「君はいずれ、家族の関係者以外にも破壊を行う。海外でも行う。日本人の君がね。当然、各国は、日本が宣戦布告したと考える。外交の基本・カウンターアタックが始まるが、その頃は日本も戦える軍隊を持っている。そしてどうなるか……始まるんだ、第三次世界大戦が。最終的に大戦は、核の応酬による泥沼に突入する。その結果……」
続きは聞きたくなかった。
考えたくなかった。
静かに自分に言い聞かせる――「ワタシの望みは、家族と静かに幸せに暮らすこと」。
それだけが望み。
それだけでいい。
そしてそのためには、母をあの忌々しい場所から解放せねば。
そのために、目の前の爬虫類男を破壊する!
「アンタが言うところのワタシ“担当”の怪物がね、核破壊は無いと言ってたわ。何でも核で破壊すると、地球が痛み過ぎるとか……」
「人類絶滅を全て核で行うとは、誰も言っていないと思うけどな」
ワタシの発言を、苦笑まじりに清彦が遮る。
「君タイプの絶滅者が、核のボタンを押した者を許さずに皆殺しにするんだよ。で、残った人間達を、私タイプの絶滅者が皆殺しにする。効率がいいよね」
残酷極まりないのに、飄々と話す清彦。
ワタシはもう、我慢の限界。
「効率? 一番効率がいいのは、アンタみたいな奴を“否定”することよ」
ワタシが睨みつけても、清彦の顔から苦笑は消えない。
「やれやれ。共闘できると考えてたけど。自分の娘を手にかけるのは、気が進まないね。けど、他の者に破壊されるよりマシかな。一つ、安心していいよ。戦いが延々続くことはないから。絶滅者に負わされた傷は、再生されないからね」
朗報。
これ以上、話すことは無い。
話すつもりもない。
最早、破壊するのみ。
一瞬、ワタシと清彦の視線が絡んだ。
直後ー―ワタシと清彦は、互いに斬りかかった。
絶滅者同士の戦いは熾烈を極めた。
圧倒された初老管理人が、あんぐりと口を開けている。
散弾銃を、だらしなくぶら下げながら。
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