歯茎のポッチ

No味噌

小説

1,378文字

歯茎にできた白いやつ

 結局なにを考えているのかちょっと不明って感じで宙ぶらりんで寒くてちょっと泣けてくる感じっていうかなんていうかそんな感じ。ぐるりと回転すればそれは宇宙かもしれないけど、果てがなくて途方に暮れる。空が青ければ大丈夫とかしれっと言われて殴りたくなっちゃうよ。雨が雨が雨がほらほらほらほら降ってくる、その先にほら、ポッカリと暗闇が大口開けてポカンと待ってる。
 yumeutsutsuって曲があってそればかり聴いちゃうんだけどなんでこんな歌詞書ける人がさあ、とかもう考えてもしょうのない、取り止めもなく、こうやって忘れたくないからさあ。土の中から花が芽吹いて冬が春になればそれがまた散ったらその時になってようやくたぶん、もうちょっとくらいは理解できるのかもしれない。でももしかしたらずっとわからないままなのかもしれない。それってちょっと怖いよね。好きとか嫌いとかみんなぐちゃぐちゃで、動画とか撮っちゃうけどそれもどうでもいいかなあ。気持ちっていうのは不確かではっきり言えよって思ってもあんまりうまくいかないよね。会話がないのがダメなのよ、しゃべらないなんてナンセンスな文学。会話のない会話じゃダメなのよ。空がこのまま落ちてきたら隕石より危険じゃない? でもそんなこと起こらないんだろうね。それはそれでちょっとつまんないかなあ。厚さ5ミリのハムと糖度9%のチョコレートと蜂蜜を少し垂らしてメロンに掛けるとあんまり美味しくなさそう。でも意外と美味しいのかなあ、まあ食べたことがないので……。
 溶ける温度の中で猫が笑っている、でもその笑顔は本当は笑顔じゃないのでちょっと歪んでいて、ボキにはちょっと恐怖なわけ。チェシャ猫ってのともちょっと違って、笑ってるんだけど心は笑ってないから底冷えしていてとにかく怖い。でも怖いって伝えちゃうときっと怒るから言わないし言えないし余計怖いしもうどうしたらいいのかわかんなくてベソかいてるんだけど、そうするとちょっとだけ本当に笑う。性格悪いねって言うとまた怖いから言えないんだけど、猫はボキが苦痛を感じている様が好きっぽくてちょっと弱っています誰か助けて。
「メロンを食え」と言われたので「はい」と食べたらクソ不味くてなにこれ、みたいな。メロンってなんか白くて緑で曖昧な色で水分ばっかで実は栄養なさそうみたいな印象なんだけどさあ、これってメロンじゃないよね、多分。確かに白いんだけどさあ。甘いとか苦いとかのレベルじゃなくてクソ不味いとしか言えない味なんだけどこんなもんボキに食わせてなにがしたいの? 泣きそう。お前を訴えたいけど農家を訴えた方が早いのかもしれない。でもどこの農家から出荷されたのかさっぱりわからず、中国産とかフィリピン産とか言われたらパスポートないんだよな。あと日本語しかできないしそれもギリギリだからGoogle翻訳必須になってしまうしそれって頭痛が痛い構文絶対できるよねえ。好きとか嫌いのレベルじゃなくてマジで不味いっていうこの単純なこれ、どうにかしてくれよ。
 雪とか雹とか降っても降っても降ってもそれは多分まあどこまでいってもそれはそれでしかないのだが、多分猫の笑いが冷たすぎるせいで雪になるのだと思う。じゃあなにがそんなに猫を笑かしてんのかって言ったらそれはボキの愚かさであり、つまりあの雪が降るのはボキのせいなのです。不憫。

2022年10月13日公開

© 2022 No味噌

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