「三千万円出そう、年にだ。」
白服の男が言った。ライトが眩しく、顔はわからない。
家が買える。妻や娘の嫌味・嫌がらせから開放される。車だって8年落ちの中古で買ったカローラじゃない。BMW、いやベンツの小さいやつが買えるかもしれないな、そのほうが良い。見栄えが良いほうがいい、かっこよく見える。
ゴルフだって好きなだけやれる。コソコソしなくたっていいんだ。お供で連れてかれるだけだけでない、一人で好きなだけ行けるのだ。
それより何より、「今まで俺を見下していた奴らを見返して」やれる。
二人していつも俺を糞扱いする妻と娘、俺が側に居る時に限って「別れろ」「なんでこんなのと結婚したんだ」などとほざく妻の兄弟連中。きさまらだってたかが中小企業のサラリーマンじゃねぇか。小生意気な大卒の部下、俺を追い越していくのが決まっているからってデカイ態度とりやがって。それに年下のくせに糞生意気な上司のあいつ。
「どうかね?少しは強力してくれる気になったかね?
君は今まで運が悪かった。このままでは一生現場から離れられず、長生きはできまい。良いチャンスだとは思うのだが・・」
少しカチンと来た。なにも俺の一生をあかの他人からあれこれ言われるだけの筋合いは無い。それにこいつらだって俺の迷惑も考えずに拉致しやがって。昨日の晩、やっと仕事が終わっていつもの屋台で気分良く飲んでいたのに。そうだよ、どうせ貧乏だから居酒屋なんてここ10年は行っていないよ。でもあそこのガード下の屋台はこの世で一番気が安まる所なんだ。せんえんで酔っぱらえるし、それでだ、俺を邪魔にするしか知らない妻と娘が寝ちまった家に帰り、気分良いまま寝床に入れたのにこんなとこに連れてきやがって。もう朝の10時じゃないか、俺に用なら家にだって会社にだって来れば済む事じゃないか、それを・・・・。そうさ無断欠勤したって誰が困るってわけじゃないし、それほどの仕事をしていないさ。嫌味な上司に忌々しい口調で説教されるだけさ、年下のくせに俺より何年も後に入ってきたクセに俺に説教するんだ、よりによって現場に強いこの俺にだ。現場に一度も立ったことがないあの青二才が。何もわかりゃしないくせに偉そうに言いやがって。あいつら大卒の奴等が俺をこんな閑職に追いやりやがった。昔は情報員らしく、カッコよく命を張った仕事をしていたのに。
そうだな、だから今がチャンスなのかも知れないな。
それに退職するまで派手にしなけりゃ誰も俺が裏切ったなんて気付きゃしまい。いや、裏切られたのは俺の方で、今までの分を取り戻すだけだな、本当なら、俺の業績ならあの青二才の席には俺様が座っていたはずなのだ。よしっ、今までの支払いをして貰おう。
「何年くらいだね?」
「最低5年は働いて貰おう。それ以降は自由だ。勿論情報によっては特別ボーナスを弾むこともある。」
「辞めた後、殺さないという保証は?」
「君が私の顔さえ知らなければいい。余計なことを知らなければ、気にが死ぬ必要など無いだろう?」
そりゃそうだ。簡単なことだ。
「俺がうちの組織に殺されるってこともあるだろう?」
「それも安心していい。君がリークしたとバレルと、流れた情報に対しても手を打たれてしまう、そうなったら意味が無い。情報が漏れたと疑惑を起こさせにようにする。」
ふむ、太くて長い人生が一番良いのが当然だが、太くて短くなっちゃったら大変だ。どうしたもんか。
「私は裏切らない。情報を提供してくれた者達に悪い仕打ちをすると、誰からも情報が入らなくなってしまう。
それに君はこれ以上出世して現場を離れるという事はないだろう。あんな仕事を続けたって長生きは出来まい。」
そうだ、出世の可能性はゼロに等しい。だがな、な・ん・で・おまえなんかに言われなくっちゃならないんだ?関係ないだろう。そう、出世や長生きもできないだろう、勿論国家や局に忠誠心なんて一片たりとも持っちゃいないが。
