桟橋演戯

藻朱

683文字

ほとばしる言葉の疾走感と、シュルレアリスム的手法の融合。

火檻に破かれた虹鱒の匂いが、桟橋に佇む僕と匂を伴い、山神の匂いを模倣する。錯乱姫、昨日トラックの間に眼球を握り潰す素振りを致しましたね。僕はねぶらいのクロッカス、尻拭いの網目にそっと捉えられ自爆と名のつく白紙に蕨餅の割れ目を、そこから覗く、銀色の目蓋を請い申しておりました。最下層に降り積もる芝蝦の亡骸、賢しらに放蕩する、ひんがら目に項垂れた麒麟の御腹には昼日中、夕闇の蹴鞠が落ちていました。桜海老、いつになく放蕩の息子にアマリリスを咽ぶのかね?からっきし燕が立て掛けた、喉仏をねんごろに見そなわし梶を取る、山案山子の敷設祭。「大変だよ、大変だよ、湯葉海老!宇宙はいつになくひん曲がってしまえ、大変だよ大変だよ、湯葉海老!宇宙はいつになくひん曲がってしまえ牛丼屋!」その脇に聳え立つ庵を囲む御爺さん達の黄色い歌声には、淡が混じっているよ。揶揄せよ揶揄せよ茸雲達!御爺さんの黄色い歌声の奥底にある痰の奥底にある被爆者達の叫びは真白な!ティッシュに包まれて行き包まれて行きゴミ箱へと、踏ん反り返ったアメリカンダストボックスへとぶん投げられ皺くちゃにされ、包まれ包まれ釘打たれ、崖っぷちの合間に埋め込まれ「動キガデキナイヨー!動キガデキナイヨー!動カシテオクレ動カシテオクレヨ、カッタイビトタチ。コノ窮屈圧殺シテオクレ。明日ガ来ルヨー、未来ガ来ルヨー、被爆ノ、匂ガ、消エチマウヨー!」目先のあやかしに包まれてニンベンのツユが崖っぷちの合間より滲み出て来ているよ。僕はそれを気管支炎で真っ赤に腫上がった喉チンコに塗りたくる。さあ、御婆さん、ニンベンのツユを、吸って、おくれ。

2007年9月6日公開

© 2007 藻朱

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