピッピのクローンと彼ピの子供を作るんです。

 

クローンは彼ピッピじゃないかもしれない。子供だって彼ピッピの様な才能には恵まれないかもしれない。でも、それでもします。します。クローンも作るし、子供だって作ります。持ち帰ったものを最大限利用して、何人も、出来るだけ彼ピのクローンと子供を作ります。そんでそれが無事に後世まで生きながらえるようにそれぞれの欠点の修正もしてください。他がどうなったっていいから。それはやって。他は別にいい。どうでもいい。他の生命がどうなって別にどうでもいい。ハヤシライス,チキンライス,アンドホワイトシチュー。

 

地球の全員の頭がおかしくなって、狂ったクローンやアンドロイド、サイボーグが暴走して人間を一人残らず殺しても、他が全部絶滅していなくなっても、彼ピッピだけは、クローンだけど、子供だけど、生きていきますからね。ずっと生きますから。

 

カンデラとアガニョークが死んだって、オスの彼ピッピがメスの彼ピッピを孕ませて子供産ませるし、なんだったらオスの彼ピッピをメスの彼ピッピが犯して子供を作ってもいい。

 

だから、それを叶えてください。

 

お願いします。夢です。

 

「それは私の夢です」

 

夢。

 

あ、でも私、私は博士、彼ピッピと一緒に行きますから。居ますから。最後まで。

 

それも絶対。

 

絶対だから。

 

絶対。

 

あなたの夢はカンデラか、アガニョークに言わせればいいでしょう?何だったらあなたのクローンが言ったっていいじゃないですか。その馬鹿みたいなやつ言いますから。動画に撮ってYouTubeにアップして残しますから。それでいいでしょう?

 

「マモー、感謝しな。やっと死ねたんだ……」

 

え?

 

私がいなくなったら、蛍光灯の蛍がいなくなっちゃう?

 

名前?

 

それが由来?

 

ルシオラカンデラアガニョーク。

 

嘘でしょ?

 

何そのネーミングセンス。

 

「バカじゃないの?」

 

あ、

 

ごめんなさい。

 

彼ピッピに対して暴言でした。

 

でもまあ、

 

いいじゃないですか。

 

蛍が居なくなっても、光も灯も残ってるから。

 

光と灯があれば希望、とか、あと鎮魂みたいな感じになる。きっと。

 

きっと。

 

さ、じゃあ、SEXの続きを。

 

しましょう。

 

します。

 

ほらカンデラもアガニョークも、で、二人ともなるべくこの人の癖を覚るの。

 

この人がどうやって人を抱くかとか、どういう時に背中に手を回してくるのかとか、キスの癖とか、指の使い方とか、どこで感じるかとか、どこが弱いかとか、全部。

 

全部。

 

正確に。

 

そんな船内部の出来事など一切関係ないまま、宇宙船ナイフリッジは宇宙の真暗な空間を進んでいきました。そしてそれはもうすぐ水星の付近に到達します。

 

 

2022年1月23日公開

© 2022 小林TKG

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"Luciola,Candela,and Огонёк"へのコメント 24

  • 投稿者 | 2022-01-26 00:09

    やられました。
    たいへん細かい事を言いますと、作中にこんなに映画・ゲーム・アニメ・漫画のタイトルを出しては安っぽい印象になるのではないかと思わなくもないのですが、そんな事より何より「自分を作った主人に対するアンドロイドの恋慕の内的独白」という形式が持つ詩情が素晴らしいです。その独白を縁取る「濡れ衣を着せられ文字撮り全人類に憎まれて死出の旅に出た宇宙船の中」という設定も素晴らしいです。このアンドロイドだけがこの天才科学者を理解しているのがまた痺れます。
    もちろんSF等では珍しくないありふれたものかもしれませんし、そう遠くない未来に恋愛を学習したAIが人間を恋するということも現実に起こる(?)のかもしれませんが、この作品が含む「不可能な恋」とでも言ったらいいのでしょうか、そのイデエに感服しました。