「君はまだ40過ぎだ。5年経ってもまだ若い。それからまた新しく家族を作り、新しい人生を始めても遅くはないんじゃないか?」
「新しい家族だと???・・・??」
「知らなかったのか?奥さんの事。」
「???」何の事だ?いったい。
「君と結婚する前は何をやっていたんだったっけ?」
「今の局長の秘書だが、」
「かなりの美人だったそうだね。今は知らないが。」
今は見る影も無いよ。
「その美人がなぜ君を選んだか。」
「っつ、・・俺がイカしたんだろう、当時はカッコよかったのだ。モテたのだ俺も。」
「こう言っては何だが、気を悪くしないでよ、どこの世界にも上はいくらでもある、君より美形はいくらでもいたろうし、収入を考えると、当時の君の給料はかなり低い水準だった。オペレーションを上手くこなした事が無かったことが主な理由のようだが、手当が遭ってやっと暮らせるレベルだったろう。嫁に行くには二の足を踏むがな。」
「局長の紹介があったからだろう、・・一体何が言いたいんだ?!早く言え!!」
「まぁ待ち給え、今教えてあげるから。これは君の局でも周知の事実でもあることだから、君が知っていてそうしたのだと思ったのだが、、。実は、できていたんだ。そしていい加減飽きてきていたあのハンサムな局長が、ていのいい事言って君と結婚させた。多分頃合いを見て結婚してやるとか言ってね。」
「俺は?それに局長はおエライサンの娘と結婚しているんだぞ?!」
「そこはそれ、君達はプロじゃないか。勿論あの局長には一度捨てた君の奥さんとよりを戻す気などこれっぽっちもあったとは思われないが。
君の娘も、とびっきりの美人だそうじゃないか。君とは似ても似つかないような。」
「なっ、、なにぃい!!なんどゎとおう〜!!どういう意味だっつ!!!」
「落ち着いてくれ。事実を伝えてあげるのが私達の誠意だと思っているのだから。だから話すこと話す。が、感情的にならないで、衝動は抑えてくれ。冷静になれとはいわん、が、極力抑えてくれ、いいね?。」
「わ、わかった、、だっ、だから話してくれ、、」
「うむ、君の娘さんが君の唯一の自慢だったことは知っている。特に女の子は男親の容姿を受け継ぐという俗説を信じているんだろう?。昔は美人の妻が自慢だった。だから2人には逆らえない気持ちが出来上がってしまっているのだ。その気持ちは大方の男にはよくわかるものだ。美人の妻に美人の娘、究極の望みかな。
これは君の奥さんも知らないことなのだが、局長は飽き始めた頃、パイプカットしたなどと嘘を付いて避妊をしなかった。それに君は局長と同じ血液型だろう?最初から計算済みなんだ。自分より出世する者もまずかった。
だから君に白羽の矢が立っていたのだ。
そうとも知らず、仲人までしてもらった君も気の毒だが。
そして結婚後も勿論続いた。その頃、君は海外出張が多かったろう?
子供が出来た。勿論君の子だと奴以外の者はみんなそう思っていたはずだ。奴はその事を理由にして関係をなし崩しに断ったのだ。」
「・・・・・・・・・・・」
「ちょうど、これが復讐のチャンスじゃあないかな?決断したまえ。」
男の声が次第に遠くになっていく。
まさか、、そんな、、。
いや、だが、、。
まてよ、そう言えばK子が産まれてからあいつは俺に対して冷たくなった。あいつが欲しくないと言うから、必ずコンドームをしていた。オギノ式の計算だって奴はちゃんとやっていた。それでもできる可能性はゼロでは無い、できた事に対する一時的な怒りだと思っていた。
それに今のあいつの態度といったら、、、。
なにが、あんたなんかと結婚しなきゃよかっただ?他にももっと良い男が腐るほどいただと?バカにしやがって、メシだってろくすっぽ作りゃしないくせに。たまに作ったとしても買ってきたコロッケを出すだけだ。早く帰れば嫌な顔をする。今朝だってそうだ、パンが食べたかったらクソ女に言ったら、気持ちよく寝ているのにその糞声で起こすんじゃねぇ!!だと?一言言わずに食べればスピッツみたいにぎゃんぎゃん吠えるくせに!!
