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エンギリ:DC

小林TKG

えええええええええええええええええっ!?

小説

5,200文字

エリンギとエンギリは似ている。

そう、生命体が思った、考えたのは、ベローチェの店内での事であった。ベローチェとはカフェの事である。その生命体はよく、平素から、池袋の東口の側にある。三店舗、のどれかに訪れていた。訪れまくって、レシートを集めて、四十周年記念黒ねこサマーキャンペーンの黒猫ハンドタオルを二枚もらっていた。しかし、その時その生命体が居たのは、池袋のベローチェではなかった。新宿区、花園神社すぐ脇のベローチェであった。池袋から新宿までは、埼京線だと一駅。歩くと、生命体の足だと大体、一時間分離れている。生命体はそれを歩いた。よくとは言わないが、まあ、定期的に歩いた。新宿区の、花園神社のその先に、新宿御苑があるからである。その昔、生命体はよく新宿御苑に通っていた。年パス、年間パスポートも持っていた。新宿に行くなら、新宿御苑に行かなくてはいけない。生命体の中にはそういう考えがあった。そういう思考があった。思想と言っても構わないかもしれない。
「女は男に仕えていればいい」

と、昔の人間、男が考えたように。それと同じように生命体には、
「新宿に行くなら新宿御苑に行かなくてはいけない」

という思想があった。

それに加えて、花園神社である。これには生命体の護国寺に参るという行為が大きくかかわっているのだろう。生命体は池袋に行くなら護国寺に行かなくてはいけない。という思想も持っていた。護国寺に行って参拝し、日々の事を護国寺にお伝えしたりしていた。
「明日は池袋から新宿まで歩いて花園神社さんにも参ってきます。どうかよろしくお願いいたします。明日は新宿に行くので、護国寺には来れませんけども、また来ますのでどうかよろしくお願いします」

両者に関係があるのかどうか、生命体は知らない。護国寺からしてみたら、知らない人の話をされて困惑しているのかもしれない。でも、とにかく伝えるのが大事だ。あるがままに。ありのままに。アナ雪。生命体はそう考えていた。言いたいことも言えないこんな世の中なのである。ポイズン。神前でくらいは、素直でいてもいい。素直に話をしてもいい。

そして、ベローチェ。池袋で贔屓にしているベローチェ。ベローチェが新宿にもある。歩いた先に、花園神社さんのすぐ脇にある。それが、生命体を池袋から新宿まで歩かせる助力となっているのは多分ある。

新宿御苑、花園神社、ベローチェ。スリーカード。スリーカードならなかなか負けない。フルハウスとか、ストレートとか、フラッシュとか、そういうのが来られたら仕方ない。そう思える。

池袋から、新宿の花園神社の脇にあるベローチェまで歩く。それが無事に終わったら、ベローチェに入ってモーニングを頼む。日によって先に花園神社に参る事もある。大抵は後だけど、たまにそういう事もある。例えば……。

ベローチェのコーヒーはアイスコーヒーでLサイズにする。更に、プリンか、コーヒーゼリーもつける。それはまあ、一言で言えば、
「よしよし、来た来た。お疲れ様お疲れ様」

という事である。

注文した品が全て揃ったら、大抵の場合、アイスコーヒーとプリンか、コーヒーゼリーはすぐに提供されるが、モーニングのパンは、少々焼いたりする時間があるため、ほんの少し時間がかかる。生命体はその間に席を確保して、トイレの洗面台で手を洗う。汗を拭いてカバンからタバコを出して準備をする。パンが出来上がって呼ばれたら、レジまで行ってそれを受け取り、自分の席に戻って、トレーの上に、パンの皿を乗せる。その後、Lサイズのアイスコーヒーを、ほんの一口だけ飲む。喉の渇きを無くすために。ほんの少しだけ。それからタバコを吸いに喫煙室に入る。タバコを一本吸い終わったら、席に戻って、またコーヒーを一口だけ飲む。モーニングのパンを食べる。コーヒーを飲む。モーニングのパンを食べている間はスマホは見ない。

