なにかと話すことは出来ないゆがみが風で転がるような早口で怖い夢をみる
夜明けは数センチほど切れ目をいれスっと追って置く
分厚い本をひらけば許されるんですか。と酔うした仰い色の扉は生えている閃光のかけら
”わたし”という存在の代わりに置かれた梅雨空は、脱臼した柱時計が一口飲んだ、地軸の約束。あとで――。
ほこりひとつが喉に引っ掛けたまま透明化される重力のように壊れたもの。偶然
手すりに触れた皮膚がまた、かすかな夜を蹴る
はねるほどけるまざる滲む踊る沈むもどらない。七枚目の不協和音として。そして回転する、
乾びる途中の蝉。口は小さく唇も薄い、あなどるようなイロハ
噛みきれなかった気配だけを残して、またひとつ、湿り気があわだって、放たれた。光が透過する
雨のふりをした。一羽の鳥が密集したため息をひとつ過剰に、ぬめりのうちで鈍る、はじまりではないところから、
しなびた果実を持ち上げたとき、指先で崩れるときの脆さ
抱く。ひとつ――変ずる時に名を持たぬ以外何も無いから 傷つき使えないんだよ
月の庭へ肌をやいた。アザミの標本
――極端に短く足の裏にひっついた土が光を吸いすぎて黒ずんで見える
昊と水面の区別がつかず 青すぎる 指の代わりに――
とおく工場では律動だけが撫で残る。わたしの爪弾からこぼれ落ちた影がある。手紙の続きが震えている
ただしずかに、裏返る。(しずけさに、耳が 濡れる。)風波のようにうねるが、色を失っていく。そこに棲む行為、ドアノブをまわす仕草に、剥がれかけた12のときはぼやけている
赤い櫛に問いかける。めくって、かさぶたを舐める片手に咆哮を弾け。呼吸の地図を持たぬ夜明けの直後、開ききった芍薬の花弁が終わらないものたちの、口のかたちで
てのひらの深さに収めた棚から逃げ出そうと必死にバタついて 胡散臭く、どこかで漏れて、オパールは、だからこそやさしい
一枚づつ剥がされては、こんなふうに留められた自意識だけが皮肉と呼んだ。(どうする気だろう)予想通り変わってないわ/良くないよ、と、口々に応じた(うすらひかるうたかたの)握らせるやがて、視線の化石
相変わらず時間のふりしてやってくるのね
割れた青磁のような内側に貼りついた眼球の あべこべにしゃがみこんだ沈黙のうしろに碧く
はじめに旋律をのせた。澄んでいく、こびりつかせるような紺の客室からみられる、縁に経っていて泣きつくのだろうと耳に届いて
露骨芽吹かぬ泥の、群青の芯に蓄えられた波は均質ではない端から、端までしわ寄せて、夜の背中が濡れた叫びにちかく、ゆれるように
糸に吊るされた単なる水をじっくり覗き込む
口の痕にしまい、使い古されたハナビラを巻きあげ、どれか昔左利きだった痛みではなく黙って遠い所へ送られる蝋燭で火をつけ、
とてもやわらかく、鋭く、やさしいものが北口で、引き返さなかったすべての逆さに鳴る噂は、結ばれなかった靴ひもに、もう戻らない町の匂いが宿り、スマホを伏せる動きに、あらゆるものが薄れていく
あの黒繻子の水も空も独り言をいいながら踏みしめるたびに、
ただ背の高い骨のなかを泳がせる蜘蛛がちからいっぱい漕ぐんだよ、どうでもよくなる速さで、まばたき一つに、指先が震えただけで、糸を吐きながら緩やかに垂れる
まだ熱いだけ荒野では孔から出され、真っ赤な顔したり枯れたりする。下の方は腐り溶けてあたたかい。「生」がいちばんきらめききって、
あまりの強さがかえって立ち上がり きしみながら聞こえた。太い汽車が弾き除けるようなヒサゲタ幸運を氷上に育てたてのひだ
撓らせる、感情(とこしえ)は誰のものでもない
朝露でしなる麦畑。横顔を向ける角度に喜んで、隠し通せるはずもないハシゴをかけて、うっすら冷たいのに しらんぷりして
膨張していく。生乾きのまま、温い風が疾走りすぎた田圃には、鼠色になった空をみて高く吹き付け、呼吸を始めるふりで、退廃に近づく瞬間。肩をすくめるだけで。喉裏にわずかに感じながら空洞を生む。それきりになったのでした
絶対的な力でひかれ、前進を撫でていった感覚、かたちのない咲ける祝祭の照度でみなもとで
赤い生地で白い髪の変色した新緑。腐臭がまざる。ひとしずくの道も同じく脈を打つが、触れられないもの。崩れるのではなく、残す気があれば、鍵穴に砂を注いで。かすかに穿たれている太陽光で。忘れられた草いきれに、持ちすぎていた
誰も見てはいない網はいやな匂いがする
窓という窓にやさしく乾いていくほそい傷痕が、五度折り返した先にある像という接点にゆいつけ響も歩きつかない。珊瑚の脚をいしずえの階層の残骸と拾って、先端に行水している哥があり。あかりはなくありあわせの塔、
風は吹いたのに、あくまで記憶は閉じる。けれど山だけが舟を召した
ばたばたばたばた。夢を編んでいたとして
沈まなかったという現象だけが沈んだ。だれもが物語の中だけ。だけどさ
沼地の傍だから、滑稽なのかもしれませんし。残暑も陽射しも未定の方向へと溢れ殺されてくれると。逆撫でした誕生だった。蝶や蜂は約束されなかった。鉤爪の階聞き流そうとすることに。まま、撫でる、撫でる、撫でた果てにほつけていく。赤ん坊の躊躇いを
( みつけたのではなくかえってきた
( 共犯とはきっと新しい朝ですね
誰もいない小道を伝って干上がったあと、なぞる指の間からこぼれ落ちるのを あまりにも線のない耳鳴りのように、どこからか 忘れたふりの息を吸い、その奥にもまた、ひとつを開ければ、またまたまた――傾斜に出る
ひび割れた舗道に根を這わせる雑草の、妙に白い花。淋しがるので美しくなった
すべて賑やかな朴へゆくのです。それで。直ちに抱く感覚は明るくなるのでした
たまらんよな素振りで。逆回転する表層って物憂い調子で ぐにゃり。ツラは日に焼けて。そして譲ってもらった、と。ひらいたとたん
なにかと成すすことは出来ないたわみが雨で潰れるような早口で弱い夢をみた事もなにもなかったのでした
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