いったい、ひ、と、を、なんだと、思って、いるん、だっ!!!
誰のおかげで一日中ゴロゴロゴロゴロしていられると思ってんだ?!ブクブクブクブク太りやがって!あのアパートだって俺が汗水たらして稼いだ金で借りているんだ!
今時マンションに住めない奴はいないだと?!!あんたにゃ騙されただと?!!
いいかげんしろっつ!!どっちのセリフだっつ!!
チクショウ!!クソッツ!!くそっつ!!くそっつ!どうしてくれよう!?!!、コノウラミハラサデオクベキカッ!!!ちいくうっしょおおおおうううう!!!
・・ころしてやる。そうだ、完全に息の根止めてやる。脳髄破壊する。生命活動を一切停止させてやる。ぐっちゃぐっちゃのミンチにしてやる。その上でマイムマイムを踊ってやる!
「ひっっひっひっひひひひひひひひひひひーーーーーーひひひぃ?」
そこにいる皆、俺を凝視しているようだ。凄い視線を感じた、、うむ、注目されてしまった。
「便所」
反応がない。
「便所だ便所、行かせてくれ」
「お、おう、、わかった、、おい、連れてってやれ、、」
便所の個室に入ろうとする。
「糞だからよ、クソ。手が使えなきゃ、あんたにケツ拭いてもらうぞ?」
手錠が外された。
ジャー!!
出すものは出した。
個室を出て手を洗う。顔も洗う。タオルで手を拭いてから、連れてきてくれた黒服の男に両手を差し出す。
慌てて手錠をはめようとその顔を不用意に下に向けた。
右アッパー。浮き上がった顔に左ストレート。うむ、2発でノビてくれた。掃除用具入れの中にぶちこんでおく。
エレベーターホール。
一人、警備らしいのが所在なさげにタバコを吸っていた。いいな、ここは中で吸えるのな。
「俺にも一本くれないか?」
何気なく近づきながら言う。
タバコを取り出そうとするところに、水に浸したタオル。イッパツで済んだ。
ーーー 2 ーーー
タクシーは情報局の入っているビルに着いた。ロビーを通り、階段で地下3階まで降りる。
武器出納係の親父が愛想笑いをしながら俺に書類を求めた。その小窓の中に、書類の代わりにパンチをくれてやった。カギを奪い、中に入る。
ふんふふーん、ふんふんー、、♪
「何がいいかなー、AKなんかあるんだー、あっちのしわざに見せかける時に使うんだな?M16もあるんだ、、どこでつかうんだろ?つかいにくいよな?
おや、、骨董品、、トミーガンとかM3グリースガンとか、、弾、あるんかよ?45APCだ。今時ほとんど使わないだろう?
G3、、これは、大陸で活動した時にNATOになすりつけるとか?に使うのか?
・・・MP40、、、まぁ、、弾丸はまだいっぱいでているだろーけど、、これは使いどころないだろう?
んじゃ、可愛そうだから、これを使うか、、、」
かしゃかしゃかしゃ、ガチン、かしゃガチン、駆動に問題ない。弾丸を共用するため、、、13発入るベレッタにしようかとおもったが、なんだよ、、P38が在りやがる、、これも使いどころないわな、、かわいそう、、なので、使う。予備弾倉をMP40とP38、両方共ガバチョといただき、弾の箱もがばがばちょといただく。
見回し、奥に入る。破砕手榴弾でっかい箱2つ、台車に乗せる。プラスチック爆薬と信管を何種類か。ロケット団じゃねぇ、ロケット弾、RPG7の派生系?今はどーゆーのかわからん、見れば使い方はわかるからいいけど。あと、、頭がなければ唯の筒だし、、3箱、、台車もつかな?