その日、生命体は先に花園神社に参拝していた。理由は、ベローチェの入り口が見える所まで来たタイミングで、海外の人々らしき団体の皆さんが、ベローチェに入っていったからだ。レジの混雑が予想された。だから先に花園神社に行くことにした。生命体にとって、それは苦渋の決断であった。花園神社に行って、ベローチェだと、逆方向に進む事になる。新宿御苑に対して逆方向。ほんの少しだけど。気持ち的に少し、勢いがそがれる感じがある。ほんの、ほんの少しだけど。ちなみに新宿の花園神社の近くにもう一つ、もう一店、ベローチェがある。新宿マルイアネックスのすぐ脇に。新宿御苑により近い側に。花園神社に行って、こちらのベローチェに行けば、逆方向に進むという事も無くなる。しかし正直な所、生命体はそのベローチェを幾分よくない感情で捉えていた。理由は地下だから。地下が悪いというわけではない。ただ、スマホの電波を捉えにくい。そんな印象を持っていた。もしかしたら別の理由があるのかもしれない。生命体の使っているスマホの機種が古いからとか、たまたまとか、そういう諸々の何かがあるのかもしれない。しかし実際問題、レジで注文してスマホを出して、ベローチェのデジタル会員証を出そうして、出せなかった事があった。以前あった。生命体はそんなに辛抱強くない。顔の皮も厚くない。気持ちも小さい。心も弱い。不安になるとすぐにあれこれよくない事を考えてしまう。だから、
「会員証はいいです」

と言って、その時、会員証を出すのを諦めていた。そして、それを誰にも言わないまま、なんとか風化させようとする。少しずつ少しずつ、その事を削っていくのである。生命体の心の中で。大きな塊をトイレに流せる位の大きさに砕いて、そしてそれを少量ずつトイレに流す。生命体の心の中で。顔では笑っていたり、なんとも思っていないような表情をしている。でも、生命体は小さい生き物なので、本当はそうではない。カスハラとかパワハラとか、したい。したい時はしたい。でも、しない。暴れたり当たり散らしたりしたい。でもしない。迷惑になるから。ネットニュースとかになるかもしれない。醤油を鼻に突っ込んだり、ぺろぺろしたりする奴と、同じように思われるかもしれない。それは嫌だ。嫌だなあ。故に砕いて削って、トイレに流している。他には一人カラオケに行って、ハンバートハンバートの透明人間を歌ったり、日帰り入浴施設に行ったり、散歩したり、考え事したり、何も考えなかったり、神様に報告したりして心が溢れないようにしている。あとお話に書いたりして。

花園神社の側にあるベローチェで生命体はふと、
「エリンギとエンギリは似ている」

と思った。思い至った。考え至った。エリンギの事を考えていた。エリンギの事を考えながら生活していた。破滅派の合評会のテーマがエリンギだったから、だからエリンギの事を考えていた。
「料理の話とかしようかな」

と思っていたのだが、料理の話はNGとの御触れが書かれていた。それを見て生命体は絶望したのである。
「マジか」

料理の話。エリンギの料理の話、しちゃいけないんだ。

まずエリンギを●●な▼▼▼に××。その後×××エリンギを□□□□に入れて、それに✘を§§する。少しするとエリンギから■が〇〇○○。▲▲▲によってそうなるのだそうだ。それからそのエリンギに※※※と¶¶¶、ΨΨΨΨΨ的なものを§§§。ΔΔΔΔΔにΦをμμμ、それでЪЪββきにする。これがマジで美味くて、実家でやった時本当においしくて。驚いちゃって。マジで。
「これだけの事で、こんなにうまいんですか!」

って家族総出でわっしょいわっしょいってなって、父の遺影とか祖母の遺影とか持って、わっしょいわっしょいってなって、永ちゃんのライブみたいに。タオルみたいに。遺影とか骨壺とか。わっしょいわっしょいってなったのだけど、でも、それは書いてはいけないのである。

料理NGなのである。NGな事をやって、それでまた何か問題が起こったら、もうほんとに嫌なのである。生命体には彼の地でのそういう前科があるのである。一生消えない罪。前科持ち。犯罪者。それで、だから、つまり生命体の思考は座礁した。入江まで来てしまったクジラやタイタニック号みたいに(タイタニック号の沈没の理由は座礁ではないそうです)。

そんな中で、そんな中であるが故に、生命体にとってその思考は、
「エリンギとエンギリは似ている」

その思考は光明に思えた。後光が差している仏様に思えた。天から垂れてきた蜘蛛の糸にさえ思えた。花園神社のおかげだろうか。あるいは前日の護国寺だろうか。いや、今日はやっぱり花園神社かも知れないなあ。

いや、でも、そうなるとちょっと待てよ。

生命体は余計な事を考えた。この生命体はよくそういう事になる。余計な事を思う。考える。その日、ベローチェより前に花園神社に参拝したのは、ベローチェに団体客が入っていったから。
「レジ混むなあ」

