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最寄り浦和駅池袋駅乗り換え東京メトロ有楽町線利用まいばすけっと利用雑司ヶ谷霊園並びに護国寺に行く際には独自のルーティンがある人用

小林TKG

うららららららららららららららららららら

小説

3,208文字

雑司ヶ谷霊園、並びに護国寺に行く際、池袋駅から南池袋一丁目の交差点まで移動し、そこから東通りに入る方にとって、東京メトロ有楽町線の護国寺駅、並びに、東池袋駅というのは脅威であります。

仕事あるいは生活の関係などで、東京メトロ有楽町線を利用するというような事になった際、その脅威ははっきりと目に見えるものに変わります。

東京メトロ有楽町線というものを知らなかった時分、それはその人にとって、関係のない世界の事でした。

「へえ、でもJRじゃないしな」

その人は、それまでJRの駅しか利用していませんでした。生活圏内がJRであったのです。JRさえあれば、とりあえず大丈夫。あとの事は、適宜、その都度都度ごとに考えればよい事でした。都度都度で、JRじゃない路線を利用したとしてもそれはスイカの残金がいくらか減るだけの事でした。

東京文フリが流通センターでやっていた時分、浜松町で東京モノレールに乗り換える。

「東京モノレールはJRじゃないけど、まあ海見えるしいいよな」

という感覚です。

JRは生活の為に必要ですが、それ以外は生活に直結する事ではなかったのです。故に、興味の層としては深層には入っていない。

「たまに遭遇するイベント」

とでもいうのでしょうか。

実際、その人はそれまで、東京メトロ有楽町線を常用利用する、その時分まで、

「ええ、うそ、JRと東京メトロ有楽町線で合わせて定期って買えるんだ!?」

という事を知りませんでした。

JRと東京メトロ、二つの定期をそれぞれスイカに入れなくてはなあ。電車とバス、コクバ、国際興業バスの定期をそれぞれスイカに入れるみたいに。その人はそれまでそう思っていました。

「なんで、だって会社が違うのに?」

両者は関係ないとは言わないけど、協力関係かも知れないけど、でも、そうは言ってもさ、現場の警察と、出張って来たFBIみたいなもんじゃないの。そういうのって。

駅の発券機、定期購入をする機械にスイカを入れて、利用駅を入力して、降車駅に東京メトロ有楽町線の駅名を入れた時、驚くほかありませんでした。

それで一発で定期が買えるのでした。

JRと東京メトロの定期が、一回で買えるのでした。

「有楽町線の定期を買いに池袋まで行かないとと思ってたのになあ」

日進月歩だなあ。

そんな風に思ったのでした。

 

その人の最寄り駅は浦和駅でした。池袋に行くのは東通り、雑司ヶ谷霊園、護国寺に行くためでした。護国寺のすぐ脇に、東京メトロ有楽町線護国寺駅がある事は知っていました。しかし、それはその人には関係のない世界の事でした。だから利用したことがありませんでした。何故なら、

「JRじゃないしな」

JRじゃないからです。

だから、池袋駅に着いたら、そこから歩いて南池袋一丁目の交差点まで行きます。南池袋一丁目から東通りを抜け、雑司ヶ谷霊園の墓石群を眺めながら、外周を半周して、高架下の横断歩道を渡り、緩やかな坂を下って、石材店を曲がり、護国寺に行きます。

それはその人が、浦和から池袋乗り換えで東京メトロ有楽町線の定期を買うまで、普遍的な、当たり前の事、日常して存在していました。

しかし、ここにきて、事態が変わったのでした。

「自分とは関係のない事だと思っていた、東京メトロ有楽町線護国寺駅が」

それまで、ただ道ですれ違うだけの他人であったに等しい東京メトロ有楽町線護国寺駅が、顔見知りを通り越して、知り合いに。それどころか、

「こうなってみると、もはや、お近づきになってもいいかもしれない」

とさえ、思える距離に。距離感に。クラス替えで、好きだった異性と同じクラスになったどころか、隣の席に。

 