地下1階に上がり、ジープに荷物を積み込み、プラスチック爆薬を半分、信管、20分にセットできるのをデカイ手でひとにぎり、30本くらいか?てきとー。
ビルがうまくかたむき、できれば倒れるかんじになってくれればありがたいなと願いつつ、大体そんな感じになるようにセットする。
全セット終わったらそれらの信管のスイッチ入れる。
で、呼んどいたエレベーターに飛び乗り、8階。出て正面の部屋だ。
ドアを開け顔を覗かせる。秘書が一瞬目を向け、すぐにキーボードに目を戻す。
何も言わないってのは入っていいという事なのだ。エリートには非情に愛想がいいくせに、この人を人と思わない態度!!あとで覚えておれ!!
秘書の前を通り、奥にあるマホガニーの両開きの扉を開ける。
これまたマホガニーの一坪もあるようなでかい机に男座っている。局長だ。俺より幾つか年下の。
どう見ても俺よりハンサムで、ジム通いの体躯も引き締まっていて俺より良い。チキショウ!!
こ・い・つ・が、今まで、オレサマを、コケに、し・て・き・た・た、のだっつ!!!
局長が立ち上がり口を開いた。
「遅かったじゃないか!!朝から出てないそうだな!なにやってたんだっ!それになんだそれはっ!!そんな大昔のものを持ち出して、一体戦争映画でも作るつもりかっ!!全く君は最近たるんどるぞっ!!そうれじゃあ昇進させたくもできないぞ!!」
その気なんか全く無い癖に何言ってやがる豚めっ!
奴はまだ何か言っている。
ガチャッ、俺はMP40のボルトを引き、腰だめに狙いを付けた。やつの表情が変わる。
何かいいたげに、口をパクパクさせながらデスクの引き出しを開けようと、拳銃でも取り出そうとしているんだろう、焦って引き出しのとってすら握れていない様子だ。
が、俺様は奴が拳銃を取り出すのを待つ、そして俺が引き金を引く。
気がつくと弾倉が空になっていた。
9ミリパラベラム弾が40発。顔、頭はなくなっている、体もミンチ状態だ。このまんま揚げたらミンチカツになるな、まずそうだ。
「ケーッケッケッケッケッケッケー!!」
こんなにスッキリしたのは何年ぶりだろう!思わずスキップしながら扉を出た。
出ると受話器を持った秘書と目が合った。気付いたらワルサーでイッパツで眉間を撃ち抜いていた。
・・・もすこし仕返ししたかったが、、、まぁいい、、
受話器から何か聞こえる。
「うるさい!」
ワルサーで黙らせた。
エレベターで一階に向かう。地下ではなくロビーのある一階。
エレベーターのドアが開く。20人ほどの男たちが銃を構えてる。ドアの影に隠れる。何か言っているがほっといて、手榴弾を3つほどピンを抜いて1、2、ポイッ、爆音!うめき声。そこらにMP40から鉛玉をばらまく。弾倉2つめ、弾倉3つめ、、、が終わり、4つ目に交換し、、、
うむ、、うめき声さえ無い。というかピクリともしていないのでOKだ。
仕事の邪魔するからこういう目にあうんだぞ?!
これで懲りたことだろう。
地下一階に戻り、ジープに乗る。横に局長のBMWがあった、ので、出鼻に手榴弾を一つ底に転がし、ジープをダッシュさせる。駐車場の出口くらいで背後から爆音が続き、爆風が後ろから襲う。うむ、ガソリンタンクは満タンにしていたんだな。
あ、ほかの車も誘爆しはじめた?