って思ったから。だからベローチェより先に花園神社に参拝した。だとしたら、
「あの団体客のおかげか?」

あれはイエス・キリストの一行か何かだったのか。あるいは、あの中に世尊とアーナンダがいたりしたのだろうか。ああ、世尊の死因もキノコだったとかって、瀬戸内寂聴さんの本で読んだな。こうしてすぐに脱線する。生命体の頭の中はこういう構造になっている。サブイベントにすごいのめり込むみたいな。ゼルダの伝説の時のオカリナで、流鏑馬ばっかりしちゃう感じのやつ。流鏑馬ばっかりやって全然先に進まなくなるやつ。そんな時、最近の生命体は、舌打ちをする。

ちっ。

舌打ち。する。人、他人にバレない様に。小さめに。気を使って。口を手で塞いで。この時、生命体はベローチェで、舌打ちをした。

他人を不快にさせたり、嫌な気持ちにさせたり、悪名高い行為の代表、舌打ち。

この舌打ちには思考を切り替えるという効果があるのだそうだ。思考のスイッチング。電気のオンオフみたいに。グラデーションなく。スイッチをパチンとするみたいに。思考の切り替えに効果があるのだという。

嫌悪、嫌だ、気持ち悪い、と思われているもの、行為にも意味があるそうだ。例えば独り言は自分の頭の中を整理するための行為らしい。本当かどうか知らない。でも、生命体はなるべく周りに誰もいない時は独り言を言うし、舌打ちも、思考のスイッチングというのを聞いてから、する。本当かどうか知らない。今更本当じゃない。嘘でした。って言われても困る。脳は実は5パーセントしか使われていないとか、暗いところで本を読んでも目が悪くなるわけじゃないとか、そういうのの感じで。今更、違いました。嘘でしたって言われても困る。生命体にとって独り言は脳内テトリスだし、舌打ちは思考スイッチングだし。

生命体は思考スイッチングの後、花園神社と護国寺のおかげだという事で結論づけて、その後、スマホで、
『縁切り神社』

と入れて検索した。縁切りといえば、寺だろうか、神社だろうか、生命体は迷ったが、花園神社の近くだから、神社にした。護国寺に近くに居たら、縁切り寺にしていたかもしれない。

縁と一言に行っても、いいものばかりではない。悪縁というものもある。どうしてもギャンブルしちゃうとか、パチンコ行っちゃうとか、そういうのだろうか。別れたことに腹を立てて、ストーカー化して引っ越し先を突き止める男。好きな人の家に勝手に侵入してしまう女。悪縁。悪縁を断ってくれる。縁切り。

新宿御苑の少し先、信濃町に於岩稲荷というのがある。そう出てきた。
「於岩稲荷、なんて読むんだろう」

おいわ稲荷だそうだ。おいわ。お岩さんの。
「お岩さんのっ!?」

あの、お岩さん。ああ、確かに近くに四谷三丁目駅がある。神社、於岩稲荷田宮神社。お寺もある。すぐ隣に。陽運寺。
「行かなきゃ。これはもう行かなきゃ」

新宿御苑の外周を回って信濃町に行って、於岩稲荷と陽運寺に行って、そんで新宿御苑に戻って、御苑の中を一周して。大温室に行って、イランイラン見て。ああ脳汁。脳汁。出てきた脳汁。あああ脳汁。

あああああああ。

自慰できる。

自慰できるもんなら自慰できる。

この感じ。

更に近くにエリンギって名前の居酒屋とか無いかなあ。ないよなあ。でもあったらなあ。ねえかなあ。あったら、もう触れないでも出る感じ。

触れないのに出る感じ。

びゅって。

ビューって。

出る感じじゃないか。これは。

於岩稲荷とか、陽運寺でエリンギ売ってたりとか、そんな事になったらもう、出ちゃう。二回とか。出ちゃう。

あとエリンギってЖ湾の&&夜‰なんかでは、£££££のエリンギをσσσσσでЭЭЭにして№№№に■■■し、ГГГの◎◎◎◎(✗✗✗塩◇◇◇◇、ΩΩ、ЯЯЯ、ёёёなど)で@@@した「ΞΞΞ(θθθθθθ)」が¥¥¥です。:::のような***な//が~しめるそうで☆彡☆彡☆彡。

© 2026 小林TKG ( 2026年7月23日公開

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