第十六回目謝罪列車と途中経過の会議や球体の臓物、あるいは、脳のいくつかの正しい『しわ』と一人の医師。

世界が問いかけてくる……。早急な態度がその後の天候変化に対応している……。さらに領収書の切れ端で立体的な挿入の証明を払う。濡れてしまった空き缶の中身で電子機器を当て、象牙の宿屋にひとまず身を潜める……。おれに全ての罪を擦り付けようとしてくる……。

なのでおれは粘液だらけの熱いビールジョッキを投げてからコートの女に拳を当てる。早期発見の手前の悲願と姉の大胆な色とりどりのサラダ。さらに厨房の奥から出てきたゴキブリに温かい敬礼を渡す。するとスイッチが軌道して鴉の砦に、歯車……。
「ガコガコと動いているな？」
「は、はいぃ……」

借り物のテスト用紙と敷かれたばかりのアルファベット……。丁寧に死んでいく信用の立場や、一斉に襲われる女児の爪。おれはきっと濡れたティッシュペーパーで鼻を拭う。さらに医学書の一ページ目で全ての写真の先端を削る。

そしておれは自動的なドアに手を挿入して父親を身代わりに捧げる。

電源と電卓と電子機器や電磁石の流れと電動式シャッタースピードの蠢き。さらに昆虫的な伝票に加えられたスラム街に聳える街とメイドだらけの室長……。ココアを飲めよ……。さらに手刀をどこまでも高速化して三階にたどり着く。おれはサイになる……。

週末の旅行と花火の義姉たち……。コンビニエンスストアの扉を開いてデジタル式のチェックをたどる。理性を閉じ込めた檻の中に馬と大きな茸の香りを携わる……。二本の指で抑え込んでから波に乗って突き進むだけの少年の群れ。おれたちは王様を守るためだけに自己犠牲を払う……。

女はペンウィーと助手を押しのけて、手術台上の男に寄り添った。涙を流し、男の肌を大事そうに何度も撫でつけると、そのまま勢い良く男の分厚い唇に口づけを落とした。
「んはっ！　カルドロイ、あんた、大丈夫なのかい？」
「母さん……。おれは大丈夫だよ……」

ペンウィー医師は不安げな顔つきの男に笑みを落とすと、注射器を助手に渡してメスを手に取った。そして男のむき出しになっている腹に何も言わずに刺し入れた。
「い、痛いです！　名医！」

ヘルスケアを必要とする人材……。彼のような第三者に蓋を与えるべき人間には地図のような紙切れが必要で、八分間の土壌の中の花束に家来を与えている……。

そして男が追加で急速に頭を冷やすと、天井を見つめながら予定通りに呟く。バーガーのよりどころになるべき重火器の闘争が彼を導き出し、日付で管理している頭が光ってしまっている緑色のトレーニングに太鼓を与える。悲観的なナイトプール……。さらに天井から落下することを望んでいる孤独で不採用な冷たくとろける魅惑の弾丸……。
「ええと……。変わりないです」
「それならよかった」
「ちょっと黙っててくれ」ペンウィーは執刀を続行した。「いま、良いところなんだ……」

角を確認した商人と女中たちによるオーケストラ演奏。おれはそれを階段の中腹で聞いてからトイレのドアに駆け込む。さらに喇叭の発音を丁寧にしてからホールの中の自動販売機にココアを頼む。二秒後に全てが放出されて義妹が酒場にやってくる。男たちがホットパンツい釘付けになって動物のその後を見守る。調子の良い家政婦が雑誌の中心を見つける遊びで掃除機を動かしている。ガタガタと煩い列車に人が舐めている……。フードを動かしている医者が自分のカツラに名前を書いてから発表会に参加している。おれは今回からの坂の下りに頭上と最低限の器の色を間違える。

ペンウィー医師はゴム手袋の素手で拍手をした。横の助手もそれにつられる形で拍手をした。するとメスを刺し入れたばかりの男までもが素手を上げ、拍手に参加した。
「それで名医……、これからどうするんです？　おれの腹はどうなるんです？」
「そうかい。ええと――」
「彼からの承認はすでにもらっている。貴女が介入する余地はありませんよ」