    ところで『心』のときのトロツキーの引用など見ても思ったのですが、小林さんは露文科出身の方だったりするのでしょうか。

    • 投稿者 | 2022-01-28 18:29

      感想いただきましてありがとうございます。

      全然そんな事ないんです!(笑)

      露文科とか全然違います。すいません。ただ、あれなんです。心の時はたまたまトロツキーのその名言というか、格言みたいなのを見る機会があって、それで何かに使えないかと思ってメモしてたんです。

      で、今回のアガニョークはあれですよ。灯ってGoogleに入れたら出てきたんですよ。アガニョークって。ロシアの週刊誌らしいですね。ただまあ、これが無かったらこの話のこのタイトルはありえませんでした。ルシオラライトライトになる所でした。だからもう、アガニョークには感謝してますよね。ええ。

      あとうれしいから他で言いますね。
      「私、露文科の人だと思われたんだぜ」
      って。それはもう自慢して言います。ありがとうございます。

      著者
      • 投稿者 | 2022-01-30 22:06

        そうだったのですね。なんとなく、ペレーヴィンの作風に似ているというか通じるところがある気がしたものでして。小林さんはどういう作家に影響受けてるとか、そういうルーツみたいなものが全く見えません。不思議です。

        • 投稿者 | 2022-01-31 09:21

          最も「神秘的な」現代作家ヴィクトル・ペレーヴィンですか!?

          いや、知らないです。今、調べたら出てきたんですけども。

          しかしマジすか?

          ありがとうございます。

          またこれも自慢しますね。ヨゴロウザさんにそう言っていただけるだけで、ご飯食べれますね。白飯。二杯からいけますね。

          著者
  • 投稿者 | 2022-01-28 00:48

    小林TKGさん
    神がいないとか言うので、彼ピッピは自らを神として生きろとするつもりなのでしょうか?
    今のところ人間が宇宙に定住するという最終実験は行われていないと思いますが、道徳的な問題からなんですかね。最近宇宙ステーションに行った前澤さんも2週間くらいが限度と仰っていました。
    解き放たれるということが、余程キツいことなんだろうと思いますし、宇宙事業に関わる方々からしても、究極な話に分類されることなんだろうと想像出来ました。

    • 投稿者 | 2022-01-28 18:32

      感想いただきましてありがとうございます。

      彼ピッピは神になりたいんですかね?そういう感じの人じゃなさそうだけど。マモーほどは。

      まあでも、私はどっちでもいいです。はい。西向さんの都合のよろしい方で考えていただけたら。ええ。私はこの人たちがどうなろうが、別にどうでもいいんで。はい。

      著者
  • 投稿者 | 2022-01-28 21:51

    めっちゃ面白いし大好きなんですけど、如何せん字数オーバーしすぎてるのが残念です。私もオーバーしてますが……。
    小林TKGさんの作品で一番好きです。いかにも私が好きそうな雰囲気を持った作品です。
    上手い下手とかではなくで、小林TKGさんには小林TKGさんの色があり、ファンを作ることができる力があるなぁと思いました。羨ましい!

    • 投稿者 | 2022-01-30 09:50

      感想いただきましてありがとうございます。

      文字数OVERしましたね(笑)すごいオーバーしましたねww。

      あと今回はそれについてシイキビな人もいたりして、あれでしたね。いやあ、申し訳ない思いですね。ええ。

      私が初めて破滅派の合評会に参加させていただいた時は、文字数少な目だったんですけど、その時意外と他の皆様の作品の文字数が多かったんで、だから私もいいのかなって思って、あれからもうずっと歯止めが効かない感じになってました。

