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玻璃ノンデ、

無花果回

「玻璃ノンデ」──
嘘を刺す針ではなく、嘘すら通り抜けさせてしまふ透きとほる森。
それが、もしかすると、いちばんやさしい罰。
幼年の指切り儀礼を言語の剥離として書いた
友情詩『玻璃ノンデ』を書きました。

タグ: #言語詩 #詩

397文字

ゆ・び・き・り
四つの音を、最初に空へ放った指は
もう、どこにもない

 

げんまん、と重ねれば
拳が、万、降る
──痛みの記憶を持たないまま
ちひさな灯として

 

ノンデ、の後の沈黙が、長い
ハリセンボン、まで言ひきれなかった舌が
途中で、玻璃はりになる
透きとほる針の森を
嘘は、刺さらず、通り抜けてゆく
──どこにも刺さらぬことが
もしかすると、いちばん、こはい罰

 

小ユビと小ユビ
絡まるのは、ひといき分
地上でもっとも脆い橋
渡り終へた、ふり、だけが
歳月のあはひに、しづかに
積もる

 

ちかひ蚕ちかひこ
結ビ目の闇へ、糸を
吐きつづけてゐる
言葉にならなかった温みの
なれの果てとして、細く、白く

 

──やがて

 

音は、文字から剥がれ
文字は、紙から剥がれ
紙は、誰からも、剥がれ

 

届かなかった「うん」
その「う」と「ん」の、あはひで

 

今も、微かに
結ばれつづけてゐる
ちひさな

© 2026 無花果回 ( 2026年4月23日公開

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