暴徒の二人男女、もちろん猫も。その2

暴徒の二人男女、もちろん猫も。(第2話)

eyck

エセー

567文字

バスタオル

先週の月曜日、彼女がバスタオルを置いた。ここに。

 

 

こころなしかネズミちゃんの表情もさえない。どういった意図が彼女にある? 爪とぎの守り神としてバスタオルを置いた? 屋根のうえのシーサー的な?

 

そんな爪とぎの五日後の様子が次の写真。視線を感じたから俺は目をやる。

 

 

明確にSOSを発信するネズミちゃんをスルーできないのはもちろんだが(白状するとその日はスルーした)、それにくわえ床におちそうでおちないねばりづよい(あるいはあきらめのわるい)バスタオルに俺は成長をうながされたようなそんな気がしてしまう。なんかバスタオルに肌表面の水分以外のものを吸収されてしまったと俺は冷や汗をかく。それゆえ余計なお世話だとひとりごとを言う。

 

彼女の名誉のため(?)に説明する。写真のバスタオルはリシャのために使った。先週月曜日、俺と彼女はリシャのワクチン接種のため動物病院に行った。そのさいキャリーバッグのなかのリシャがパニックにおちいらないよう写真のバスタオルを窓かけとして使った。思いのほかリシャはあばれなかった。

 

彼女がリシャの爪とぎのうえにバスタオルを置いて一週間経つ。俺は爪とぎのうえのバスタオルをとりネズミちゃんの頭をなでる。そしてバスタオルをたたんでベッドのうえに置く。

2021年12月28日公開

作品集『暴徒の二人男女、もちろん猫も。』第2話 (全16話)

© 2021 eyck

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

"暴徒の二人男女、もちろん猫も。その2"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る