夜。
数多の星が夜空を彩っている。
ワタシ達を祝福する美しい光。
外には黒ずくめではなく、迷彩服を着た人間達がたむろしていた。
「(警察力で対応できず。ゆえに自衛隊出動。既成事実の積み重ね。それによる、なし崩しの軍隊化。遠回りだが、確実な人類絶滅への軌跡)」
清彦の言った通りか。
頭の片隅をチラリと、そんな考えがよぎる。
止めておこう、こんな素敵な夜に……。
次の瞬間、またワタシ達の聖域に、邪魔者達が侵入してきた。
表と裏のドアが爆破され、キッチンの壁も突入用に爆破された。
今度の邪魔者達は、迷彩服の人間達。
所持している武器は、SATより随分立派。
「こちら『チームα』! ポイントLに突入! ポイントクリアー……突入したSAT一個小隊は……全滅、全滅だ! ポイントLに全隊員の死体が横たわっている! SAT達の遺体の隙間から、藤堂家の遺体を視認! 数は……三つ! ターゲットの遺体は……無し! 繰り返す! ターゲットは確認できず!」
先程のSATより屈強な戦士達――陸上自衛隊の特殊作戦群。
日本最強。
そして、本当に日本最後の砦。
なのに、悲鳴を上げている。
頼りない。
しかも、騒々しい。
ワタシは、彼達を見下ろしていた。
天井には、手と足をかけられる場所が沢山ある。
でも弟は恐がりなので、この冒険ごっこには参加しないだろう。
ワタシは天井と体を結びつけているロープを包丁で切った。
ロープは、父が首を吊ろうとしたもの。
包丁は、母が手首を切ろうとしたもの。
ふわりと降り立つワタシ。
迷彩達は、顔に不細工なマスクをつけている。
だから表情は見えない。
でもその下の顔は、歪んでいるはず。
ワタシへの恐怖で。
死への恐怖で。
「否定」されることへの恐怖で。
迷彩達より先に、我が家に土足で入ってきたSATから、いくつか人間を破壊する道具を得た。
日本刀と散弾銃は、背中にロープで括りつけてある。
ワタシはすぐ、彼達の破壊を始めた。
招いた覚えの無い客には、早くお帰りいただく。
生きて帰るのは無理だが。
ほとんど破壊した。
虫の息の迷彩が一人、息も絶え絶えに、無線で報告している。
「こ、こちら、α……αは全滅。ターゲットはSATの武器により、さらに重武装。β突入の際は……」
ワタシは彼の頭に、鉛の弾を一発進呈した。
それで、静かになってくれた。
また、幸せな静寂が戻ってきた。
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