ドライサーディン

ハギワラシンジ

小説

584文字

君はオイルサーディンかもしれないけど、僕は乾いたサーディン。

今考えていることはなんですか?
それはたぶん、オイルサーディンのこと。ラトビア産の、おいしいやつ。あとは成城石井で買った、さくさくのポテチ。
僕はおそらくそう答える。
「暇なのね」
そうとも言う。
「なら、一緒に踊りませんか。どうせ、こんなところ、誰も来ないだろうし」
彼女はそういって、ソファに腰かけた足をぱたぱたさせる。僕は指を意味もなくぱっちんぱっちんさせる。
「僕は躍り方知らないよ。知っていても踊らない。シャイだから」
「じゃあ、なんならするの?」
彼女はそう言う。
僕はなにも言わない。
僕はフリーマーケットに持ち物を出品してる。家の全部とテレビと車。それで、今は売り物のソファに腰かけてる。
「なんならするの?」
彼女は言う。
僕はフリーマーケットの商品を手に取っていく。なんとなく。
「やめてったら」
僕は彼女の手をとる。
誰も見てないさ。
「見えるかもしれないわ」
構わないよ。
「それがしたいの?」
僕は手を手に取る。
そして、煙草に火を点ける。僕は煙草を吸ったことはなかった。でも吸ってみたくなった。誰かの手を取ったまま。
僕は彼女を部屋に連れ込んで、楽しくお話をした。ラトビア産のオイルサーディンのこと。イギリスのビスケットのこと。
それで、話が尽きて、彼女が言う。
「なんならする?」
  • 「もしかして、何もないの?」

2017年9月8日公開

© 2017 ハギワラシンジ

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