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仙人

かきすて(第37話)

吉田柚葉

最近、書き終わってからタイトルに困ることが多かったのでタイトルをつけやすいものを書きました。

タグ: #ユーモア #リアリズム文学 #哲学

小説

2,414文字

昼はハンバーガーをたべたいというので、マクドナルドハンバーガーに仙人をつれていった。仙人は、Tシャツにジーンズといういでたちで、すっかり日本にとけこんでいる。

ぼくと、仙人と、通訳者の男の三人で行った。

あらかじめくるまのなかで仙人のたべたいものをきいておいて、モバイルオーダーで注文した。仙人はビッグマックがたべたいとのことだった。

われわれは四人がけの席についた。うまくたべられるものか、と心配したが、仙人はボロボロとこぼしたりすることなく、まるで手なれたものだった。

「上手ですね」

とぼくが言うと、りちぎにも通訳者が訳してくれて、仙人はなにやらポツポツとつぶやいた。通訳者によると、

「わたしが修行にはいるはるか以前から、ハンバーガーはそんざいします」

とのことだった。つまり、仙人もある時期まではハンバーガーをたべてそだったのだ。

店をでると、仙人はさんぽをしたいと言いだした。駐車料金が気になったが、仙人のやりたいことをさせることにした。

新宿のまちは、ひとであふれかえっていた。仙人が人酔いをしなければよいと思ったが、仙人の足どりはかるい。

ちょっとあるくと、ひとだかりができていた。仙人はつかつかとその人だかりにちかづいていった。

若ものたちが、金髪の男をかこんでいた。わかものたちは、その金髪の男と、写真撮影をしたがっているらしかった。金髪の男に見おぼえがあった。たしか、有名な動画配信者である。

仙人がなにか言った。通訳者は、

「あれはだれですか」

と訳した。

「有名なユーチューバーです。じぶんで動画を撮ってネットにアップロードしていて、とても人気があります」

とぼくはせつめいした。仙人は納得したらしい。

© 2021 吉田柚葉 ( 2021年11月27日公開

作品集『かきすて』第37話 (全40話)

かきすて

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