エリッククラプトン

山谷感人

エセー

1,045文字

 烏滸がましいが軽く語る。

 先日。
 私がレイナード・スキナードは別として最も敬愛するバンド、ザ・バンドのロビー・ロバートソンが他界した訳なので先ずはRIP……。春にはゲイリー・ロッシントンも他界した。
 何にしろ、ロックンロールの世界はアルコールまみれである。ロビーはそうでも無かったらしいが。
 そもそも、私はエリッククラプトンが好きではなかった。私レヴェルで語るが「音が軽い」と感じていた。サザンロックまみれでギブソンの太い音が好きな私には(無論、エリッククラプトンもギブソンも使う。特に初期は)フェンダーを駆使するエリッククラプトンは馴染めなかった。ロビーロバートソンも基本、フェンダーだがジャンルが違う。
 然し勿論、エリッククラプトンもそこは判っていて「ザ・バンドに加入したい。オールマンブラザーズバンドとジョイントしたい」になった。当然だが私は本年、四十八歳な故、リアルタイムでは非ず。
 だがドミノスでの素晴らしい成功が有っても、そうした欲求が埋まらす(パートナーにしようとしたデュアン・オールマン他界したし)アルコールの世界に深く陥る。
 元々、若い頃から、その当時のロック界は当たり前で常飲していたらしいが(←リアルタイムでは、無い。二回目)全裸で歩いたり、いつの間にか森で一文無しになっていた……等を繰り返した、らしい。まあ女性や人間関係もトラヴル続きで……になっていたが、それはロック史で有名な事なので省く。
 私も否認していない重度のアルコール依存症な故、最近、二十年くらいアルコールで入院退院を繰り広げたエリッククラプトンの事を考えた。
 辿りついたのは、ザ・バンドや本格的なアメリカのブルースグループには「勝てない、相手して貰うなら違う方法で」の音の軽さだったのだろう。ロックだけじゃない。だって明らかに「自分より才能がある」と突きつけられ認めた場合、それがユーモアにしろ、オネスティーにしろ違う武器を造るしか非ず。
 そうして一等、大切なのは家族。エリッククラプトンが長年にわたるファックなアルコール依存症を脱却して(今は支援施設もやっている)先日、外国アーティストの通算記録なる武道館ライヴに来たのは彼が我が子を失ってアルコールを止めているからである。無論、その曲のタイトルは有名過ぎて蛇足になるので流す。
 軽い軽いと思っていたエリッククラプトンのストラトが当然、立場が違えども最近、重く、どんなヘヴィメタルより感じられる。

 もう一度、ザ・バンド有難う、青春だった(←リアルタイムではない。三回目)ロビーロバートソン、RIP
 

2023年9月5日公開

© 2023 山谷感人

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