ゆ・び・き・り
四つの音を、最初に空へ放った指は
もう、どこにもない
げんまん、と重ねれば
拳が、万、降る
──痛みの記憶を持たないまま
ちひさな灯として
ノンデ、の後の沈黙が、長い
ハリセンボン、まで言ひきれなかった舌が
途中で、玻璃になる
透きとほる針の森を
嘘は、刺さらず、通り抜けてゆく
──どこにも刺さらぬことが
もしかすると、いちばん、こはい罰
小ユビと小ユビ
絡まるのは、ひといき分
地上でもっとも脆い橋
渡り終へた、ふり、だけが
歳月のあはひに、しづかに
積もる
ちかひ蚕は
結ビ目の闇へ、糸を
吐きつづけてゐる
言葉にならなかった温みの
なれの果てとして、細く、白く
──やがて
音は、文字から剥がれ
文字は、紙から剥がれ
紙は、誰からも、剥がれ
届かなかった「うん」
その「う」と「ん」の、あはひで
今も、微かに
結ばれつづけてゐる
ちひさな
指
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