メニュー

【 30秒で読める話:04 】パイプの言い分

taro-nagahamada

愛されるよりも、愛したい。まぢで。

小説

561文字

【 30秒で読める話:04 】パイプの言い分

建設現場で、とび職をしたことがある。

建物の周囲に足場を作る仕事だ。

4メートルのパイプは1本で約11キロ。

それを何本も肩に担いで人力で運ぶのだから、大変な仕事だった。

 

ベテランの山口さんは元やくざだった。 職人気質で口数は少なかった。

 

その日、現場は大型クレーンや重機の轟音で、絶え間ない騒音に包まれていた。

足場板の上から山口さんが大声で指示を出しても、まったく聞こえない。

 

ぼくは地上から材料を用意して上へ渡す係だった。

山口さんが指を立て、必要なパイプの長さを指示した。

 

ぼくは、OKとサインをしてパイプを渡した。

山口さんは無言でそれを受け取り、

人間の関節のようなクランプをインパクトドライバーで締め付ける。

 

しかし、何か様子が変だ。

 

山口さんは何やら悪態をついて天を仰いでいる。

ぼくは、お腹がすいてお昼のことを考え始めている。

休憩時間はまだ先の話だ。

それなのに、山口さんが足場から降りてくる。

彼はぼくの前にのしかかるように立つと、

ヘルメットの頭をぽかりと叩いた。

 

「指の数もわかんねえのか! 4本だろ!」

 

そういって目の前で山口さんは指を立てて見せる。

指は3.5本だったが、そのことはいわないことにした。

© 2026 taro-nagahamada ( 2026年9月27日公開 )

読み終えたらレビューしてください

みんなの評価

0.0点(0件の評価)

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

  0
  0
  0
  0
  0
ログインするとレビュー感想をつけられるようになります。 ログインする

「【 30秒で読める話:04 】パイプの言い分」をリストに追加

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 あなたのアンソロジーとして共有したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

"【 30秒で読める話:04 】パイプの言い分"へのコメント 0件

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る