欲情と相談室の、臭い粘液ソテー。

巣居けけ

小説

1,679文字

性行為がわからない……。少年をいたぶる感覚だけが、血液として体内を巡っているような気がする……。

研究職のジョンは自分の灰色のデスクに戻り、最初の手順としての珈琲倒しを行う。資料が臭くなると同時に、それらを呼びつけた部下に押し付ける。ジョンは女部下の引きつった笑みで湯を沸かす……。

椅子を力強く後方に送り出す。椅子は四肢に接合された最高の滑車によって走り出し、女の部下のデスクを破壊し尽くす。しかしジョンは自分の椅子に座ることができる。正確には、もともと椅子が置いてあった場所に残る、椅子の残留重力によって自分の身体の体重を逃がし、デスクでの作業を開始すると同時に身体を休ませる。隣町からのインタビューでこのことを話す彼は、最後に決まって、「研究者にとっての身体は貴重なサンプルだから」と笑みを作る。インタビュアーの女はカメラを捨ててジョンの頬に接吻を続ける。連続的にテレビの電源が消える。

傾斜したドーナツが押し寄せ、海のような波を研究室に再現することができた。ジョンは自分の肝臓に穴を作ることで、配達の催促の唾液を回避している。木曜日の六角形の中心にはデパートがある。少しの変化も無い、日常のような本棚の埃がそびえたつ。ジョンは工場の穴の上の、新聞紙の香りがする斜面をと珈琲豆を、有害な作用もなく歩いて移動している。
「あんたは見たところ、正社員ではないんだね?」部下の一人が、課長の社員メールを持ち歩きながらジョンの居るカフェテリアに侵入してくる……。「だってここの珈琲は、他人用に作られているんだから!」

ジョンは、ひどい野次馬の前で卵の赤色を取り出した過去がある。彼にとっては腐食か、自警団の皮が張り付いた県警のような毎日の中での、消しカスのいたずら程度にとらえていたが、デパートの中の従業員の約半数は違った。あの手さばきと、取り出した赤色との湾曲が音を生み出し、鳥のようなダンスに魅了されていく、薬剤関係の跪いたコックたち……。

蛙で完成されたカツラを使う部長たち。彼らは居酒屋のような雰囲気の料亭で互いのネクタイを奪い合う……。腋毛で作られた刺身を女将が持ち運んでいる。眉間に仕込んだ切っ先でスーツを切り裂き、自分が有能なシリアルキラーであると思い込む。
「おれは女の臓器を呑んだことがあるんだぞ!」
「ほ、本当かね? こっちに座り込んで、さっそく話を聞かせてくれないか」座布団を引っ張り出しながら正座を滑り込ませる。使い古されている畳が剥げていき、あらわになった土の床に臓器呑みの部長が正座をする。
「実のところおれは、路地裏暮らしを経ているんだ」
「それなら孤児だったということかい?」
「……おれは母親の乳房で飢えを凌いだ」

テーブルの上の蛇口をそれぞれ握る。女の肩甲骨のような湾曲の蛇口。鉄の無機質な暖かみの中の、微小な金属臭さが鼻孔を埋め、窒息感と共に部長たちを宙に浮かせてしまう……。「蛇が呑んでいるぞ……三日月のような蛇だ」

干からびた部長たちは新しい研究材料として、ジョンの居る研究施設に送り込まれる。彼らを運んだ配達係は、両手持ちのダンボールからの金属臭に頭を悩ませて、ひたすらにトランペットを吹く姿を目撃した。

全員が、熱の籠ったチェーンソーで自分の腕を切り落とそうと必死になる。

上司が、金の入った貯金箱で息子の腕を買い落そうと必死になってしまう。

ジョンは白衣を翻しながら歩いている。「こっちの方が楽だから」

給湯室では上司のでぶが、連れ込んだ社長の甥の金髪を撫でている。自分の大きな手のひらにすっぽり入ってしまう甥の頭。上司の黒い素手が金髪の一本一本と戯れる……。
「ほら、ここにあるのは熱湯だよ。わかるかい?」左手に収まっている深緑の湯呑。湯舟に浮かぶ精液のような湯気が、浮かんでは消えているそれを甥に近づける。甥は流し台に付けられている、女性の肩甲骨のような湾曲の蛇口を、固まった顔で見ている。
「ね、これをキミの耳にぶっかけたら、キミの耳は牛になってしまうんだ」湯呑を傾けて、甥の耳たぶに熱湯を掛ける。「つまり蝸牛。耳の中の、渦巻き……」

洞窟専用の滑走路の破片が、地面に対しての『散髪』を実行するかげで、研究者の全ては地面を覗き込むことができる。

2022年1月23日公開

© 2022 巣居けけ

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