ペンウィー医師が女の肩に手を置いた。そして木製の扉を叩いてから勝負服の色と歴史を繰り返す。
「ああ、カルドロイ……。今すぐ助けてやるからね……」

成功された約束と倉庫の段取り。再生されていく白黒のイメージと取りこまれてしまう数式やコンピュータ・システム……。

最初の歴史や女子中学生たちの蹴り上げ黙示……。三度目の理想郷に崩壊していく哀愁のある山羊の角と唾液や舌の先の百足……。解消された鍵の出入り……。正直者の兜……。砂漠たちの粒と複製された人間のような音たち……。
「それからどうなったの？」と肩を叩きながら咳払いをして右手を飛ばす。
「おい、馴れ馴れしくするな。あるいは掃除用具」鳶たちの集合体……。男は山羊のように休息に冷静になって本をめくる。
「……炎天下の台所か」

何かが急速に形を変えながらどんどんと周りのものを吸い込んでいく。食パンだけに必死に付箋を貼り付けている男……。「パンがゆっくりと動いている……」

再現の良い定例会議などの臓器には、一般的な資料を使用することがない。それは卓越した山羊に同様で、いつでも問題の無い書面の絵柄に対面した泥の影に落雷を落とす……。理解力を終えたいくつかの電子レンジの中の小人は、会議をするまでもなく自らの可決を謳ってから階段を下る。先に広がるのはいくつかの馬糞と紙コップだけで、邪魔になるべきの薔薇には最後まで触れられなかった。
「とてもよく冷えたポカリスエットを、山梨に送ったんです。そしたらお返しとして、凍り付いた鮪をいただきました。……私はもう嬉しくって、その日のうちに全て食べてしまいましたね」

ペポニニャンは白衣で口元を拭うと、そのまま一度だけお辞儀をして椅子に座った。すると周りの、円形に広がった椅子に座る参加者たちが一斉に拍手をした。それは例のドミニラン・リズムを採用し、ペポニニャンの耳介に入ると、そのまま物質として彼の脳を貫いて浸透していった。

女は震える声を出すと、男の腹に刺さっているメスに触れた。メスが揺れると、その度に男に激痛が走った。男は身体をのけ反らせて呻いた。女はそれを無視してメスをぐりぐりと動かした。すると男はさらに大声な悲鳴を上げた。
「ちょっと待ってくれよ」

そして酒場の一番奥の棚の上で男が自慢のサンドバッグを引っ張りながら何かを呻いている。「おれはもう二度と組織には戻らなぞ！　なぜかというと、そこには自動販売機も、即席のコンビニエンスストアも、スーパーマーケットも無いからだ！　おれは二言目には銃を構えているあの世界観が好きだったんだ！　でもヤツらは変わってしまった！　連中は酒を見ると目の色を変えて迫って来る！　そしておれの財布をそのまま咀嚼して、ゴクンと飲み込んで消化してしまうんだ！　その時なにが起こるか、お前にわかるか？　ああそうだよ。葬式だよ。連中は遺族の目の前で葬式を続行して前転をするんだ。そして騒ぎの中に乗じて忍び込み、いつのまにか組織を反映させることに成功している！　ヤツらは巧みだ。そして姑息で、どうしようもなく前衛的だ！　おれはそんな組織は見たくないし、関わりたくもない。だから逃げてきた。笑うといいさ。小心者だって笑えよ。そうすればそのうち、お前らに罰が下るから。再現度の高いフィギュアほど、その効果が薄いんだ。おれたちゃいつまでも小銭稼ぎの海賊気取りさ……。さあ、皆で焼酎を浴びよう。そして太陽の熱で燃え盛ろう。そうすればいつの日か、おれたちは竜になれる。そして天を昇り、空のマンホールと名高いあの名声に届くんだ。皆で叫ぼう。そして就寝しよう。おれたちは海賊だ。そして竜の子だ。さらに言えば、葬式屋だ。見てるかい母さん。見てるかい組織の連中。おれはここで宣言しているぞ！　ついでに払拭もしているぞ。今に見てろ。きっと後悔するし、洗練された技能に驚くし、虹色の蟲がお前らを包むだろう。おれは負けない。何にも、だ！」
「君は音階が好きなの？」

