(1章の2) となりの荒れ地には墓があった。風雨に晒され、砂埃に打たれて劣化してしまったのか、下の方は白茶けている。 ざっと靴底が滑る。砂利に足を取られ、はずみで小石が靴の隙間…
(1章の1) 砂利道はずっと下っていた。 夏の終わりの巨大な夕日が赤黒い光を落とし、陽炎と影で見通しが効かず、道は果てしなく続いているかのようだった。 木造の粗末な平屋が…
雨の日の、何気ない日常の一コマ。
以前、他投稿サイトさんで習作で書いたものでした。
おもてでは戦争がはじまったらしい。激しい機銃掃射の音が聞こえる。 おれはきのう履いていたジーンズを捜索、炬燵の中から引張りだし、両方の裾を掴んで、逆さまにして振った。ぼとっ、と無様に変形した「エ…
観念的で他人に伝えられない感覚を、一幕の光景で表現しようとしてみました。
りん、と毎日一度だけ電話は鳴り、そして静かになる。君が私に送るメッセージ。 星空文庫に掲載していたものを加筆修正しました。
最終話
19話
18話
ナツキ第17話
水色の瞳をした者……死刑 加工済みドラゴンを所持し続ける者……死刑 使えない部下……死刑 ――皇帝テレーマ・ラミナ・ターグ
「我々人間やドラゴンが魔法を使うとき、魔力と呼ばれるエネルギーを消費する。この魔力というものは、長年の歴史における研究の末、寿命と比例していることがわかった。つまり魔法を使うとき、人間やドラゴン…
「魔力は先祖からの徳である。魔法は隣人からの愛である。自己は秘め、愛を回すことこそが、人間の幸福を形成する。すなわち自己愛を捨てよ。隣人を愛せよ。隣人もまた、そうしている」――エオニオ・ミスラ・…
織田作之助『大人の童話』はこれにて完結。この終幕を貴方は予想していたでしょうか。余情はあれど、余りにも短いので短編集『素顔』のあとがき、その他関連文章も載せました。初出は大谷晃一氏の著書によると…
悪い日と酷い日。どちらも良い日になってしまったお話。
大和川で砂金が採れる、という新聞記事は実際にあったのでしょうか。大谷晃一氏の著書によると「十四、五年に作之助は日本工業新聞記者で大阪鉱山監督局に詰めていた。17年に同局の文化委員になった。」と、…
少し変わった隣人達のお話。過去作改訂版。