こいつの頭をおさえている指。はなすとこうなる。
たおれる。
幾度おきあがらせてもこいつはたおれる。なにがなんでもたおれる。だれがエールをおくってもこいつは一向おきあがらない。七転び無起き。
おれの顔をかたどったこのおきあがらないこぼし。こいつは当時はたらいていたバイト先のみんなから誕生日プレゼントにもらったもの。ひたすらストイックにたおれつづけるこいつにおれは即刻ノックアウト。抱腹絶倒。ありがとう。
「たちあがれ」なんて野暮なことをこいつはおれにほのめかしたりしない。なおかつこいつは「たちあがらなくていい」なんて気障なこともおれにほのめかさない。
ただこいつはいつも横になって笑っている。
"暴徒の二人男女、もちろん猫も。その5"へのコメント 0件