不滅の泥が解けてしまっているな……。室内の空気感の中から比率を割り出してアスリートを呼び込む。「運動をするかい？」
「なあ、久しぶりだな」

さらに投げてから羞恥心を捨てて飛んでくる和服の女たち……。
「ああ！　それがあれば何でもできるだろ？」
「い、いいえ……。そしておれは受け取ったばかりの焼酎の瓶を男の眉間に投げる」
「これは……、焼酎ですか？」図鑑の中のトリュフたち……。正面の他人の顔と瘡蓋の剥がしの音や自惚れの会議……。土管の音と重火器の斡旋……。

涙を集結させたスープが食堂で煮込まれている……。全ての執刀医たちがその液体を喉に流して身体を震わせている。

チェンソーの管でネックレスを彩る。電動の音が鳴り響き、手術室を満たしている。患者が動き出し、眼帯の裏の瞳を予測して叫んでいる。屋上には、古びた吹き矢を持っている白衣の男たちが整列して自殺を試みている。
「はは。ならどうしようもない力士たちに向かえよ……。さらに凄むのは丁寧な代物だけだ……。どうせ皆、砂漠になるよ……」

山吹色の蜜柑の味……。「ぼくだけだもん！」里芋だらけの未開の地やイギリス生産のパンとブレザー……。おれは女子高生たちの足の中で暮らす……。さらにトランプカードがこちらにやってくる。おれは三つの素手に太陽と同じエキスを塗ってからそれらに向かって講義を開始する。
「何者だっ！」

頑固な携帯電話にサイダーを投げる。すると花瓶が震えておれに目次を教えてくれる。さらに山の頂上から投げかけられるバナナの色がしっかりとした黄色であることを示してくれる。

助手が振り返り、女に向かって吠えた。去り行く手術室の向こう側にショット・ガンを与えてから、一端の医学者にはできない笑みを向けてフード店内に入る。
「まあまあ助手クン。今は手術中だ。穏便に行こうじゃないか……」

誤解を連続投入する会議の列車と縞模様の判子……。蕎麦を啜るだけの音や屋根の色を当てるゲーム……。破裂したばかりの風船に刻む言葉たちが自律神経を獲得して動き出す。兵士の男がそれに対応して死んでいる。

時計の音や布団の間の香り……。甲殻類の蠢く絵柄や曲線だけで構成されたぎりぎりの会議室早朝。さらに歌舞伎の手入れや刃物の収納。昼間の水泳授業。給食の瓶。スポイトを分解した後の片づけにテレビの中の数式……。「これがエンターテインメントだって？　嘘つけ」

コンビニエンスストアは何も答えてくれない。さらにストリートの色……。薬の数を数えながら前転をして二階に避難する。
「相手の強さを測れよ……。そんで、いつでも強敵にかぶされ」

自動販売機に住んでいる男。チューブから出てくる男。女の歯列を舐めて感じている男……。同時に作動する公園の切開の音たちと束ねた足の中や蟲の穴に入り込んでいる短髪の少女……。「おれはもう満腹だよ」

さらにお茶を入れてから布団に身体を投げ出して居座る。錠剤の香りと被験者の涙や夜間営業の病院。受付で銃を乱射しているだけの女。
「酒？」
「どれからかな……。さらに燭台……」
「爪楊枝……」そして歯茎に釘を刺している……。雨の冷たさが刺さってから抜けていく。「何もかもを覚えている世界線」
「ま、待てよ……。おれは映像の電撃の仕組みなんて知らないぞ……」
「どうかな」と含み笑いをしてからポケットに手を入れて白衣を取り出す。すると同時にポスターの破片が落下して緊急停止ボタン保持者乱入式会場。「どんな相手なんだ？」

すると同級生が鏡を持っておれに立ち向かってくる。おれはその眉間を殴りつけて下に伏せさせる。彼は自分のブレザーがどこあるのかを知っているが、それを手にする方法までは知らなかった。

さらに飛行機の機材の中で肉体のデザートイーグルを放ち、山羊たちの会議を成りすましで耐える。約数時間後のテレビの放映に間に合うことができたメモ帳だけが道徳的な注射器と力士と針の正真正銘の合体を目撃することができる。
「なによ、あんた」