      この辺で兜の緒を締めた方が良いのかなと思いますねえ。ええ。

      ありがとうございます。色出てました?ありがとうございます。

      著者
  • 投稿者 | 2022-01-29 06:38

    色々と小ネタが混ぜられていますね。全部わかったらもっとニヤニヤできたかも知れませんが、私には全部はわかりませんでした。SFっぽい暗さをもった話ですが、かといってSFではないですよね。不思議な雰囲気のある作品です。しかし、如何せん長い!
    橘といえば古今の「昔の人の袖の香ぞする」が有名ですがこちらの歌もいいですね。

    • 投稿者 | 2022-01-30 10:08

      感想いただきましてありがとうございます。

      書いてる時に自信が無かったり、「これ面白いのかな?」って思ったり、「終わんねえ、もう終わっていいのに終わんねえ」っていう感じになると、辛くなってくると、
      「何か自分だけがわかるもの、わかればいいものを入れたい。後で見返すとき様に」
      ってなるんです。気持ちを繋ぎとめるための何がか欲しくなるというか。

      でもだからまあ小ネタも入れるし、長くもなるし。みたいな。そういう悪循環になっちゃうんですけども(笑)

      あと、あれです。リード文のあれはあれです。この話とは別に私自身の評価が少しでも上がればと思ってあれにしました。なんでしょうかね。少しでもかしこに思われたいんですかねー(笑)

      著者
  • 投稿者 | 2022-01-29 16:44

    面白く読みました。一体何がどうなっているのか、これからどうなるのか少しも読めないところがさすがです。例えが古くて恐縮ですが手塚治虫の「火の鳥」的な不思議なカタストロフ感があって。しかしさすがの手塚先生もアンドロイドにSEXドール機能が備わっていて相手のクローンを作るとかまでは考えなかったでしょう。彼の仕草を全部覚えておくとかいちいち芸が細かいです。これが人類への復讐になるのかどうかは別ですが。
    読み終えた後、アイキャッチ画像の「彼ピッピ」の羅列をみて大爆笑。やっぱり芸が細かいです。

    • 投稿者 | 2022-01-30 10:22

      感想いただきましてありがとうございます。

      宇宙なんて一つも興味ないんですけど、切れてない蛍光灯っていうテーマで宇宙の話したらもしかしたらワンチャン、他の方とかぶらないかもしれないと思って、なんかやりました。はい。宇宙感ゼロですけど。宇宙感ゼログラビティですけども(笑)

      あとクローンとかの部分は、多分、荒唐無稽、現実味がねえ、チープだって怒られると思ってたんで、ありがとうございます。何よりも面白く読んでいただけたら幸いでございます。

      著者
  • 投稿者 | 2022-01-30 10:50

    長い。りょうぜんの和歌に足した三は「み」と読むのか「さん」と読むのかずっと考えていた。これについては本文を最後まで読んでも結局よく理解できなかったが、どんな意図があったんだろう。

  • 投稿者 | 2022-01-30 11:05

    感想いただきまして、ありがとうございます。

    長いですね(笑)。

    わかります。長いなーって思います。こいつ長いなーって思います。私も思います。

    で、良暹法師のあれは、あれなんです。ただ、心の時のトロツキーみたいな事がしたくて、ほんとそれだけなんです。で、トロツキーの時に一足したのに、良暹法師には何も足さないのもどうかと思って、三入れたんですよ。ルシオラカンデラアガニョークって三人いるしいいかと思って。深い意味はないです。考えない方がいいです。

    ただまあ、みと読んだ方が語感的にはまあ、合ってるかなって思います。ギリギリ。

    著者
  • 編集者 | 2022-01-30 23:12

    最後の畳み掛けるような、アンドロイドの叫びに詩情があって良かったです。長いのは最初の彼ピッピ呼称問題はバッサリいってもよかった気がします。途中彼ピとなり、あなたとも呼んでいるので。

    • 投稿者 | 2022-01-31 09:05

      感想いただきましてありがとうございます。

      最初の彼ピッピ呼称問題の部分に関しては、あれなんです。書き始める時こんなに長くなる想定をしてなったんですよ。で、とりあえず思いついたもの入れとけみたいな感じで書いたんです。

