約束の土曜が来てしまった。今日はなるべく早く仕事を上がった。私は明日休み。そして彼氏という関係性の彼も日曜なので休み。ちょうどいいタイミングである。
仕事上がる少し前に彼に
『もうすぐ上がれるからこっちに来て』
とメール送っておいた。
『了解!』
と嬉しそうに返ってきた言葉に少し心が傷んだ。私はこれから別れ話をすると言うのに、彼には伝わっていない。
今日は土曜の為、大田さんは休みだ。
彼女と別れると言ってたけど連絡は来てない。今日はママが迎えに来てくれた。
「今日、この後あの子と会って別れる」
「そう」
たった一言ママは言った。
『着いたよ』
家にちょうど着いた時、彼から連絡がきた。
「ちょっと行ってくる」
とママに伝えて私は彼の元へと向かった。
彼の車を見つけて私は乗り込んだ。
「お疲れ様!なかなか会えなくて寂しかったんだけど」
「ごめん、責任者だから色々忙しくて」
「それにしても今日はなんでこんな時間に呼び出し?」
と彼が聞いてきた。
どう切り出すか色々考えたけど、やはりストレートに伝えるべきだと私は思った。
今の自分を素直にぶつける。
「当然で申し訳ないんだけど…私と別れて欲しいの」
その言葉口にした瞬間、時が止まったような気がした。
「…なんで」
彼はポツリとこぼした。
「なんでって…ごめん 、好きじゃないんだ。だからこれ以上もう会う事は出来ない。お願い、私と別れて」
「嫌だ、嫌だよ!絶対嫌だ!」
そう言った彼の目から涙が零れた
「俺は絶対別れたくない。嫌だ!嫌だ!」
泣きながら叫ぶ彼。男の人でこんなに泣く人居るんだ…と私は思った。
「どうして?何がいけないの?」
「好きと言う感情がないから、こんな状態で付き合っててお互い良くないでしょ?」
全ては私が悪い。もしかしたら好きになれるかもしれない…そんな風に付き合った。
ネトゲで知り合った為、本名は呼ばせなかった。手を繋ぐことも拒んだ。私は最低である。そして最後、彼を傷つけた。
でも好きな人が出来たと言う事だけは言わなかった
「本当ごめん、今までありがとう」
「どうしてもダメなの?」
彼は泣きじゃくりながら言った。
「うん、もうダメなんよ。ごめん」
「じゃ、最後にキスしたい」
「はぁ?」
思わず声に出てしまった
「いや、無理」
「なんで?」
「余計に引きずるだろうし、あたしそういう気分じゃないし。もう別れるんだからおしまい。わざわざ来てもらったのにごめんね。あたしよりいい人に会って」
「嫌だ、嫌だ」
その言葉を繰り返し彼は子供のように泣きじゃくった。
正直ドン引きである。
「じゃ、話はこれだけ。私帰るね」
「嫌だよ…ヒック…ううぅ」
「ここで別れなくても私はあなたと一生会わないのよ。だからごめん」
と車を降りようとした時、腕を引っ張られた。
「ちょっと何するの!」
彼はキスしようとしたのだった。
「やめてよ!」
私は何とか彼から逃げれた。でも彼は泣いている。
「本当ごめん」
そう言い残して彼の車を降りた。
彼の車はすぐには発車する事がなかった。まだ泣いているのか…彼は友達でもいいからと言っていたけど、これから別の人と付き合うのに友達でいてどうするの?どちらにしろ私はもうあなたとは会えない。そう誓った。
私は結局最初から最後まで彼を傷つける事しか出来なった。
仮に大田さんに出会っていなかったら関係は続いてたのだろうか…いや、大田さん関係なく彼の性欲にはうんざりしていた。
きっと何処か区切りをつけていただろう。
そしてこれは私の罪になった。
"この世で最愛で最低な君へ"へのコメント 0件