女が振り向いてペンウィー医師を見た。中尉の腰の縄と料亭の香りや努力家の先生……。里芋の粘り気で数学を導いて線路を叫ぶ。

真っ黒い鉄の風が鳴いている……。「い、いえいえ……、管理官、それはおれの間違いではなくてですね……。ははっ」
「ならどうしてここにこの書類が届いているんだね？　んん？　君ならすぐに説明できると思うがね？」
「再度の低音だろ？」

ペンウィー医師はいかにも知的な医者だというような低めの声を発した。
「それでも私はこの子を助けるわ……」女は男のメスを引き抜いた。すると亀裂から血が飛び出した。それは赤い曲線を描いて男の身体に落ち、そのまま手術台を真っ赤に濡らした。
「おやおや……。これはひどい」
「どうします？」と助手がペンウィー医師に投げかける。

すると手術室の扉が開かれた。電光石火が光り、なくなっていた電池が回復して三日ぶりの姿を見せる。そして黄色いエプロンを着たふくよかな女がずかずかと入室してきた。
「おい！　これも持っていけ！」

鮮明なリビドーと戸棚の中の久しぶりな天候変化や崖の途中に聳えた自然の中の祈りと宗教的テクニック。破裂する風船の見限りと教室の色たち。おれの消火器に携えた冒険家の唾液と遺品と地球儀の血液……。

ペンウィー医師はいつでも本を読んでいて、いつでも本に読まれている。そして医学の何たるかを調べている彼女は、白衣を気に入っただけの女と男とそれ以外の何かにメスを入れることを喜びにしている……。
「将来は小人か？」

おれは中腰の文学に絵本を追加してからその手を取ってコンビニエンスストアに逃げる。彼が後を追ってくる。
「ちょっと、付いてこられるとこまるんだが……」
「ううむ。これはもうどうすることもできないな」
「そんな……」

女はするりと床に落ちた。その頭に血の雨が注がれ、女の茶髪を赤色に染めた。

典型的な小人の作家とお粗末な東の門……。消耗品だらけのスーパーマーケットに手を入れて銃声をなびかせる。

再開の抑揚や、湯舟の邂逅……。分断された障子の角……。数字の亀裂と水泳のための手順や会議……。「おれは知りたがりでした。さらに言動が恐ろしくて、発狂まがいのこともしました。教室では常にピントがずれていて、解読のための処理が遅れたこともありました。そして無限の闇のような浮遊の定義に子供を産み出し、種族や肌の枚数の違いだけで機関銃を放つ……」
「どうした？　大丈夫か？」

少年は訳も分からず棍棒を振るう。彼は末裔の流れに添ってから羞恥心を携えているのだ。そして脳のようなしわだらけの音に階段を伏せて……、ただ、進む……。掃除の昆虫的な歴史……。「勝負するかい？　それとも落選？　あと、レーション？」
「伍長……。おれたちは人間ではありません……」

さらに吐き出してくるロボットのげっぷと並々に注がれたビールジョッキ……。

大学生たちは広々とした注射器の設計図の遺伝子で遊んでいる。
「ベビーカーかい？　それともペンウィー医師？　まあどちらにしろ、すでに購入したばかりだけど」
「でも聡明」
「ああ……、ただ……」とおれはストロベリーのジャムを床にこぼす。「おれは全ての地球の箇所を思い出した」
「そうかい」

吹き荒れていくいくつかのビデオの中の重複したイメージ……。
「なあ、ビーカーを一つくれないか？」
「どうした、理科の先生にでもなるか」
「いいや。おれは正式な硝子職人になる手はずさ……」
「そうかい。ならこのマントを羽織っておきな。じきにやってくる波風が、お前を次の目的地に導くさ……」

そして、流鏑馬のような曲線を必死に描く……。ラジオ体操第一を繰り返し演じているはげの男。百足と蟻の巣たちがざわめいてからビーカーの中に入って牙と粘液と野菜の香りを閉じ込めた島の経緯を吐き出す。「おれが昆虫博士に見えたって？　はは、そりゃあ良い！」

ペンウィー医師はとろける女の甘い声をなるべく引き延ばして囁いた。そしてメスの全ての刃を男の腹に入れると、そのままメスが自立するかどうかを観察した。
「いいえ。でも証明をし終えた後なら、良くても大胆です……」

