ときとして 蜻蛉として尖っている ちいさくて硬いもの 細工 という 正午から夕方まで ト堰の護形が凍えます ひるがえして パチンなみなみ ありきたりの感覚が消え失せ 自由がきかなくなるはずです また視線を白妙のそでに だしがらに堕とす しずしず み渡せます
モノの縁 沸と盲信 干渉を嫌う なれば萊の蕾 みちむこうに
陥るあなたは指折り 足音ばかりが射すように惨む
器の実 鉛色の砂地 飛翔するまで焚いた 茂み 跳ね飛ばす傷跡 かすめとる羽音 lynとして ね 有刺鉄線の腿 地雷原の雁 小指の碧夏 くらべて 御石灰にも 薄日 暈を挿頭すなら 翼に 条文を唱えながら どこか謳い文句で どぎつい花を声を嗄らし 魅せようと褐色の薄汚い 身を揮わせるものだ
それで頷いて 向き直った。喉が熱い。めのまえがぼやけ やがて見えなくなる
(コネクタは頭蓋の下からお願いします)
黒いあわが、塗り替えてゆく天井 また生ぬるく這っている歩幅だけで立ち尽くしている。布はしめりと肩を揺すった。指し示す、のぼるのではなく染みて沁みる。膝を寄せる。雨粒よりすこしつけねの人格。今朝はまだグラニュー糖で、きらきらの手だったもの
指先にまだ垂れていた 温い杭を伝って、螺旋のように。質感という概念のない北へ繊毛が捩れゆく。掻き分け切れ目を入れ、また黒い種を植える。ぜんぶのわらいごえをまるめたような皺くちゃなかたちだったナプキンで覆われる。〝降らないものは、浮く〟と告げられたころ
それを吐き出すかどうか、ただそれだけの話だと
( もうひとつはだれか、見えたことがある )
( そのあとすぐ忘れた たとえばのはなし )
――触れるが拒むを抱いていた 言葉ない言葉です――
オルゴールのなかは息を吸い返したみたい。かさなりあって立ちあがった遠吠えに近づく。渡り鳥はまばたきのほどに 透明な果肉の浮力だけを残して、ひとつめの指紋で、ふたつめの刺繍のように。ぬめりは舗装されない粘膜を吐きつづける蝋ではなくて
いえないのにすべてを示す
指が、問いをつくった
『そら、鍵になったもの/字幕つき、月』
眼球をくべた焚き火のまわりで踊っていた。昇っていたのだ、とも、奥行がただ折れた瞬間に、斑の(誰も見ていない場所で、)膚らの言い訳が、孕まれ、かすれ、砕けた。波間に咲く蝶がまたひとり、ひとあまり、ひとえに咲いては枯れ、魂が語る、のではなく“塊らしき”ものに語りかける。
耳は、私ではない袖を選んでゆく。ひとまわりふたまわりまわってどこか かわったような気がして、見えない塔の断面を こごえる、祈祷譜に見立てる。やけにまるく、やけに、あわく、思考をはじめる あるいは、いまだうっすら掴んでいた
さっきまで舟だったものは川になっていた
これは。剥製師の夕焼けに刺されたよう静かに佇んだ街の、ビニルの抜け殻に「わ た くし、の信仰」ぎゅっと 詰まって、息苦しい、から/摘んで、這いつて、華美ていて、/ほとけて、また、こぼれて、もどってく
すべてはとおくながく穏やかなクレーンが同時に首をかしげた。輪唱。腐りゆく契約の、末。囚えきれない未発の火傷のように ずっと、ずっと、ずうっと、滲みつづける 水で、あれども。それでもう、からからな旅客機がちゅっとした
ちいさな砂丘を焼くのは ちいさな口のない魚がふしくれだった 蔓に掌を返すたび 互いの輪郭を舐め合いながら ひとの重みが交互に撫でていた 紙片がぬづけていく しづんだ化石が二度、腐らない。未発火のくちなしの眼球に似たもの、「で?」とだけ 発泡していた ふたつの心臓はいつも左の床下から鳴っていたから
いや、そのものが 私にだけやさしかった
――エンターキーの長押しで、終了します――
この湛みかけの太陽が雨粒を緩くのみ込んで目に入るほどしずかに殖れるとする。ゆっくりとほどける獣がこまごま割れる崖の唇をなぞる、断ち切られた絹のように生えている道
〈はきすてたような気がするもよおし〉
/また少年はそわそわと犬みたいによく語りよく寄せる/差し込まれたスプーンが折れたとき/フイゴの奥、ルートを通ったコードが/まわりのものもだんだんとけはじめて/砕いて/また砕いて/
「まだ。って言ってたよ」 ※だが靴は濡れていない
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