信号など無視して高速入り口に向かう。
白バイが追ってきて横に並んだ。何か言っているが、ワルサーの一発でフッ飛ぶ。なんじゃくだな、、耐えれば致命傷じゃなかったのに、、銃創ではなく事故死するなんて素人だな。
山王下の交差点を過ぎた時大音響がした。弾薬庫も逝ったかな、人をあまりコケにしすぎた組織の末路は哀れなものよ!ケケケっ!!
鼻歌を歌いながら高速を走らせる。池袋線に入ると空いてきたのでどんどん追い抜きをかける。と、後ろの方で赤い灯火がちらちらしてきた。気にせずに更に加速。
戸田の出口近くで追いついてきた。ちょうど100mほど後方に着く。手榴弾のピンを抜き、1,2ポイ、、どーん!あ、墜ちた、、下に落ちちゃったよ、どーすんだよ警察、下に道路あるぜ?絶対被害者いるよな?まぁ、いつものことか、奴等に取っちゃ。
うん、まだまだ勘は鈍っちゃーいないな!
出口を降りてそのままバイパスに入る。
先に検問が見えた。のろのろと50m位まで近づく。ランチャーだそうと木箱の蓋開けたら、、あら、、M72じゃん、、
ま、いーか、しゅこん、と引き出してぱかっとサイトが立ち上がるが、目の前なのでそんなのいらない、目見当でおk.一発で真ん中のPC爆発で両脇のPCも両側にふっとんだ。
立ってる者はいなかった。
うめいている者は楽してあげた。
といっても、ほとんどばらばらになってたけど、、あとから繋ぎ合わせるのかな?間違うとかあるんだろうなー、ぷw
ま、たかが警察が情報局に逆らうってのが土台無理な話なんだな。素人相手に粋がっている奴等がプロを相手にできるわけ無いだろう?
アパートの前にジープを停める。二階が付いているアパート。テラスハウスと呼ぶらしいが、どう見てもハウスというか、、長屋だよな。こんな田舎で12万もする。月給の半分近くがこんなんのに奪われているんだ!気違い沙汰だろう?!神に対する冒涜!国民に対する裏切りだっ!!馬鹿やろな限りだ!!これにも判決を出してやるっ!!
「ただいま」靴のまま入る。
女はだらしなくソファーに寝転がりせんべーをぼりぼりかじりながらTVに見入っている。こっちを見向きもしない。
「あんた、今何時だと思ってんのよ、5時過ぎたばかりじゃない!残業はどうしたの!!うちはそんなゆとりないんだからね!サボってばかりじゃどうしようもないでしょう!!まったく楽しようとしか考えないクズはどうしょうもないね!いっそ死んでくれた方が余程為になるってもんだ。こんなに早く帰ってきてもご飯なんか無いからね!まったくもう用意するだけでも大変なのに、いきなり早く帰って来たって迷惑なだけだよ。
どうしてこんなグズと一緒にならなけりゃなんなかったんだろうね、私も不幸だね・・」
うん、もう終わりか?んじゃ、とソファを蹴飛ばす。
転げ落ちて呆然と見上げる豚のような女。気付くと火が着いたように喚き散らす、その声が俺の耳に届くより早くワルサーの鉛玉が豚の脳を破壊してしまっていた、、
「チッ、思わず撃っちまった、、、」
ホントは指一本一本切り落として行きたかった。
ゴミ袋に入るほどにして、生ゴミ、として出したかった。お前がゴミなんだよ、ってな。
まぁ、やっちまったもんは仕方が無い。次は気をつけよう。
K子は二階にいるらしい。見知らぬ男の靴もあったんで、、、
ドアの前に立つと中から喘ぎ超えが聞こえてきた。
ケケケッ!思い直し、下に降りて昔使っていた野戦服を引っ張り出して着る。ジャングルシューズも履く。うむ、、まだまだイケるな!
