話しの中に登場するが、実在しない魚

名探偵破滅派『虚魚』応募作品

諏訪靖彦

エセー

635文字

2021年12月名探偵破滅派参加作品。お題は『虚魚』

 

出題範囲まで読み進め、今回の課題図書は論理的な解を求める作品ではないと思った。万十堂ビルの住人が狗竜川を、または狗竜川を流れる何かを見ただけで自殺するなどと言った事象に論理的説明など見いだせるはずもなく、今回は一つ一つの謎に納得いく説明を探すのではなく、オカルトに振らずにすべて事象をひっくり返すことができる解決はないものかと考えることにした。

私は当初、カナは三咲が作り出した三咲の中にだけいる存在であり、物語の終盤でそれが明かされるのではないか思っていた。所謂物語の肝となるどんでん返しだ。しかし、読み進めていくと、どうやらそうではないらしい。カナは昇や吉澤にも見える存在であり、吉澤に至ってはカナが以前キャバクラで働いていた過去を知っていた。しかし、やはり納得がいかない。いくら同性とはいえ、泥酔した女を家に連れて帰るなどといったことがあるのだろうか? 死にたいと思っている女と一緒に暮らそうなどと思うものなのか? 死に繋がる呪いの実在を求めてその女を実験台とするなどといったことがあるものなのか? カナの存在が三咲にとって都合が良すぎるのだ。その点について私はホラーだから、オカルトだからと納得することが出来なかった。

私の解決は以下である。

カナ、昇、吉澤、釣り上げたら死ぬ魚、新興宗教、創作コックリさん、怪異を掲示板で実況する人間、万十堂ビル住人の自殺、狗竜川に流れる正体不明の白い物体、すべてが三咲の創作した怪談である。

 

 

 

2021年12月20日公開

© 2021 諏訪靖彦

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