これまでの破壊で、二つの「イメージ」が流れ込んできた。
まず、弟。
恐怖の河原。
空を覆う何重もの灰色の雲。
それがゆっくりと開いていく。
その間から差し込まれる一条の暖かな光。
弟に向かって真っ直ぐに伸びていく。
その光が、優しく弟を包んでくれる。
そして弟は全ての苦痛から解放され、天空へと導かれた。
河原にいた、あの鬼が舌打ちしている。
八つ当たりで、側にいた子供を棍棒で殴り飛ばしていた。
こちらの世界で「事」が終わったら、あの醜い怪物だけは破壊する。
地獄の都合など、知ったことではない。
哀しみの泥沼でも、同様のことが起きた。
父が解放された。
父と弟は、黄泉には導かれていない。
帰った場所は分かっている。
他には考えられない。
ワタシ達家族の唯一のオアシスに、帰ったのだ。
だが、ワタシはまだ家に戻るつもりは無い。
家族全員が揃ってからだ。
まだ母が、絶望の岸壁にいる。
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