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生活の中の断片的な詩集II

人間賛歌(第59話)

山雪翔太

生活の中での他愛も無い短い詩集です。一部短歌。

タグ: #散文詩 #自由詩

356文字

潰れた自転車を押しつつ

汗をかいて転ぶ我に

何を言うか、啄木よ

 

満員電車に揺られ

スーツの大男の湿った温かい背中に触れる度

幸福とは何か考えたりする

 

皆が降りる駅ならば

何人か途中で放り出せばいい

まずは僕が放り出され

そうして無様に死ぬのだから

 

隣に座った見知らぬ老婆にさえ

儚い暖かさを覚えたりする

 

はるかぜに吹かれ乾くはスイミング終わりの小人の濡れたる髪

 

道端の中年の浮浪者と目が合って

僕と彼は似ていると思う夕暮

 

Deep StateとTrumpの

闘いを眺める今日この頃

 

蜘蛛だと思われ潰される哀れな埃

 

三島の影に侵されて日本刀持つ国民達

 

いつも隣に座るのはくたびれた顔の中年なり

 

好青年の恩師の隣に美女が座る時の微笑ましさ

© 2025 山雪翔太 ( 2025年5月17日公開

作品集『人間賛歌』第59話 (全69話)

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