風が僕を撫でたんだ
僕が家を出て行って
新しい家に住んでいる時も。
冷たい風が僕の髪を撫でたんだ
僕が颱風に怯えている時も
その隣で今どこにいるのか
もう分からない父親が寝ていた。
ぬるい風が僕の涙を撫でたんだ
僕の昔の家の近所の赤ちゃんが
小学生の女の子というアイコンになっていた時も。
僕は一向に変わらない。
……
その時風がまた僕を撫でると
僕はきっと風なのだと心の奥深く
地下七階で僕はノートに書き残した。
……
そうしてこの地下七階の中でも
風が僕を撫でたんだ。
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