係長は叫びながら架空の紐を身体に巻き付けて台形の公園の中を進む……。雪が彼を白色に染めて凍えさせると同時に衣服を叩いて学校を向かう……。
「あ……。なんだっけ？　アラブレド？　とか、そういうのですよね？」

ペンウィー医師も振り返り、近づいてくる女に右手を差し出した。「それでなに用かな？　マダム……」
「母親が息子の調子を見て何が悪いのよっ！　邪魔しているのはあんたたちじゃない！」

女は脳に響くキンキンとした金切り声で叫んだ。たまらず助手が両耳を塞いだ。ペンウィー医師は何度か頭をゆっくりと振るってから口を開いた。

硝煙の香りだけで商売をすることが不可能のように、教壇のチョークでは生徒を支配することができない。
「は、はは……。どうだろうな」
「我々は金をもらって彼を切開しているんだ。邪魔するのは許されないよ」
「カルドロイ！　カルドロイ！」

さらに就職してから蔑むいくつかの歴史……。銅と鉄の境目にある腹の中の最期の頂……。手術室中の機材がその声に反応して愉悦に震え、硬質したパックの中の血液が踊り出した。
「どうでも良いだろう？　それより、お前のターンだ……」彼は尻の穴からいくつかのトランプカードを取り出しておれに向けてくる。おれは無表情でその中から一枚だけ引き抜いて見てみる。
「これは？」
「それはバツのカードだ……」

自伝の中で語られるだけのナイフ……。血の流れ……。音による抑揚のある会議……。収納の税率や国家の規律の商人に蔑まれる悪魔的なダンスと魅惑の数式。十三個の塊と丁寧な印。「彼はどうして『それ』に取り憑かれたかのか」
「商人のせいか？」
「おお！　立つじゃないか！」

すると係長が立ち上がって寒さを叫ぶ。さらにコートを脱ぎ捨てて降ってくる雪を感じながら刹那のように飛び上がる。「これが節分だぁっ！　はっはー！」

すみやかに手順を整える駄菓子の羅列の思い出や、始めから手伝っていた無理心中の断崖の音たちよ……。傲慢な科学者の時計や黄昏の音、最終メッセージの瓦解したヘリコプターやセロリの感触……。前途多難の任命と親父の香りや懐かしい態度の羞恥心。
「か、係長！　アンタって人はどうしてそんな風に野生児なんだ！」
「おれはいつでも森の中に居る感覚で過ごしてるんだ！　はっはー！」
「最後だろ？」

代わりとなる吹き矢の稲妻や羅針盤の安定感を求めるためには、生粋の百足職人に助けを求める以外の生き残る法が無い……。
「ああ、五年ぶりか？　それとも六年？」
「おれたちは教師に怒られることが正義だった」さらに机の上の戦争を終わらせるための切符と手紙の在り処。ラジオ体操第一を繰り返し演じているはげの男。
「わあ！　ここってとっても挑戦的！」と女がトマトの落書きに向かって吠えている……。

隅から出てくる文字列が脳裡を汚し、さらに飛んでくる祠のよりどころが新たな宝箱へと導く……。
「木製の選び方から違うんですかね？　それとも全部、勘？」
「いいえ……」
「ならどうして？」
「わ、私は鉄製の家具を選ぶのが苦手なんですよ……」ペポニニャンは小声だった。
「ほら！　これが好きなんだろ？」
「そんなワケねぇだろ！」と主治医の男がゲンコツを食らわせている。記者はメモ帳を落としてから前転で回避し、まだ診察前だというのに病院から逃げていく。
「二度と来るな！」

会議の室長を叩いてから新天地に巡らせて行動を阻害する……。さらに新緑の笑顔を頂に挿入して妊婦の顔を叩く。最終メッセージとして受け取った鉄の風の南に備えた音を訪ねる……。爽快感の炭酸に苦情を垂らして桜を診る……。

屋上へのトタンの扉を開いて入ってきた看護婦が、柵を飛び越えて落下しようとしている男の集団を目にする。その眼球は押し出されたかのように前に向き出しており、看護婦は発狂しながら自分の中学時代の恋焦がれた男の名前を叫び、目の前の男たちを止めるためにてこの原理を学ぶ。最低限の道筋を建ててから調理師に典型的な勝負を挑む。さらに自動ドアの中間地点と戸棚の整理を消耗する。
「飛び上がるの？」