なんか少し不足に感じるので、鉢巻。ダイナマイトを鉢巻きにはさみたかったが、無い。今時どっかの山の工事現場で使うくらいだろう。なのでろうそくを差し込み火を付け、、あちちちちち!!!ダメだな、、仕方ないので、そこらを探したら乾蕎麦があったので、それで代用する。
二階に上がりドアに耳を当てるとまだ行われている。右手にMP40、左手にP38、ロッキードのむかーしのプロペラ機じゃない、あれはおもすぎて持てない。この場合はワルサーのP38だ。
乱入!!♪2人の足元を撃つ!!
「ぎゃっつ!!」
やっぱ片手じゃ抑えきれないなぁ、、MP40は反動で浮き上がり、2人の足はぐちゃぐちゃだ。すっ裸のK子の上で若い男がもがいている。なんか、抜けなくなってる様子で、、笑えるな?ケーッケッケッケッケッツ!!!
よほど痛いのか、男のほうがうるさすぎる。ので、後頭部にワルサーの先を当て、引き金を絞る。弾丸は頭を貫き下に居たK子の頬を大きくえぐる。
ぎゃっつ!ひゅー、ごぼごぼごぼっ、、血が喉に流れ込むらしい、、
立っているのが私だときづく
「おどうざん、だんで・・」
「ちぃがうんだなぁ、これが。私は君のお父さんじゃあありませんでした。おまえはあの淫売女と腐った納豆のような男の子だったんだよ?だったんだよ?
勿論その納豆男はもう頭が無くなって体全体もミンチ、更に潰れたビルの下敷きなってるよ?淫売のほうは下で腐った脳を虫干しできりょうにおつむに風通しの良い穴あけて寝込んでるよ永遠に。そうだねぇ、K子、おまえはどうしてほしいかい?」
上にかぶさって動かない男の脳みそにまみれて、片頬が無くなって見る影もなくなったK子が、
「だずげで、おでがい、おでがいおどうざん・・」
「あいかわらす頭の悪い子だねお前は。私は赤の他人なんだよ。よしよし、んじゃすぐに楽にしてあげようね」
手榴弾の、ピンを抜き、クリップは飛ばないように抑えながらK子と男の死骸の間に挟んだ。3つ。
「動いじゃだめだよ?危ないからね。」
これまでになく優しく言った。
近くのタバコ屋の自動販売機。「アリガトウゴザイマス」同時に爆発音。
動いちゃダメだと言ったのに、最後まで言いつけを守らない子だったねぇ。
煙の上がっているアパートの方を眺めながらジープの上でタバコを吹かす。
ー 3つは多かったかな、両隣3軒全部いっちゃった。 ー
他のうちのあったところからうめき声や助けを求める声が聞こえる。
二本目のタバコに火をつけ、ラジオのスイッチを入れる。
「臨時ニュースを繰り返しお伝えします。今日午後三時過ぎ永田町のビルが爆破されました。被害に遭っ人たちはまだ確認とれていません。犯人は以前この中にある会社の一つに勤めていた男で、最近ひどいノイローゼ気味だったということです。この爆破後、近くで警官が一命拳銃で撃たれ重態、首都高速ではパトカーが破壊され警官4名の犠牲が出ました。これらの事件は同一犯人だということです。いずれにしろ犯人は異常者で、どこで調達したかはわからぬ大量の武器を持って逃走しているということです。付近の方は充分注意してください。ええ、今情報が入りました。これによると、埼玉県大宮バイパスの検問が突破され、その時の被害が、警官多数の犠牲が出たと、、
繰り返します・・」
スイッチを切った。
「異常者だと?」
元々奴等は死んで当たり前なのだ。私が正しい、正義なのだ。悪を倒しただけなのだ。それを罪だと言う方がおかしい。
よく考えれば、悪をかばう奴等は悪党ということになる。ということは、警視庁も悪党になっちまっていたんだな、、日本はそこまで墜ちてたのか、、
「よしっ!!」
ジープのエンジンをかけ、男は桜田門を目指して車を走らせた。
つづく
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