拓実は急にみどりがうかばれない者達と一緒に海に引きずり込まれてしまい、自分だけが助かった事にどうしていいか分からず、とにかく警察に通報してさらにはみどりの親にも連絡を入れた。
大洗町のビーチは警察や救急隊員がやってきて夜なのに騒がしい騒動となってしまった。
みどりの親は必死にみどりの名前を呼ぶが一方に返事がない。そして、みどりの親がなぜみどりを助けてやれることができなかったのかと攻められ怒られもしたが、両親はもうそれ以上拓実に説教すことはなかった。
ある程みどりの親達も理解していたのかもしれない。治らない病気を背負って生きていくよりかわ、寧ろ死んでしまい自由に楽にさせたいと。そして最後にこの拓実という男がみどりを唯一幸せにしてくれた彼氏なんだと。
夜の十時頃、拓実に向かってみどりの両親が頭を下げ、
「色々ときついことを言って悪かった。何時もみどりの面倒をみてくれてありがとう」
「拓実君ごめんね。みどりを気にかけてくれてありがとね」
「自分がちゃんと見てなかったばかりに……本当すいません」
両親が頭をあげると拓実の肩を軽く叩き、二人は頭を上げる。二人は泣いていたが爽やかな表情をしていて、もうこれ以上は探しても無理だ分かり帰った。
警察官にも「もう帰りなさい」と注意を受け拓実を変えるのであった。
自宅に帰宅すると拓実は父と母に、「友達と遊んでちょと遅れた」と、言い訳を言ってシャワーだけ浴びて飯も食わず自分のへやに閉じ籠った。
夜の十一時、拓実は極度の疲労とストレスから目蓋が重なっていき、ウトウトと寝てしまった、
夢の中、拓実は既にサーフィンスーツをを着替えていて、サーフボードを右脇に挟み抱えている。
何時もの大洗町ビーチ公園、そこには誰もいなく、ただ一面の海しかなかった。普通ならば人の一人や二人位はいるのだが、拓実以外に誰もいない。
「ん、なんか変だな」
何時もと違う雰囲気に何処か怪しさがあり、どうしても海に入る気にはなれなかった。
「拓実君。なにしてんるの」
拓実が振り返るとそこには白いワンピースを着た、行方不明になっているみどりの姿があった。
「おい、みどり。お前を探してたんだ。あの時、幽霊みたいなやつらに連れてかれて、そんで、俺警察に通報したりみどりの両親に連絡入れたり大変だったんだ。みどりみんなのところに帰ろう」
そう言ってみどりの手を掴み引張ろうとすると、拓実の手を無理矢理みどりは解いた。
「やめて。もう痛くない世界に私はいたいの。これ以上痛みや苦痛を感じるのは嫌。拓実君私はここにいるから迎えにきてよ、一人だと寂しい」
甘えた表情で拓実を上目遣いでみる。
何時もと違うみどりの雰囲気に何処か戸惑うたくみ。
急にみどりは拓実の体に抱き着き甘える。
「私一人にしないで。寂しいの。拓実君とずっと一緒にいたいのだからこっちに側に来て」
「こっち側て」
こっち側という拓実の言葉を拾わず、拓実の体から離れると、
「待ってるね拓実君」
と、一言言って海に向かって歩き出す。すると、急に濃い霧が立ち込め、みどりは水面を歩いていた。
「みどり……」
拓実はただ海の水面を歩いているみどりを見詰めてるだけで、彼女は濃い霧の中えと消えていった。
「みどり、みどりいいいいいいいいいいいいいいい」
大きく叫んでもそこにはみどりの姿はなく、ただ誰もいない浜辺に拓実一人がいるだけで、海の波打つ音が辺りに響いているだけだった。
「少年よどうするんだ」
拓実は声のする方に体を向けると、あの自分の事を死神とか言っていた男が股間を掻きながら話しかけてきた。
「キンタマ痒い。キンタマ痒すぎてこれキンタマ取れちゃうんじゃないかな。ああ、蚊の野郎許せん。あいつらちゃんと場所みて血吸えよ」
「あんたは死神の男、なにしにあらわれた」
と、ふざけている死神の男に対して拓実は真剣に怒っていた。
「こっちもキンタマ痒いんだよ。まいい。どうするんだお前は彼女の所に行くのか」
拓実は一瞬戸惑った。彼女の所に行くというのはつまりあの世に行くということ、自分自身がどうなるか想像もできないので、畏怖の感情が襲ってくる。暫く考えこんでいると、男は股間だけではなく尻まで掻き始めて、忙しく前後に手を持ってきては苦い顔をしている。
「ケツも股間もどっちも痒い。もう手が休められないなコレ。まあいい。今日の朝、もし彼女の元え行きたいなら用意しとくぜ霧。俺は自殺をするやつを無理矢理止めようとはしない。ただ、これだけは一つ。周りのことをよく考えて自殺はするべきだけどな」
拓実はきっとこの男は生きている人間ではないと察知しているので、もしかしたら本当にみどりに会えるかもしれないとおもった。
「ああ、わかった」
「まあ、頑張れよ。もしその気なら俺は待ってるぜ」
拓実は突然目が覚める。薄暗い部屋の中、時刻は朝の4時をまわっていた。
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