男たちが列を成してお前を殴りに来るぞ……。逃げろ……。そして俯瞰した程度の甘い素手で道をトーテムポールに明け渡せ……。陥落した城は元通りにはならないぞ……。おれたちは階段の隅で男性的な昆虫にひれ伏しながらオペラを待つよ……。
「いいえ……」

男が叫んでから前転で垣根を超えている。桜が舞い、追加で受ける消耗試合の音が刀となって教壇に刺さる。
「そして曲がる」

いくつかの整理券の男が叫んでいる。球体のワルツと勝利の天秤……。汚点を示す小学生のランチに修羅場をしてる。潜り抜けてから稲妻を叫んで原稿用紙に波を記入する。

臓物が音を当てながらクジを引いている……。さらに先端の壁と季節の漆塗りや食パンのすり抜け……。灼熱が乾電池の色を決定して医師を額に移している……。電球の作家……。
「それで？　続きは？」
「ぼくたちの態度次第だよ……」

槍が刺さってから秘書をしている。崇高な留まりと波の水や玉になったばかりの学生衣服たち。疑似的な腕に見上げるべき焦燥感の貴金属……。音が針金になって子孫を反映させて証明している。「反映だって？　それとも鏡？」
「ぼくたちは立派だよ」と女児が叫んでいる。「お前たちはいつでも叫んでいるな……」
「小心者だな……」

道徳的な硝子。資源を無駄にしている議題と架空の文字列による介入手順。「掃除は好きですか？」

全ての書物を省略した文鎮……。何を記すべきかを忘れてしまった会議の男たち……。
「こうして見ると、どの世界でも変わらないありがたさってのがあるな」という幻覚に飲まれている手術台の上の彼……。そして脳はしわを増やしながら言葉のような何かを紡ぐ。「おれたちは轢死で沈んだけど、どこにでも行けるし、どこにでも溶けれるし……」
「どこにでも？」
「そう」溶けていく男の声と鴉のような反比例の爆弾。

交わってから暮らしていく定期の住処。それぞれの道とアルファベットたちが突き進むトロッコたちの群れ……。「おれは住処じゃないけど……」

落下していくビーカー……。将軍たちの廃棄物……。さらに……、夕暮れの照明……。カリスマ気取りの羞恥心……、執筆の過程を訪ねる将軍……。
「……いいえ」

さらに男は答えられない問題を記者に預けると、そのまま坂を下って蜜柑を食らった。すぐ近くに迫ってきている風に呼び込みを落としてからドアを開くと、目の前に立っていたペンウィー医師に唾を垂らして過ぎ去ってしまう。
「彼はどうしてここに居たんだ？」
「さあ……」

そして同時の力を誘う不確かな電波といたいけな少女……。集合体の中の唯一無二の恐怖心……。

まくし立てられる舌の動きと百足だらけの教団……。酒の色を答えるための前立腺の蠢き。さらに降り注ぐ学生のコカイン中毒たち……。「おれたちはまっさらだ！　本当だ！」
「それはよかった！　中絶じゃないんだな！」
「ああ！　おれたちは皆、首切りだ！」
「ならさっさと消火器を手に持てばいいじゃないか！」と首を縦に振るいながら硝子に瓶を投げている少年。一本の筋が通っただけの目的地行進……。「小学生か？　いいえ……」

散弾銃の踊りと変身するバイクにまたがる木製の人間……。酒を浴びている同級生の男……。気概を見せつけるばかりの焼酎……。「おれは違うけど」
「なるほど！　だからこそ勝負どころなんですね！　わかりました。私はいくつかの木製を削るお手伝いをしたことがありますが、貴女のようにはなれなかった！　だから貴女を尊敬するし、コピー機も喜んでいるし、地球は赤くて轟いているっ！」
「はは。もしも全てをかき消す音があったら、貴方に使いますよ……」
「いいや……」おれはチョークを投げてから全ての黒板に唾液を垂らす。「プリンセスだ」
「ペンウィー先生！　まずは何をするべきなんですか？」
「ああ、とりあえずこのサイダーを一本注射するべきだろうね」