その人は懊悩しました。その事実に。

何故なら、異性と同クラ、隣は嬉しい。しかし、それはそれとして、その人にはそれまで、厳守してきたルーティンがあったからです。

雑司ヶ谷霊園、護国寺に行くためのルール。

池袋駅から、南池袋一丁目まで行き、東通りを抜け、雑司ヶ谷霊園を半周し、護国寺に行く、帰りは雑司ヶ谷霊園の残りの半周を周り、東通りを抜け、池袋駅まで戻る。

これです。

このルールがその人を支えていたのです。

それが、その人にとってのある種の巡礼、信仰心の表し方となっていたのです。

東京メトロ有楽町線護国寺駅で降りて、護国寺に行って、雑司ヶ谷霊園を半周し、東通りを抜けるというのは、その信仰心を軽んじるという事に他なりません。

しかしそれはそれとして、東京メトロ有楽町線を利用するようになったという新たな出会いにも、何らかの敬意の表し方があるのではないか。新しい世界を知った事に何かしらの事を。そんな感情も湧くのでした。これはもうOh No、懊悩するほかありませんでした。

 

東京メトロ有楽町線を利用するようになっても長らく池袋駅まで行って、そこから護国寺まで、当初のルールを守り歩いていました。南池袋一丁目まで行き、東通りを抜け、雑司ヶ谷霊園を半周し、護国寺に至る。帰りも、雑司ヶ谷霊園の残りの半周を歩いて、東通りを抜け、池袋駅に戻る。

というルーティンで行い、もうずっとこれで、護国寺駅にはまた別の形で何か、という風に考えていました。

しかしある時、不意に、思い立って護国寺駅で降りたのでした。

護国寺駅の改札を出て、二部構成に分かれたエスカレーターに乗って、護国寺駅を出て、すぐ脇の護国寺に行き、帰りは緩やかな坂を上って、雑司ヶ谷霊園を半周し、東通りも箱根駅伝で言う所の、復路だけをこなし、池袋駅まで歩いて、池袋から浦和に帰る電車に乗ったのでした。

「疲れている時はこれでも」

なんて思ったのもつかの間、後日、もの凄く後悔の念が襲ってきたのでした。

「なんてことをしてしまったのだろう」

自身のそれまでの信仰心、並びに、

「雑司ヶ谷霊園の回っていない側の半周の皆さんに申し訳ない」

と思ったのでした。

 

だから、今度は東京メトロ東池袋駅で降りてみる事にしたのでした。東池袋駅で降りたら、東通りは復路だけですが、雑司ヶ谷霊園は一周できます。

しかし、それはそれでまた、

「東通りに申し訳ない」

と思い、後悔に苛まれたりしたのでした。

 

護国寺に行くのは大事、でも、雑司ヶ谷霊園の外周も一周したいし、東通りも、往路復路歩かなくては。やはり、これが自分自身を作っているのだなあ。その人は、東京メトロ有楽町線を利用するようになって、そんな風に思ったのでした。そんな風に考えれるようになったのでした。

 

更に後日、再度護国寺駅で降りた際、護国寺をお参りした際、帰りに、雑司ヶ谷霊園を一周して、正確には一周半して、帰りました。復路だけだった東通りの代わりに、浦和駅東口、PARCOのある側に出て、東通りを歩きました。

池袋、南池袋一丁目の交差点にあるのは、東通り、あずま通りです。

浦和駅東口から出て、あるのは東通り、ひがし通りです。

読みは異なります。しかし、その人は、それで少しでも浄罪されればと、されますようにと、一助でも、そんな事を願って東通りを歩きました。

浦和の東通りを歩いて、少し、しばらくすると、脇を走る線路の下にトンネルがある所があります。そのトンネルを抜けて、階段を上り、少しだけ浦和駅の側に戻ると、まいばすけっとがあります。

南池袋一丁目の東通りの入り口の近くにも、まいばすけっとがあります。たい焼き屋の横に。あと東通りの中にも(東通りの中のまいばすは東通りから外れる事になる為、行った事はないけど)まいばすけっとはあります。

浦和のまいばすけっとを利用する際、その人は池袋、南池袋のたい焼き屋の横のまいばすけっとに思いを、想いを馳せました。

「このまいばすけっとは、南池袋のたい焼き屋の横のまいばすけっとと同じまいばすけっと」

そんな事を思ったのでした。目を瞑って、南池袋のたい焼き屋の横の、ビスハイム池袋のまいばすけっと。そんな事を想ったのでした。

© 2026 小林TKG ( 2026年3月29日公開

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