拓実は家に帰ってから軽く朝飯う済ませると、学校えと向かった。
朝のサーフィンの練習で、何時も早起きをしているので、学校内は先生の他にちらほらと生徒達がいるだけで、拓実は自分のクラスに入るのであった。
自分の机に座ると、鞄から教科書を取り出し引き出しの中にしまう。
ふと、今日の朝に起きた出来事を考えてみても、あれはあきらかに見てはいけないなにかを見てしまったと、有り有りと思い返していた。
「もしかしたら俺はあの世の世界をみたのかな」
独り言のように呟いていたら、あの助けてくれた男性のことを思い出す。あの人は一体何者なのか、そして自殺したいという気持ちがあるなら俺は止めたりしない、あの男性が言った言葉がどうしても拓実の脳裏に焼きついて離れなかった。
学校に飾っている時計をずっと眺めていたら、急に誰かが拓実の体を軽く二回叩いた。振り返ると、そこには姫カットをした身長の高い女の子が優しく微笑んでいた。
「おはよう拓実君。何時も学校に着くの早いね。私なんか髪整えるのに時間がかかちゃてどうしても遅くなちゃう」
拓実に話しかける美しい美少女は土井みどりという拓実と一緒に学校生活を送る彼女であって、時折体が弱いこともあってか学校を休む時もあり、拓実に甘える性格で拓実も彼女の事を毎日気にかけたりと、一緒に休日はデートをしたりしている。
「俺は何時もサーフィンの練習を朝早くからしてるから早いんだよ。毎日かかさずやってるからね」
「私なんか毎日サーフィンやってたら体がもたないよ。凄いよね拓実君は。あ、そういえばさっき拓実君ぼーとしてたけどなんか朝から嫌なことでもあったの」
みどりの指摘に拓実は今日自分の身に起きた朝の出来事を話そうか迷っていた。きっと話したらどうみどりに思われるか分からないが、一様話してみようとおもった。
「朝から何時もの通り大洗のビーチで泳いでたら霧が出てきて、そのまま余裕かましてたら辺りが霧に包まれて見えなくなっちゃたんだけど。俺、そこで変なもんみちゃたんだよ。日本兵とか少女とかが海水の上に立ってて、青白い顔をしてるんだ。多分あれは幽霊だったのかもしれない」
「え、拓実君幽霊みたの」
「んん、多分。それで霧だけになっちゃて帰れないと諦めてたら、急にオヤジがやってきて浜辺まで俺を連れてってくれたんだよ。あのオヤジがいなかったら俺は死んでた」
拓実は少し笑いながら話していたが、みどりは何処か真剣な表情で言う。
「もしかしたらその人、もうこの世の人じゃないんじゃない」
なぜ、あのオヤジが拓実の前に突然霧の中から現れて、しかも拓実を助けたのか謎であった。あの深い霧をどうやって自分を見つけ出せたのか、又勘だけで浜辺に着けたこともあのオヤジは普通ではない。すると自分は幽霊に助けられたのかと背筋が凍るが、しかし確かに引っ張れて浜辺に着いた時まで手の感触や、それに生きている人の顔だと、思い返してもあれは生きている人間であったと感じていた。
「みどり、あれは生きている人間だったよ。きっと海のことを深く知ってるオヤジなんだよ」
「そうかな。でも私こんな話し聞いたことあるよ。海送りて言って昔は死んだ人を海に流してたんだって。棺桶の家族の遺体を入れて棺桶ごと流すんだって、すると神様が向かえに来てくれて、あの世に行けるんだってさ。でも、もしその遺体が海から帰って遺体が生き返ったらそれは悪霊が遺体に憑依して町に災いが起きるんだって、昔おじちゃんがそんな話しをしてくれたな」
「もしかしたら……」
拓実はそれ以上の事は考えたくなかった。あれは確かに生きてる人間であって死んでる人間ではない。変な寒気が拓実の体を全身駆け巡る。
「怖がらせるなよ」
「なんてね」
みどりは笑いながら拓実をちゃかした。
二人はお喋りに夢中になっていると、担任の先生がやってきて、
「これから出席を取る席に着け」
と、号令がかかる
急いでみどりは自分の席に着き、周囲の生徒達も席に着く。
拓実は自分の名前が呼ばれるまで、教室の外から見える空の景色を眺めていた。
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