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はらいそ

鷹枕可

出口は、ほんとうの出口は何処にあるのかを、あなたがたに問う。

919文字

 

俺は、
一つのドアを「出口」と名付けた、
ドアの額縁には四季の花や鳥、
そうだ、
「薔薇」や「鶯」、
「金雀枝」や「金糸雀」を籠に編み、
その額縁に一本の釘を打ち、縁取り、吊るしていった、

 

誰もが出口を創った、
玩具の天使や、
真鍮の兵隊を散りばめて、
まるでそれは一つの世界のミニチュアの様だった、

 

だが、所詮夢だ
夢の大ぼらのうそっぱちだ、

 

女衒は何処に
新宿の立ちんぼたちは何処に
エキストラ達の、オーディションの一等席も今は何処に、

 

そう、出口なんて始めからありはしなかったのだ、
にせものの出口、
異世界、看護婦、にせ隠者、警察、ごろつき、探偵、天使、
みんなみんな書き割りの、二束三文の下女オペラ!

 

お前は、
一つのからっぽの夢を
数限りない現実に晒すことができるか、

 

澁谷駅前スクランブル交差点の、
その群衆が埋める歩行者の雑踏の足許を、
誰かが捨てた
白い
ビニール袋が一つ
廻りながらたなびいている、

 

それを、
捨てさられた一つの自分自身の旗とし、
捨てさられた一つの自分自身の国歌とし、

 

今、漂泊する
あなたも、
あなたも、
あなたがたも、
自分自身の題名に
自分自身の匿名に於いて
高らかに笛吹きの行進を進めているのではなかったか、

 

しかし
われわれという劇は終る、
映画も、台本の科白も、俳優の時間も、
あなたがたの創った出口もまた閉され、忘れさられる、

 

何時か往く空何処の空、
蛍の光窓の雪、

 

最期を飾る大花火を見たか、
最期に残った壁の落書の「最終出口」の文字を見たか、

 

それだけが、
風を孕んで膨れゆく
崩れ落ちゆく時代への、たった一つの葬送曲だ

幕を閉じろ、
現実の自分自身の幕を上げろ、
そこにそうやって呆けて、
おまえは一体何を待っているのか
おまえは一体何を待っているのか
おまえは一体何を待っているのか、

 

覆せ、
ひっかきまわせ、
出口をたどれ、
劇を捨てよ
俺は嘘だ、
おまえも、おまえも、おまえも嘘だ
世界を劇場から解放せよ
世界を虚構から解放せよ
世界を我々から解放せよ!!!

 

 

そのあした、
出口なきまま焼かれたる、標本箱の鼠の為に

© 2026 鷹枕可 ( 2026年9月17日公開

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