振動する電波脳みそ。

巣居けけ

小説

1,324文字

電波で完成している脳の集団がやってくる……。正体不明の連中が街を占拠して踊っている……。

どのような列車がおれの腹を横断してかすめ取っていくのか。だからこそ貯蔵ターミナルの黄色い角で牛乳を購入し、外の一番工務店でコートの男に注ぎ込む。おれたちは帰るべき位置に終息して帰還するだけなのだ……。

そして三つのリズムの中心点をしっかりと探せ……。おれが息子の身分で残すことができるレコードの貯蔵は、見返りの無い乾燥地帯を介してもここまでだ……。

肉の水分とトロンボーンの硬派な風。風上のしもべたちが列を作ってオーケストラを演出している。おれは客席の中心で蓄音機を破壊するための工作を企てる。色の違う帽子を被っている彼らは思い思いの楽器を空想で取り出し、観客席の医者どもにぎこちない音を浴びせている。抑揚をつけたバイオリンの係。ミノムシ色の科学の瓶の蓋と斥候を送る費用増幅。緩急自在のステンレス・ジャンキー……。演奏を終えた力士の成り損ないたちが壇上から退いている。拍手のセールで医者たちが次のメスに気合を吐いている。おれたちもすぐに後を追うべきか? それとも、速度を落として患者の腹を切るべきか?
「トムさん! あんたは明かりのついた土木作業員になるべきだ!」

弟子の身分の手術着男が問いかけてくる……。
「ああ、そうかい……。ところで君は誰だ?」

落下していく両肩の衝動……。三か月の研修の情熱と問いかけてくる男の親指の皮が貼り付いている唯一のメモ帳……。おれたちが医療用の電子機器を疑うことはないはずだ……。「電子機器のメスか?」

そして分裂して去って行く不埒な粒の煽動する正体。波に乗る男たちが車の駆動音で目を覚まし、山の巨大な造形にクラッカーを突きつける。だからこそおれは手早く身支度を整え、始発の列車に飛び乗って三つ向こうの街に侵入する。二人の新聞紙配りが角の喫茶店でココアを注文している。
「なあ、ここの店の看板の黄色には、意味があるのか?」
「おそらく……」そして男の方が出入り口から覗いている看板をじろりとやる。「ないな」

おれは過ぎ去っていく電車の中がどのようにして蠢きを保っているのかを考えながら駅の前を通り過ぎる。出入り口のキャンペーン・ガールに小銭を渡して一日付き添ってもらう。
「戸棚は? どこへやったの?」後ろから囁くカギムシのような生態の母親の声の電波模様……。おれは自分の電波塔の中のラジオ機器で子宮時代をキャッチする。
「待ってくれよ母さん。ぼくは哺乳瓶を卒業したその日に解離の試験で優秀賞を取ったんだよ? それに二時間目までには帰っていたし、保健室の教師にはそれ相応の待遇を渡していたんだよ? ぼくはあんたの見知った息子じゃないし、あんたがよく知るバイトリーダーの子分でもないんだ。ぼくはあんたの下に孤児として入り込んだけど、あんたの乳首から垂れ出てる白い液体を口にする機会はなかったな。ぼくはほぼ衝動的な殺人の中で第二次性徴を迎えて、紙で作った飛行機をあんたの子宮に飛ばすよ。するとどうだい? あんたは招待されていないティータイムに一人で合戦を繰り返すんだろう? 腰を抜かしながらぼくが女の子に金属バットを振り下ろす光景を見ていればいいんだよ。母さん、母さん、ぼくたちは一心同体でいつでも一緒。ぼくたちは第三の子宮の中で一つの女児になるんだよ」

2022年11月21日公開

© 2022 巣居けけ

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