まどぎわの小花、或いは沼地の森、モノクロの学び舎に月のささめく白昼夢とは檻のことであろうな。
『わたたちはそいながら、ななめに萼をひぎつた。』
猜疑。
どこにも掲げられておらず、ベールを被った少年時代が地平に開いた踏み段を、踊り場を飛び越える。まどべに灯りはあり、呪縛のよう箱庭あり、手招く辺り。
灯台が矯正された感覚に薔薇の花束を数本授けて見せよう。
歩いても叫んでも無駄に往復しては今日は山深い古城に、錆びついた鋏で道を捧げよ。もうすぐに夕暮れに身散るというに、風紋を穢すことが出来ずに。焦がれていくばかりの、表情。見ないであげてください。
ただ臨むがままに崩れいくのですから。
栄華のスクリーン、等に終幕は轢かれたのに
のっぺりとした雑音が、耳から鼻をつき、嘴を愛撫する
慰霊碑のひび割れから、桟橋に続いている
秋色の、空。
電球がぽつりと光りを溢し、そこから風がまたりと微笑する。
夜の帳を拒んだ橋の袂で、待ち人きたる
その刹那まで遊我な蛾は、意識を保ち続ける
古い硝子の海、寄せ返す涙、鈴の音を裏返す夢の泡、これら珪砂に満たされる、今。不可視化な屍体袋から、星の皆様 今日和! 叫べども誰一人振り向きはしない交差点の真ん中で未熟児を産んだ、明瞭な雲の崖から突き落とした羽根が微笑う、ズタボロの足で、大地を覆った。
あゝ光が失われる瞳の行方を知る。
濁りある水晶球のあおが扉を開けるように 淡きひかり 腐敗した星の弦下がる点から/吹き流した翼が、夜の帳を溶かして作った、淫雨と漏れ出して 墜ちて身散る/かすかすの霧の中と 穢れている度の合わない眼鏡と のっぺりとした幻影のボクなら/手を広げ 包み込んだら。意識ほのかに斑、にじませた薄墨色に 朧月 風切りとえがく/古くから記憶に掠める、『夜汽車のうた。』よくしらないけれど その余香、身勝手に総べる。きみのはなしだと。
[すんと諭した/上下する 胸/さざなみのように寄せては引いて]
かいな 押し戻された今に なにもかも 塞いだから。
「いまさら」――とおくに浮かぶお船が。きたように、キミがどこかへ うまれついたように、/灯台のあかりは瞬いていたと、「よくみえないな」微笑んでみた、陰りイロハ
もう眠りの森の、その崩れ落ちた屋根に反射する 鎖充ちた風見鶏よ 知らないか
そのかろうじてつながる、鈴の音を 風鈴のささやきが、稜線を疾走らせていく
いつからか。
「旅に出たまま返ってこないのです。」
うわさでは、
流される汐風と
/こうしてかえりを待つひとがいるというから 道は続いていると 聞きましたが
/それでは 僕がここまで いただそればかりは正しく、美しくある
――雨だれのやどりに――
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