最近の念頭にあるのは『声と現象』という書物です。直接的な言及はないにしろ、小説というものを考えるうえで大変なヒントになっています。『美学イデオロギー』は何度も読み返すほどのことは書かれてはいませんが、批評のスタイルは完全にこの書物をまねています。
2010年代のアニメや、ここ数年のVTuberの活動を好んでいます。これらキャラクターの声を、どうにかして小説に取り入れられないだろうかと模索中です。
意識としての現前性の特権が声の優越性によってしか確立される――つまり歴史的に構成される、また証明される――ことができないということ、これこそが、現象学の中でいまだかつて一度も舞台の前面に出たことのない明白な事実[=明証性]なのである。
(ジャック・デリダ『声と現象』33頁, ちくま学芸文庫, 2005年)