小林TKG

小説

2,470文字

鶴の事も書きたいと思いましたので、書きました。

昨年の、九月とか、十月とかだったと思うんですけども、スマホにね、通知が来たんです。ユニクロのアプリから。ユニクロのアプリをスマホに入れてるんです。実家に帰省した時に、よく利用するので。ユニクロ。イオンの近くにあるんですよ。で、実家に帰省すると、行くんです。ちなみによく一緒に帰省している姉はしまむらの方がいいそうです。私はユニクロです。順当っていうか。差しさわりないっていうか。ねえ。そうでしょう。ユニクロって。でも、時々、スポンジボブとかのパーカーを販売したりするじゃないですか。ユニクロって。そう言う所が好きです。スポンジボブ知らないけど。でも、昨年末、帰省した時にパーカー買いましたし。スポンジボブの。ハンバーガーのやつ。

「ハンバーガーだあ」

って思って。フロント部分にハンバーガーがついてるやつ。ハンバーガーついてるじゃんって思って。

そんなユニクロなので、御世話になってるユニクロなんで、だからまあ、スマホにアプリも入れて利用させていただいているわけですよね。時々、500円オフクーポンとかもらえますし。

で、そのユニクロのアプリで、去年の九月とか、十月ころだったかなって、もしかしたら八月だったかもしれませんし、七月だったかもしれません。よく覚えていません。アプリで詳細を確認したらわかるかなとは思いますが、そこまでする必要のあるの事でもないでしょう。

ユニクロの通知が来たんです。去年の、まだ暑い、残暑の時期だったかなって思います。通知が来たんです。ユニクロから。で、ユニクロからの通知、アプリの通知自体は毎日くるんで。ユニクロから。

毎日、何かしらの通知が来るんです。ユニクロって。寄こすんです。よくもまあ、そんなに毎日知らせたいことがあるなあって思います。感心します。

大抵の場合は、ある商品、あなたが興味ありそうな、商品が値下がりしましたよ。っていう通知です。

あとはまあ、なんか新しい事業についての通知とか、イベントの通知とか、今度コラボするものの事とか、

「今度スポンジボブとコラボした商品が出ます」

的なやつ。

でも、大抵の場合は、ねさがりしましたよっていう通知です。あるいは私がよく見るのがそれだから、だから、そういう風に私の中に記憶されているのかも知れません。

そんな値下げ品。お得に購入できます品の通知で、去年の残暑の頃、アウター、ダウンジャケットがお安く購入できますっていうのが来たんです。

商品名にはライトって書いてました。ウルトラって書いてました。

そういうダウンジャケット。

値引き品、お得に購入できます品って大抵の場合、欲しいって思って見ても、もうサイズが無いんです。そらそうでしょう。値引き品だもん。ユニクロが在庫を残しておきたくないやつとかでしょうから。処分したいやつっていうか。そこまで強い言葉で書くのもどうかなとは思いますけども。なるべく売り切ってしまいたいやつ。

だから、サイズが残ってないんです。

一番小さい奴が残ってるとかみたいな事が多いんです。

でも、その時、そのダウンジャケットは、サイズがまだ色々と残っていて。

残暑の頃だったからですかね。

残暑とはいえ、まだ夏、夏の終わり。暑い夏だったでしょう。去年も。今年だってそうでしょうね。きっと。そんなときにダウンジャケットの事を考えるなんて、みんな嫌だったのか。

とにかくその時、ダウンジャケット、色々と。サイズと、色と、まだ残っていて。

それで、私は涼しい場所に行って、考えたんです。

「夏が終わったら秋をすっ飛ばしてすぐに冬になるんだろうな」

って。

その時に、ダウンジャケットがあるといいよなって。夏が夏で、暑いのといっしょで、冬は冬で寒いんだろうなって。寒くて寒くて仕方ないんだろうなって。

それで、熟考の末、私は残暑にダウンジャケットを購入したんです。

で、それ、その商品自体はすぐに届いて、Amazonと一緒で、ユニクロも、置き配をしてくれるんです。有難い事です。

でも、届いた時期もまだ、残暑厳しい夏の終わりだったんで、それで、暫くそのまま、箱に入れたまま置いてたんです。ユニクロのアプリからは通知きましたよ。

「今回の商品どうでした?」

みたいな通知。

でも、その時まだ開けてもいなかったし、正直言って忘れてました。

ようやくそれを開けたのは、年末年始、実家に帰省した時でした。実家に帰省する荷物の準備をしている時に、カバンとかを出そうと思って、キャビネットを開けたら、そこに箱を見つけて。それがユニクロの箱で。

「ああ」

って思って、開けて中身を確認したら、

「ダウンジャケットだ」

買ったなあ。そういえば、残暑の頃に。

って。

ダウンジャケット。で、せっかくだからと思って、実家に帰省する時、そのダウンジャケットを着て帰りました。そのダウンジャケットを着て、新幹線とか乗ったし、年末、らーめん花月嵐、ツタヤに行ったし、年始、お墓参り、初詣、あと温野菜とかに行ったし、ユニクロに行きました。セリオンにも行きました。

そのダウンジャケット着て。

昨年の残暑の頃に買ったダウンジャケット着て。

で、

私、ダウンジャケットとかに詳しくないからさ、ダウンジャケットの事を良く知らないんです。それで年末からさ、誰かに聞きたかったんです。

ダウンジャケットってさ、

あんなに毛が抜けるもんですか?

あのダウンジャケットさ、私が去年の残暑の頃に買った、ユニクロのダウンジャケットさ。

すごい毛が抜けるんですよね。

すっごい抜けるの。

なんか、

色々な区画からさ、ダウンジャケットってほら、区画みたいになってるでしょ。

その色々な区画から、

すごい毛が抜けるんですよね。

私が悪いのかな。

わからないけど。

でも、とにかくだからさ、それ着ているうちにさ、

鶴の恩返しの事を思い出してきて。

これ、おじいさんに覗かれて、正体がバレたみたいに、

誰かに言わなきゃ、知ってもらわなきゃ、

一生抜け続けるのかなって。

このダウンジャケットがダウンジャケットしての機能を失うまで。

最後の一本が抜け出るまで。

毛、抜け続けるのかなって。

そう思って。

 

2025年2月23日公開

© 2025 小林TKG

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