するとペンウィー医師は手術台の上のコーカソイドの男の右の太腿に注射器をぬるりと入れた。そしてプランジャーを押し、中の透明なサイダーを注入した。
「具合はどうかね？」

砂漠の近くの山と草原だった頭による機械のスフレ……。豚の怪人……。商人がいつでも何かを喋っているぞ……。おれは向かい風の中間地点でやまびこを試す。さらにおれは山師にはなれないが、車の一部になることはできる！
「ならやってみろよ……」と同級生の男が叫んでいる。彼はいつもの語り口調の中から手を伸ばし、立体的な火事の現場を想像しておれたちに向かってくる。おれは落下した彼のカツラに唾を投げてから血飛沫の現場に足で向かう。「おれは免許なんていらない……」

脱退の後の山登りや、リュックサックの中身を検閲する係員のすみやかな撤退。拍手を送るためだけの黄色い装置。眼鏡を取り出してグミの類の菓子を食らっているはげの女。「最後にこれを持ってくるとはな……。驚いたよ、受話器ぶりに……」

湧き出る証明問題と一番だけのテスト用紙……。しらを切るだけの警察官に与えられた最高の権利と冷水。

さらに、道徳と轢死の授業たち……。そして蘇るサラダとオリーブオイルの余興や炎天下の作業日誌。裁かれたのは大蛇だったのか。

あるいは、万事屋の力士たち……。三日月の音と階段の色。酒を浴びる学者の走り書き……。山を下る棘の爪楊枝……。摩擦委員会の動きとはげのスーツ男。駅員が梯子を渡ってから電車に唾を垂らしているぞ……。ステップを踏め、さらに回避して空間を掴め。中身の無い刺身にはなるな……。置いて行かれる学生気分の落ちる流れだ……。
「焼酎を、くれませんか……？」
「だめです」
「いいや……」そしておれはおれという個人を追い上げてから加速度的に車を動かす。「プリンセスだ」

大学の横の建前や葬式のための色たち……。ラジオ体操第一を繰り返し演じているはげの男。空中を頬張る赤子の黄色の髪よ……。「まるで理解者のようだろう？　どうだ、一杯やっておくか？」
「いいや……」さらにマシンガンの音とやってくる巨人たちの足跡……。「ぼくはみすぼらしい姿にはならないよ、かあさん」
「君は否定しかしないな！」

そうしてペポニニャンは忌々しく携帯電話を握りつぶした。中から飛び散る百足たちがミキサーにかけられたような液体となり、この施設の頂点が決定した。
「前人未到の山」
「それで？」
「あるいは、戸籍の取り合いだと思う」
「まさかぁ……」
「ええと、こちらです……」椅子の向こう側から傷に塗れた女が出てくる。魚の臭みを纏った公園の色の彼女は、散弾銃を背負っていくつかの土管を演じている。「これでいい？」
「まったく都合が良いな……」デスクトップのパソコンに記入されている痣の形……。すぐに吐き出してくる帳尻合わせと株式会社の階段の見れない地図帳……。最後の試練と刈り取られたばかりの電源装置多重……。「おれは飛び込みを知らないぜ？」と二つの頭を持つ蛇が答えている。さらに洞窟の中の腸のような電化製品に化粧の粉を与える。すると昆虫のドアが三十度に傾き、男が死んだ原因がそこにある。小声がさらに小さくなって矢印の形を取る。電卓の表示に答える形で飛翔を超え、天井裏の植物の掃除に手を捻らせる……。笑顔を貫いた盾の表示と退けた船に着いた目的地の相違……。「味があるね！　君には……」と男が嘶いている……。すると装置が人間の形を取ってから介入すべき全ての標識に舐めている。夜になると同時に身体が誘拐し、横流しの裂け目に腸の手を遊撃してチョップの神髄を提示する。
「動じないよ……、おれは……」

