銘木仙台萩

途中のパーキングで仮眠をとったせいか、仙台に着いたのは昼を回っていた。

仙台と言えば国分町だ。コインパーキングにマーチを停めてヘルスにでも行こうかと案内所を探した。繁華街の辻にある風俗案内所はオープンが夜の６時と書いてあり閉まっていた。

そうだ、郵便局に行かなければならない。道行く老婆に場所を聞いてみた。云われた場所がいまいちわからないなぁと思っていたのを老婆は察したのか、「私もそちらのほうへ行きますので案内しますよ」、と優しく声をかけてくれたので、ご親切に甘えることにした。

郵便局で￥９，０００を支払い、晴れて無罪放免となった（２点は減点されるが）。

考えたのだが、店舗型のヘルスでは本番は難しいだろう。デリヘルの方が良さそうだ。

そう思いながら外に出てみると老婆はまだそこにいた。無視をして立ち去るのも非常識だと思い、「すみません。国分町ははじめてなんですが、おすすめのデリヘルとかありますかね？」と聞いた。

「若い娘と人妻系ならばどちらがお好きですか？」、と聞かれたので、「できれば自分と同じくらいの年だと燃えますね」と答えた。

「それならばマンマミーアは評判が良いですね」、と云ったのでスマホで「国分町（スペース）マンマミーア」と調べたら女性の顔がたくさん出ているサイトが出てきた。

「すみません。ありがとうございました」と言うと、「ごゆっくりお楽しみくださいね」、と老婆はネギの頭が出ている買い物カートを引きながらゆっくりとした歩調で離れていった。

サイトに書いてある電話番号を押してみると電話がつながった。

「いつもありがとうございます。マンマミーアです」

「すみません。今からでも大丈夫ですか？」

「はい大丈夫です。ご自宅ですか？　ホテルでしょうか？」、ホテルに入っていないことに気が付いた。

「まだホテルに入っていないんですが、この辺にお勧めのホテルってあります？」

「はい、ございますよ。こちらでご予約をお取りすることもできます」、それは助かる。

「じゃあ、おねがいするとして……あの、ちょっと質問なんですが」

「なんでしょう？」

「一人でホテルに入るのが恥ずかしくて……」

「ああ、そうですよね。それならばどちらかでお待ち合わせして女の子と二人で入るのはいかがでしょうか？　いまどちらにいらっしゃいますか？」

「たぶん近くの郵便局の前です」

「信号を渡ってすこし入ったところの郵便局ですか？」

「そうです」

「そうしましたら、そちらまで女の子を行かせますので……。ご指名とかありますか？」

「そうだ、ハッピー宮城というサイトから見ています」

「ありがとうございます。ハッピー宮城さんですね。それでは代金は２０００円引きとさせていただきます。そちらのサイトで当店の名前が書いてあるところを押して頂けますか？　はい。そうすると本日出勤と書いてあるところがあると思います。そこを押してください。現在待機中と赤い文字で書いてある女の子が指名できますので」

云われたとおりにスマホの画面をタップしていく。コノハ２８歳・Ｔ１６９・８４（Ｃ）・５７・８４などが写真と共に書いてある。

「ちょっとこのまま選んでもいいですか？」

「どうぞ、どうぞ」

コノハは年を取りすぎているし身長もでかい。もう少し低い方がいい。

そうそう、だいたい４つくらいは鯖を読んでいるだろう。といっても一番若い娘で１９歳だ。そうなると２３歳か……。まあ、そのくらいならよかろう。

キララちゃんかナノちゃんかそれが問題だ。

詳細を見てみよう。

キララちゃんは「Ｑ．初体験は？　Ａ．１５才のときで～す。超緊張した！」１５歳といえば中三か高一だろう。森田は中二のときだから森田の方が早い。

「お店からのコメント：Ｓ級新人嬢！　子猫のような愛くるしい表情『キララｃｈａｎ』入店です！　幼めな雰囲気のお顔立ちからは……」

ナノちゃんのページに移動する。初体験は書いていない。「Ｑ．得意プレイ　Ａ．深くまでふぇらと素股」ふむふむ……。

「お店からのコメント：続々新人ラッシュ中！　アーモンドのような魅力的な肌と丁度よい肉質も女の子ならではの本質の引き立ててくれます！　『触れてみたい…』と思った男性陣は正常……」

校正ミスな文章と丁度良い肉質というのが気になるが、スリーサイズと全身写真を見る限りデブではなさそうだ。よし、ナノちゃんにしよう！

「ということでナノちゃん空いてますかね？」

「えー、少々お待ちください。後の予約が入っている女の子もいますので……。はい、ナノさん大丈夫です。二十分ほどお待ちいただければ郵便局の前につきますが、よろしいですか？」

「そしたら郵便局の中で座って待ってます。髪が青くて、ＭＥＴＡＬＬＩＣＡと書いてある黒いＴシャツ着てますので。ところでナノちゃん体重５４キロ以上ではないですよね？」、「ええ、ナノさん細身ですのでご安心ください。ところでお時間の方はいかがしましょう？」

「えーっと、１２０分だといくらですか？」

「２９，０００円に指名料が１，０００円。ハッピー宮城さんからのお客様ですので２，０００円をお値引きさせていただきますので２８，０００円になります。あと、ホテル代は別途になりますのでご了承ください。よろしいでしょうか？」

「じゃあ、それでお願いします」

「はい、ありがとうございます。お電話するかもしれませんが、番号は掛けていただいている番号で……はい、わかりました。上のお名前だけお伺いしてもよろしい……はいありがとうございます。それでは２０分ほどお待ちください。ホテルまでナノさんがエスコートいたしますので。それでは失礼いたします」

よく教育されているオペレーターさんだと思った。世の中すべてのコールセンターがマンマミーアのお兄さんのようだったら争いのない平和な世界になるだろう。

（４）へ続く