ジャンル: 小説 3,031件

  1.  僕は泥棒だ。「怪盗ブレイカー」という名で呼ばれている。日本の大富豪たちが持っている宝石や絵画を神出鬼没な方法で盗み続けている。でも警察に捕まることは決してないのだ。  昨日は結婚式ビジネスをしている女社長の屋敷に忍び込んだ。レンガの建物で、中には赤い絨毯が敷かれていた。入り口には会社の創立者の骸骨が飾られていて、部屋は50室あり、使用人が5人いて、猫が3匹いた。どんな猫を飼っているのかリサーチして、僕は飼い猫に化けて屋敷に侵入した。僕は変装が得意なのだ。本物のその猫は物置部屋で殺しておいた。お腹を噛み切ったら出血多量で死んだ。内臓がはみ出ることはなかったのでよかったと僕は思った。  夜になった。クイーンサイズのベッドで、バスローブ姿で女社長と猫3匹は寝た。僕のからだの中では、心地よい水が体液として流れているみたいだった。深夜3時になり、僕は猫の姿のまま起き上がり、引き出しの中のタンザナイトという宝石を口に含み、屋敷を出た。その途中でワインボトルの中身を入り口の骸骨のところにぶちまけておいた。朝それを見た使用人はきっと血だと勘違いするに違いない。でもワインなのだ。それで安心させておいて、実は宝石が盗まれているというシナリオだ。そして宝石を家中捜して、物置に猫が殺されているのを発見し、震えあがるのだ。  次の日のニュースで、前髪にパーマをかけて眉毛の垂れ下がった女社長がニュースのインタビューに答えていた。唇がひんまがって、不快そうな顔をしていた。  なぜ僕は怪盗なんてことをやっているのだろう。きっと僕は目立ちたいんだと思う。それと人間社会で活躍したいのだ。僕は怪盗になる前はプロ野球選手だった。巨人の投手だった。高卒でドラフト1位で巨人に入団し、1軍で3勝をあげた。高校時代から痛めていた肩の関係で2軍暮らしが続いた。このままではいけないと球団の許可を得て手術をしたが、その年をオフ、戦力外通告をされた。22歳だった。裏切られた気分だった。僕は第2の人生として怪盗をしている。今25歳だ。  今日はピカソの絵を盗もうかなと考えていたある日、同時に4人の恩師が僕の家に押しかけてきた。俺と一緒にもう1回プロを目指そう、いや俺一緒に目指そうと、4人の恩師は僕の取り合いを始めた。僕は4人に分身して、それぞれがその恩師について行った。 小説

    • 工藤 はじめ
    • 8年前
    • 3,626文字

    タイトルから読むと読みやすいかも。

  2. 童子拝観音 二十四のひとり / 小説

    • 藤城孝輔
    • 8年前
    • 4,723文字

    作品集『二十四のひとり』収録作。合評会2016年12月(テーマ「スポーツエリートがグレたあと恩師と再会し、『戻ってこい』と言われた」)応募作。

  3. ストローベリーマリアージュ TRAIL / 小説

    • 菊宮まひろ
    • 8年前
    • 10,820文字

    私の居場所ってどこの何なの。22歳の椿は今日も思い悩む......。

  4. Under The Cherry Blossom マルガリータ街 8番通り 某番地#305 / 小説

    • 山本ハイジ
    • 8年前
    • 391文字

    桜の木の下。

  5. マルガリータ街 8番通り Cと小さな新世界 マルガリータ街 8番通り 某番地#305 / 小説

    • 山本ハイジ
    • 8年前
    • 7,051文字

    常識人は苦悩した。

  6. マルガリータ街 8番通り 某番地#305 マルガリータ街 8番通り 某番地#305 / 小説

    • 山本ハイジ
    • 8年前
    • 12,379文字

    メンへラエモ少年は彷徨った。

  7. 舟 – 6 / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 12,791文字

    その女が来ることを僕は知らなかった。確かにおかみさんはあわただしく旅籠屋と茶屋を行き来していたが、僕はまだ墓にはいっていないやえに話しかけたり、隣であやとりをするので忙しかったのだ。 やえの骨壷…

  8. 舟 – 5 / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 3,635文字

    冬が来て、春がきた。 ――お鶴さんとおっ亀さんと、お手引き合せて観音へ参る 騒がしい春になっても、やえは僕の布団にもぐりこむことをやめず、次第におかみさんもそれを咎めることをやめてしまった。僕も…

  9. 黒いクラスの時代 小説

    • Juan.B
    • 8年前
    • 11,266文字

    ※2016年10月分合評会作品。

  10. 光ってみえる白 小説

    • 高橋文樹
    • 8年前
    • 4,772文字

    私には霊感がある。長らく養護教諭をしているのだけれども、この学校には生徒たちの集合意思のようなものがあって、生徒たちが廊下に三人も集まると、彼女たちの集合意思が薄い紗のような膜として見える。攻撃…

  11. きょうどう! 小説

    • 工藤 はじめ
    • 8年前
    • 2,899文字

    合評会用。 お金よりも、ほかの作品と触れ合いたい、異なる新しい価値観に出会いたい、と思って参加しました。

  12. トムの選択 小説

    • 手嶋淳
    • 8年前
    • 2,542文字

    学園内ヒエラルキーって、ときにこういうふうに崩壊するものじゃないか。一人の女子の登場がきっかけだったり。2016年10月合評会用作品。

  13. 焔より來て 小説

    • RAID
    • 8年前
    • 4,249文字

    ファンタジージャンルです この小説の1番の強みは、「未来への不気味さへの暗示」であると思います。 まだ未完成ですが、更新しますので、どうぞよろしくお願いします。

  14. 舟 – 4 / 小説

    • 斧田小夜
    • 8年前
    • 8,156文字

    川の水が引いたのは三日後だった。 僕たちがせっせと舟の泥をおとしている時、やえはおかみさんに手を引かれて茶屋にやってきた。やえは妙な顔をしてしきりにきょろきょろとしている。そのうしろから背を丸め…

  15. 彼女の嘘と8秒間 〜秋〜 その1「ふたりの文化祭:準備」 小説

    • 宮園希
    • 8年前
    • 10,785文字

    これは、彼と彼女の「8秒間」をめぐる物語。

  16. 合格発表 【原発】工藤はじめ大学入試問題 / 小説

    • 工藤 はじめ
    • 8年前
    • 206文字

                                                 

  17. 問い 【原発】工藤はじめ大学入試問題 / 小説

    • 工藤 はじめ
    • 8年前
    • 58文字

                                                      

  18. 問題文『事実の多様性』 【原発】工藤はじめ大学入試問題 / 小説

    • 工藤 はじめ
    • 8年前
    • 42,611文字

      問題文『事実の多様性』       ■3月11日、大地震が起こったワールド■   私は、生まれは新潟、育ちも新潟、大学も新潟。私は、父に支配…