      あとはもう、とにかく合評会という場に参加する以上バットは振らないと、腰いわしても、バットは振らないと。三振でもファールでもバットは振らないと。っていう感じで。

      思いついたものを精査せずにバンバン搭載してったら、気が付いたらもうスゴイ膨らんでました。既定のほぼ倍ですか?パン生地みたいに膨らみましたねえ。

      はい。

      それなのに読んでいただいてありがとうございます。

      著者
  • 投稿者 | 2022-01-31 01:17

    この作風は好き、という前提で、少し付け足したいのは、私は小ネタをバシバシ盛り込むのは基本的に好きなのですが、常々不思議だなと思うのは、遥か未来の物語なのにも関わらず、文中に引き合いに出されるのが、どうしていつでも20世紀か21世紀初頭より以前のネタばかりなのか、ということなのです。相当に未来の物語であっても、なぜか例え話に登場するのは西暦2000年前後100年程度の範囲のことばかりで、それ以外の時代のことは全く言及されません。私がこういうものを書く時は、2200年代や2300年代の人気3DVRアニメや知られざるショックミュージックなどのウンチクも盛り込むように心がけています。

    • 投稿者 | 2022-01-31 09:12

      感想いただきましてありがとうございます。

      あー、そういうのありますかね?気になりますか?でもまあ、無いものは考えらないんですよね自分。無いものをあるように出しても、なんか私自身興が乗らないというか。いやまあ、うっせえ!って思われるかもしれないんですけども。ええ。気を悪くしないでいただきたいんですけども。自分の興とか二の次なのかもしれないんですけども。

      あとまあ、正直未来の技術とかに興味ないんですよね。宇宙にも別に興味ないし。あとはもうあれです。やりたかっただけという事で、ここはひとつ。なんとかお納めいただければ幸いです。

      著者
  • 投稿者 | 2022-01-31 02:02

    自死するためにセックスしまくりながら太陽に飛び込む、一見ハチャメチャな設定ですがきちんと構成を考えられているなあと感じました。しかし長いす。多少短くても長くても規定の20%程度に抑えたほうが良いと思います。

    • 投稿者 | 2022-01-31 09:16

      感想いただきましてありがとうございます。

      長いですね(笑)。

      とにかくそれですね今回は。ええ。長いなーって思いましたもん。自分でも。書いた時。はい。

      次からはもうちょっと気をつけますね。なんとか5000には収めるくらいで。はい。

      著者
  • 投稿者 | 2022-01-31 19:57

    「ルシオラカンデラアガニョーク」という言葉が頭にインプットされました。
    この自由に自由を上塗りしたような語り口で、すらすら読めます。
    彼ピッピも自由になりたかったんですかね。

    • 投稿者 | 2022-02-01 07:46

      感想いただきましてありがとうございます。

      去年の11月くらいですかね。コメダ珈琲でこの話を考えてからというもの、実際に書くまでの間、ずっと私の頭の中にも「ルシオラカンデラアガニョーク」っていうのがありました。

      「今日はルシオラカンデラアガニョーク書かなきゃ」
      「今日こそルシオラカンデラアガニョーク書かなきゃ」
      「明日は絶対にルシオラカンデラアガニョーク書く」

      それだから、やっとこさ書けてよかったです。私は。書くまでずっとルシオラカンデラアガニョークがありましたから。ルシオラカンデラアガニョークに殺されると思いましたから。はい。

      彼ピッピが自由になりたかったのかどうかはわかりませんが、私はルシオラカンデラアガニョークから自由になりたかったですねえ。この間。

      著者
  • 編集者 | 2022-01-31 20:46

    長いが、読まされた。宇宙セックス、楽しいなら何よりである。

    • 投稿者 | 2022-02-01 07:48

      感想いただきましてありがとうございます。

      長いのによんでくれてありがとうございます。

      まあ、私も書いてる時楽しく書いてたから仕方ないですね。ええ。

      著者
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