記者は時おり流れてくる掲示板の文字列に一喜一憂してから飛び跳ねて、ここが病院だというのに走り回り、妊婦の腹を順番に殴っている。

眼科の兄弟や鏡の処理速度。掃除と木々の発生源や湧き出てくる黒光りの昆虫の眼帯。

ポスターの中のペポニニャンは口と耳たぶを同時に動かして答えた。すると本物のペポニニャンはポスターを破き、その一部を男に渡した。
「どうしてこれを？」

小さくなったポスターを広げる男はその口のプリントを見つめながら呟いた。

すると口のプリントが蠢いた。「大丈夫だ。君は、やれる」
「そうか……」

ペポニニャンは頷くと、風船を吹かして質問者の顔面を殴った。血飛沫が飛び、耳介からミミズが迸った。後方に吹き飛んで壁を突き破った質問者はそのまま大の字に倒れて動かなくなった。
「大変だ！」

男は走りながら大きくなっていった。そしてペポニニャンたちと同じ大きさになると、滑り込みながら質問者の胸を叩いた。反応が無いのを確かめると口に唇を落とした。数回揉み、唾液を流してから離した。
「わぁ！　ステンレス！」

ペポニニャンは携帯電話を取り出して警察に電話をかけた。数分の無音の後に、警察官の若いなよなよとした声が響いた。
「はい。どうされましたか？」
「ええと、目の前の男女が急にキッスをした時の対処を教えてほしんだけど」

さらなる商店街の銃声と坂道の標識……。先天性の脳のしわに切れ込みを入れて二つに分裂して酒場を蹴る……。おれは次の二文字の呼びかけに看護婦のような温かい水を差し出す。すると黒い馬になった男たちが人間の言葉で粘土細工のやり方をあれこれ指示して、死んでしまった電球のような肩と顔面の形を提唱してくる……。おれは全てを無視してダイナマイトに火をつける……。二秒後に何もかもが破裂して太陽だけが残る……。
「それは大変ですね。ところで貴女はペポニニャンさんでは？」
「え、ええ。そうですが」
「やっぱり！　貴女の『歴史ある彫刻。』は皆に大好評ですよ！　いくつもの曲線に、大胆な拳の造形……。あの作品は、高い技術を持った貴女にしかできない彫刻ですよ！」
「はは……。どうも」と右手で会釈をするペポニニャンは一旦椅子に腰を下ろした。

男は叫びきるとすみやかに椅子に戻り、そして次の焼酎を注文してから突っ伏して寝てしまった。

二時間後、その男を叩き起こす娼婦が居たが、彼女は生粋の百足食らいで、男に問いかけた歯列の間にも百足の橙色の足が見え隠れしていたため、男は驚いて飛び上がり、すぐさまその酒場から逃げていってしまった。
「あの人、ちょっと変わっているね」

娼婦はにやつきながら店主にビーフストロガノフを注文し、男が座っていた椅子に腰を下ろした。右隣りでは椅子の上でラジオ体操第一を繰り返し演じているはげの男。
「それで？　アンタはどこから来たんだ？」
「私も彼みたいに叫ばなきゃだめ？」
「ふっ……。いいや……」
「いいえ……」ペポニニャンは自分の中の唯一の脳に電気信号を与えてから、その反動で帰ってくるいくつかの肉塊の連続を見定めて頭を前に突き出した。すると黄金色に輝く質問者の頭皮から小さな列車が流れてきて、ペポニニャンの周りを二回ほど回って停車した。
「君は音階が好きなの？」

だからこそ民衆はサッカー選手のような体躯の持ち主となり、さらに向こう側に育つ茸の破片や雨の冷たさを知る必要がある……。理解力の問題なのか、はたまた水晶だらけの洞窟の穴の問題なのか……。西という方角に当てられた銃弾に操作性を要求し、五時間の波乗りを過ごしてから前衛的なホテルにたどり着く。

質問者は往復する声でさらに質問をした。すると停車した列車から一人のスーツの男が出てきて、地に足を付けた態度で口を開いた。
「そんなに質問しなくてもいいじゃないか。そんなに君の人生には色が無いのかい？　ぼくは君のようにはなれないけど、君も駅員のような薄っぺらい抑揚にたどり着くことはできないんだよ？」

質問者は男の方を見てから眼球をむき出しにして、眉間に山を作った。そして小さくなったペポニニャンは自分の全身を映したポスターをポケットから出すと、その中の自分に質問をした。
「君は本当に音階が好きなの？」