匣沼 第一部 

脳彫別バジャアキ

エセー

1,120文字

歪んだ家族環境の中で育ったメンヘラ男のダラダラ物語。

かぎかっこと段落の凸凹が嫌いで、詩のように書いてます。
音楽を聴くように気楽に読めるので、どうぞ。

生きる

 

ゆらゆら揺れる。

まるで見えないのに。

なぜか心地いいんだ。

でも上げなきゃいけない、

このボリューム。

遮断。

 

最近よく言われるんだ。

目が開いてないねって。

冷たいねって。

そっけないねって。

なんでだろう。

笑えない。

ニコリとかできない。

気分を上げなきゃ、他人の為に。

自分はいいけど、他人の為に。

笑わなきゃ。

頑張れ佐々木。

 

手持ち無沙汰な時、

痒くもないのに、

肩とか頭とか掻く。

何か考えてる時、

わけもなく掻いたり。

最後には、

本当に痒くなって掻いてる。

丸い背中が益々丸くなる。

時に器用に、ダンゴムシみたく

丸く収まっていく。

 

鏡、久しぶりに見た。

確かに目が開いてない。

瞼に力を込めてみる。

上に押し開くように。

重い。

重力に逆らう力が足りてない。

なのに波打つ脈拍。

なんでこうなるの。

動かしたいのは

そこではないのに。

 

ミント、ミント。

気分転換。

とにかく今は落ち着け自分。

口にぶち込んで

すぐにマスクをつける。

ガリガリガリ。

ひとときの安らぎ。

予備のミント持ってないと不安。

 

どこに行くのかわからない。

でも、深く考えないで。

今は気楽にね。

今?

今はいつまで今なの。

今がなくなると、

気楽ではいられないの?

ホラ、また考えてる。

深く考えてる。

楽しい旅に出るかもしれない今

なのに。

爆音をハコの中に詰め込むと、

熱中症になりそうな

押し入れの中みたいに、

暑くて苦しくて。

 

一旦、閉じよう。

リセット、リセット。

解放。

イルカの心音聞いてみよう。

手を伸ばして。

届くかもしれない未来に、

飛び込むように突き進む。

ゆっくりでもいい。

気の向くままに。

青いゼリーの中に入るみたいに、

ゆっくりと浸かっていく。

気楽にしてね。

息は鼻から吸って、

口から時間をかけて吐くんだ。

そんな感じで入っていく。

 

音が歪み、爆音が形に変わる。

どんなに深くても、

呼吸は忘れずに。

逆さまなのか、まっすぐなのか、

わからないまま突き進んでいく。

音に押されて流されていく。

確実に、ゆっくりと。

 

鼻歌を歌いたくなる。

こんな気持ちになれるなら、

生きていくのも悪くはないかも。

贅沢者が!

生きる命があるというのに。

そう責めないで。

責めないで。

そっとしておいて。

このままずっと、

そっとしておいて。

失われていく記憶のように、

そっとしておいて。

甘ったれたことを言ってる。

わかってる。

わかってない。

でも、そっとしておいて。

呼吸困難。

目が覚めたら、

溺れそう。

手を伸ばしても掴めない。

溺れる。

そんな時は背中を丸くして

身を守るんだ。

何かを失っても、

命は守れるかも。

守ったところで、

どう生きるかは決めてない。

鼻から吸って、口から吐く。

そんな感じで生きてみようか。

2024年2月22日公開

© 2024 脳彫別バジャアキ

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