大人との生き辛さ

名探偵破滅派『あなたが誰かを殺した』応募作品

山谷感人

エセー

1,585文字

 作品全体に漂うテーマからも推測。

 規定の十九章まで拝読を終える前にでも、犯人は子供のどっちかだと思った。何故なら冒頭からずっと大人は春那以外は所謂、疚しそうな連中であるし子供二人も、そうした大人を疎ましく思う描写が続く。また、古典ミステリの時代から有る「子供が出てきたら何かしでかす」の先入観も有った。
 さて、では犯人(共犯)はどちらか。桧山は流石に「彼は無罪でした!」は破綻する故に有り得ない。
 然し途中から冒頭から読み直し、推測すれば朋香しかいない。先ず持ってタブレットを駆使しているトコロから物語は始まっている。更に明瞭な事実で海斗は両親を殺害されていないし裕福な家庭でも無い為、共犯でした、で終われば「サイコパスのガキでの結末」で破綻する。
 次に、何度も朋香は賢い娘と描かれている。そんなの、どう考えても怪しい。
 久納も交えての共犯かと考えたが桧山の妹で兄から襲われたなる箇所を読んで外した。流石に、ソレが「嘘でした!」なら興醒めする。桧山自体が世間や家族(所謂、自身より精神的に大人)に恨みつらみを持っていた、の箇所がテーマでも有るだろうから。結句、基本は朋香と桧山の二人での計画犯罪に至ったと思う。
 どう出逢ったか? 寄宿舎に居る朋香は外出が余り出来ないだろうから、諸々なアプリをしていた時、偶々だと考える。数年前、桧山のモデルかも識れない父親に殺害された高級官吏の息子がネットで発言多数だったのも踏まえて、そうだと推測するしかない。

 さて、では動機は何か。まあ桧山は自棄のヤンパチだから(ファンタシーのゲームばかりで現実逃避していた、なる描写からも)どうでも良かっただろうが、朋香はどうか? コレは何度も落ち込んでいるで出て来るルビー他界が必ず関わっているのは間違い無いだろう。
 そもそも途中で久納が加賀達に言った、朋香の猫は屋内飼いだが「時々」は外に出れるようにしていた、その時に何か悪いモノを食べ他界は基本、有り得ないのである。私事だが以前、猫と暮らしていた経験者として屋内暮らしをさせていると外には出ようとしない。ましてや、自ら悪いモノなぞ食わない。よしんば誰かに与えられそうになったら逃げる。ハナから桧山の妹だと判っていて一緒にいた久納にまでハナシているのだ、少女は相当なるショックであっただろう。そこで「何故、自身が寄宿舎に居るのか?」も考えた。頭脳明晰・描写多数、そうして外出が出来ずインターネットを夜にするしかない少女は(作中、snsのハナシも多数)両親の本質を識り、思い悩んだ。そう云えば自殺サイトを桧山がやっていた、なる箇所が有ったから、自暴自棄になり入ったそこで出逢って、乙女心で「多分、猫を両親が他界させた。猫の方が大切だ。殉じたい」みたいな流れで投稿したらフーテンの桧山が「両親、ヤルよ俺が」になりラナウェイトレインになったのだろう。
 後は簡単で、テレなんとかで連絡を取り合った二人はバーベキューの時に情報交換をした。栗原家の鍵が空いていたのも朋香が共犯の朋香が共犯の確定箇所だった。地価収納まで用意するヤツがドアにしろ窓にしろ、締め忘れる訳がない。
桧山が朋香テレなんとかで連絡し桧山が両親を殺害。ヤンパチの彼は他も襲った。無論、ナイフで。朋香も流れで何もしない訳にはいかないから、一人くらいは殺害したかもしれぬ。だがそうなると屈強な大人には少女だからヤレないから桂子か? そこは把握は出来てない。
 それと桂子が握っていた紙切れの一部と、ナイフの数が、ああだこうだは判らない。

何れにしろ十九章まであった大人が怪しまれる行動は、少女が犯人である証拠だろうの現代屈指のエンタメ・ミステリ作家からの「大人(世間)は馬鹿で汚い」なるテーマの作品だと感じた。

 追記・春那に関しては、彼女だけ健全なのはフェアじゃないと思うから何かしろ過去にあったかだろう。なにせタイトルが「あなたが誰かを殺した」な故に。
 

2023年12月18日公開

© 2023 山谷感人

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